8月27日
8月27日、真人は夏休みの終わりを感じつつ、河童との別れを気にしていた。早く自由研究を終わらせないと、先生や両親に怒られる。真人は焦っていた。だが、着々と進んでいて、あと少しまできた。31日までに完成させられるのは確実になった。
ふと、真人は思った。どうして河童は300年後にやって来たんだろう。何か理由があるのでは?
「ねぇ河童」
「どうしたの?」
河童は顔を上げた。急に質問なんて、どうしたんだろう。
「そもそもどうしてここに来たの?」
「悪い事をしてしまったんだ」
どうやら河童は悪い事をしてしまったため、ここにやって来たようだ。だが、詳しい事は全くわからなかった。よほどいけない事だったんだろうな。
「どんな事?」
「人間にいたずらをしたんだ。だから、ここで反省しろって」
河童は人間にいたずらをしてしまった。妖怪は人間にいたずらをしてはいけないという。その気まりを破ってしまったため、300年後で頭を冷やしてくるように言われた。
それを聞いて、真人は思い出した。思えば自分も数々のいけない事をしてしまったな。その中でも、同級生の長野をいじめて、長野が不登校になりかけたな。その時はとても怒られたな。
「そうなんだ・・・。思えば僕も、いけない事をして、先生に怒られたんだ」
「ふーん・・・」
河童は真剣にその話を聞いていた。真人も僕も同じだな。これからいい子にならないとね。
「同級生をいじめてしまったんだ。それで、親に迷惑をかけてしまったんだ」
「そっか・・・。お互い様だね」
突然、真人が河童の肩を叩いた。どうしたんだろう。
「悪い事はしてはいけない。いい大人になれない。そう思ってるんだけどね」
「確かに! 僕も大人にならないと」
「ああ」
真人は、長野をいじめた時の事を思い出していた。
真人はわんぱくで、友達が多い。よく相談に乗ってくれるし、頭がいい。だが、それと同時に、いじめている子供もいた。その1人が長野だ。長野は低学年の頃の同級生だ。長野は運動神経が悪く、頭が悪かった。最初はそんな何とも思われなかったが、真人はそんな長野をからかい始めた。そして、次第にいじめるようになった。友達はそれを見て、笑っていた。そして、真人の友達もいじめるようになったという。
ある日、真人は担任の小野に注意された。真人が長野を通せんぼしていたからだ。それを長野が小野に報告した。先生に報告したら殴ると言ったのに。
小野は怒っている。また真人がやったとは。今夜、母に報告しないと。
「小川くん、あなた、長野くんをいじめたでしょ?」
「いいえ」
だが、真人は否定している。やっていないような顔をしている。小野はそれを見て、真人は本当のことを言っていると思った。本当は嘘なのに。
「いや、やっただろう」
「やってない!」
それを聞いて、今度は長野に注意した。また噓をついたからだ。数多くの嘘をついたから、今度もきっと嘘だろう。
「長野くん、やってないで言ってるでしょ?」
「やった! 俺は正しい!」
だが、長野は怒っている。本当に真人はいじめている。俺は嘘を言っていない。
「いい加減にしなさい! やってないでしょ!」
「やった!」
長野は立ち上がり、椅子を投げつけた。その様子を見て、小野や同級生は驚いた。まさかこんな事をするとは。
「なに椅子を投げつけてるの? やめなさい!」
と、1人の同級生の女の子が立ち上がった。その女の子は、長野をかわいそうだと思っていた。何としても救いたいと思っていた。
「小川くん、正直に答えて!」
それを聞いて、真人は下を向いた。どうしよう。自分は嘘をついてしまった。この後、怒られるだろう。どうやられるかわからない。
「えっ・・・」
「小川くん?」
小野は驚いた。まさか、真人が嘘をついていたのかな?
「・・・、やりました・・・」
真人は重い口を開いた。それを聞いて、小野は目を細くした。
「嘘か?」
「・・・、はい・・・」
突然、長野は机をたたき、ランドセルをしょった。そして、教室を出ようとした。勝手に帰ろうというのだ。どうしたんだろう。
「もう帰る! 嘘ばっかり信じて、僕の味方じゃない先生、大嫌い!」
「そんな・・・」
小野は呆然となった。生徒からの信頼を失ってしまった。どうしよう。このままでは長野が不登校になってしまう。何としても連れ戻さないと。そして、長野からの信頼を失うきっかけを作った真人を叱らないと。
帰りの会の後、小野は真人を職員室に呼び出した。小野は怒っている。真人の嘘のせいで、長野からの信頼を失ってしまった。ひょっとしたら、もう学校に来ないかもしれない。ここ最近、不登校が問題になっているけれど、この小学校でもこんな事が起こってほしくない。また長野に来てほしい。だけど、本当に来てくれるんだろうか?
「小川くん、あんたのせいよ! 小川くんが嘘をついたせいで、私は信頼を失ったのよ!」
「・・・本当に・・・、ごめんなさい・・・」
真人は頭を下げた。だが、小野の表情は変わらない。
「長野くんに謝りに行きなさい!」
「・・・、はい・・・」
結局、真人は長野の家まで行き、謝る事にした。当然、両親も一緒だ。それが原因で、真人は両親に怒られた。そして、両親の評判は一時的に悪くなったという。
翌日、不登校になってしまった長野の家を訪ねた。長野の母によると、それ以後、家に引きこもったままで、テレビゲームばかりをしているという。これは大変な事になってしまったな。何とかしないと。
真人は2階の長野の部屋に入った。そこには、長野がいる。長野は部屋のテレビでテレビゲームをしている。四六時中そんな感じだ。心を閉ざしてしまい、テレビゲームだけが心のよりどころになっているようだ。
誰かが入って来たような感じがして、長野は振り向いた。そこには真人がいる。真人は優しそうな表情だ。昨日とはまるっきり違う。
「小川くん・・・」
長野は戸惑っている。まさか、真人がここにやって来るとは。
「ごめんね・・・」
「もう誰も信用できないよ!」
だが、長野は真人を突き飛ばした。とても怒っているようだ。まさか突き飛ばされるとは。真人は呆然となった。自分はとんでもない事をしてしまった。いつになったらまた学校に来てくれるんだろうか?
それ以後、長野は全く小学校に来ていない。いつになったら来てくれるんだろう。誰もが長野の事を心配していた。
河童は真剣にその話を聞いていた。真人もとんでもない事を起こしていたんだ。お互い様だね。早く、長野がまた小学校に来てほしいね。でも、それはいつの事になるんだろう。
「そんな事があったんだね」
「うん」
真人は下を向いてしまった。あまりにも大変な事をやってしまった。もう取り返しがつかないのではと思う毎日だ。一生その罪を背負って生きていくのでは?
「長野くん、それがきっかけで不登校になって、本当に申し訳な気持ちでいっぱいさ」
2人は決意した。これから、どんな未来が待っているんだろう。どんな未来が待っていても、明るい未来が待っているといいな。そして、長野がまた小学校に来てほしいな。




