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8月22日

 8月22日、夏休みもあと10日だ。そして、河童が元の世界に戻るまであと10日だ。真人は決めていた。今日はきっぱりと言おう。もう一度、東京を巡ろう。そして、今の東京を忘れさせないようにしよう。だが、河童は本当に受け入れてくれるんだろうか? 今の東京の移り変わりをどう思っているんだろうか? 行きたいと思っているんだろうか?


「ねぇ」

「どうしたの?」


 河童は上を向いた。急にどうしたんだろう。何か言いたい事があるんだろうか?


「もう一度、東京を巡ろうかなと思って」

「どうして?」


 河童は驚いた。まさか、本当に巡るとは。巡りたいと思っていたが、本当にできるとは。


「もうすぐ元の世界に戻っちゃうんでしょ? だから、思い出にもう一度行こうと思って」


 確かにそうだ。もうすぐ元の世界に戻ってしまう。そして、この時代の東京には行けなくなってしまう。それまでに、この東京の風景を忘れないようにしよう。


「いいじゃない! 行こうよ!」

「さーんせーい!」


 そして、再び東京に行く事が決まった。どこに行くかは決めていない。だけど、心に残る旅にしたいな。




 朝食を食べている中、夏江は驚いていた。また東京に行くとは。真人はどうしたんだろう。真人はそんなに東京が好きになったんだろうか? 東京の何が、真人の心を動かしているんだろう。自分にはわからない。自由研究のためだという事はわかっている。でも、どんな自由研究なんだろう。


「また行くの?」

「うん」


 真人は真剣な表情だ。その理由は言えないけれど、夏江にはわかる。何か重要な事なんだろうな。


「どうして?」

「何となく」


 だが、その理由を何も言おうとしない。何か言えない理由でもあるんだろうか?


「ふーん。気を付けてね」

「うん」


 真人は朝食を食べ終え、リビングでくつろいでいた。少し休憩して、準備ができたらまた行こう。どんな旅になるかはわからない。だけど、2人とも満足できるような内容であってほしいな。


 歯を磨いた真人は、2階の部屋にやって来た。部屋では河童が待っている。また東京を巡ると知って、わくわくしていた。いろんなことがあったけれど、あと10日で終わってしまう。もう真人には会えない。寂しいけれど、成長するためには大切な事だ。


 真人は準備を終えた。それを確認して、河童は立ち上がった。


「さて、行くぞ!」

「うん!」


 そして、真人は再び東京に向かった。




 2人は電車に乗っていた。真人は見慣れたものだ。だが、河童は初めて乗った電車に驚いた。人間はこんなものも発明したんだ。人間の進化って、すごいなと思った。そして、自分も変わらなければと思った。


「何度見てもすごいね」

「何が?」


 河童は車窓を見ていた。こんな風景を見る事ができるのもすごいな。300年で日本はこんなに変わるんだな。


「電車か。この時代にはこんなのがあるってのが」

「すごいっしょ。江戸はこんなに変わるんだよ」


 河童は思った。この風景を忘れないようにしよう。自分が見た300年後の江戸を、みんなに言いふらすんだ。みんな驚くだろうな。


「すごいね! 元の時代に戻っても、忘れないようにするよ!」

「忘れないでね!」

「うん」


 電車は二子玉川を過ぎると、地下に入った。それとともに、河童は静かになった。車窓が見えなくなったからだ。ここから目的地までは、地下区間だ。つまらないけれど、目的地に着くまで待とう。


「これが東京なんだね」

「ああ。もう江戸じゃない。東京なんだ」


 もうここは江戸ではない。今は東京だ。名前が変わっても、ここが江戸だったことに変わりはない。


「名前も変わるんだね。江戸の面影は消えていく。だけど、残り続けるものもある」


 真人は思った。もう江戸に住んだ事のある人はいない。だけど、江戸の風景を後世に語り継いでいく。どんな生活を送っていたのか、どんな出来事があったのか、何がきっかけで東京になったのか。東京の移り変わりを知る事は、人間の成長につながるだろう。


「もう江戸に生きた人はいない。江戸の生活の様子はだんだん薄れていくんだね」

「うん」


 2人は東京の都心に降り立った。辺りは高層ビルばかりで、江戸の風景は全くない。道路はアスファルトになり、車が走っている。アスファルトは夏の日差しを受けて、とても熱くなっている。東京は江戸時代に比べてずっと暑くなり、問題になっている。だが、それが普通だと思っている。あの頃の人々は、今の東京の、日本の暑さをどう思っているんだろう。


「これから、東京はどうなってしまうんだろう」

「どうだろう。でも、残すべきものは残していくんだろうな」


 だが、残すべきものは残している。歴史的な建造物や、江戸らしい建物だ。そして、江戸時代の面影を残そうとしている。


「それでいいんだよ」

「そうだね。これからも東京は、江戸の面影を残しつつ未来へと向かっていく」


 河童は高層ビルを眺めていた。昔とは比べ物にならないほど高い建物が建っている。あの頃は想像した事のない東京がそこにはある。


「うん」

「そして、ますます豊かになるために進歩していく」


 300年の間に、人間は生活を豊かにするために、様々な物を発明してきた。そして、豊かな生活を手に入れてきた。それによって、公害問題が起こったりもしたけど、今度は地球に優しい生活をするようになって、自然との共生を図ろうとしている。


「それはいい事だよね」

「ああ」


 真人も高層ビルを見ていた。300年前には、どんな風景が広がっていたんだろう。全く想像できない。だけど、江戸らしい風景が広がっていたんだろうな。


「こんなに高いビルができて、こんなに新しくなって」

「それに、こんな服を着ていて」


 河童は思った。真人もそうだけど、服装も変わった。より近代的に、国際的になった。だけど、そんな中でも江戸らしい、日本らしい服装も受け継がれている。着物がその1つだ。これからも、日本らしさを残しつつ、東京は未来に向かっていくのだろう。


「海外の文化が入ってきて、日本は変わってしまった」


 日本は開国し、国際的になっていった。そんな中で、日本らしさも受け継いでいる。それは、観光客をときめかせる日本の素晴らしさの1つだ。だけど、人々は日本らしさをよく知っているんだろうか?


「そして着ている服も変わっていく」

「日本はこうなっていくんだね。この思い出、大切にしないと」


 日本は何もかも移り変わっていく。風景も、服装も。だから、自分たちも変わらないと。

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