表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/6

だんごの吐いたゲロを食べるアムアム(2022年3月18日)

 14時過ぎにきよのちゃんが先にやって来た。昨日と同じ淡いベージュのカーデガンと、昨日と同じ紺のワンピでは無くて、パンツだった。下にはジャージ。

「猫じいだんご居るぅ?」

「いや残念。今日は朝から見てないんじゃ」と俺。

「そうなん!」と、がっかりした表情のきよのちゃん。

 と、日豊線沿いの住宅街の路地からこっちにゆっくりとやって来る茶トラ猫。

「だんごや。きよのちゃんだんごが来てくれたぞ」

「やったぁ~だんごぉ!」と、餌を片手に寄って行く。

「これほんと奇跡やでぇ。きよのちゃんが居るけん出て来てくれたんやでぇ」と俺。

 きよのちゃん本当にうれしそうに、「だんごありがとう!」と頬ずりする。


「きよのちゃんあいちゃんは?」

「3時頃来ると思うよ」のきよのちゃんの言葉通り、あいちゃんが日豊線沿いの住宅街の路地に姿を表した。何かを紙袋に入れている。髪は昨日と同じでジャージの上下を着ている。

「猫じいはい。ママから」と渡されたものは贈答用の「銘菓ひよこ」のお菓子。

 俺は、訪ねて来てくれたあいちゃんのママとは会って直接話したこともあるが、パパとは会ったことはない。でもあいちゃん、俺の直ぐ横で電話で喋った。そのときあいちゃん、どこに居るかと訊かれて、二回、「猫じいんち」とパパに答えている。贈答品をくれたあいちゃんのママの気持ちよ〜く分かった俺だ。

「ありがと。あいちゃんのママこんなことまでしてくれんで良かったのによ〜。気ぃ使わせてしまったな〜」と、俺はそのひよこを車のダッシュボードの上に置いた。


 曇り空で上着を着ていないと寒かったが、雨が降ることはなかった。二人が来て、何と太陽が顔を出した。

 あいちゃん得意気に、「うちら晴れ女だよ」

 駐車場の突端であいちゃんはステファニー、きよのちゃんはだんごを愛でる。

 俺は、「きよのちゃんのパパめっちゃ真面目なようやな。グーグルのアカウント見たら分かるわ」

「うん。お父さんめっちゃ真面目だよ。なんてったって塾の先生してるから」

 あいちゃん、「マリア(きよのちゃんのこと)の服、昨日と同じぃ」

「あいちゃん分からんの?んな訳ないじゃん」とダメ出しするきよのちゃん。

 俺が、「カーディガンは同じやけど昨日はスカート今日はパンツルックやもんな」


 集まって来た猫はステファニーをはじめ、アニキ、イモコ、アムアム、シロ、クロ、それにだんご。

 きよのちゃん、「今日のうちは幸せ!こんなに集まって来てくれた」

 俺は、「お前らアニキば今まで邪険にしとったけどよう見たらかわいいんぞ」

 あいちゃん、「猫じいの押しはアニキ?」

「まぁ強いて言えばアムアムかいな」と俺。

 あいちゃん、「えっ!猫じいステよりアムアム押しなん?」

「いやそういう訳じゃのうてステは別格。何て言うてもステはいつも膝の上に乗ってきてくれるし慰めて貰いよるけんな」


 きよのちゃん、「ねぇ見て見て。アニキ膝の上に乗って来たよ。かわいい!」

 きよのちゃん、そのあと、婆さんの敷地に戻っただんごを撫でに行く。

 と、「猫じいだんごがおかしい。苦しそう」

 寄って行ってみると、確かに何かを懸命に吐き出そうとしている。そして、口から出たものにきよのちゃん、「これカリカリ餌じゃない?お腹が減って一気食いしたんだよ」

 だんご、ゲロを二ヶ所に吐いて婆さんの庭に戻って伏せている。きよのちゃん、「寝方が違う。大丈夫かな?」

「猫の胃は強ぇしもう全部吐いたごたるけん直ぐ回復するさ」と俺。

 すると、俺の駐車場に集まっていた猫のうち、アムアムだけが近付いて来た。だんごが吐いたゲロをくんくん嗅いでいる。まさか?と思ったら徐に食べ出した。

 きよのちゃん、「アムアムそれだんごが吐いたものだよ。食べたらお腹壊すよ」とか、アドバイスしても聞く耳なんか持つ訳ない。野良猫だから。食べられると判断したら何でも腹の中に入れてしまうだろう。

 俺は、「こりゃ動画撮ってユーチューブに投稿や」


 その場でユーチューブに投稿しようと車に乗る。Wi-Fiが届くところでアップしないとギガを食ってしまうから。

 あいちゃんが運転席に寄って来て窓を叩く。人差し指に血、「どげんしたんか?」と問う俺に、「ステの爪で引っ掛かれたぁ」

「待て。カットバン捲いたる」と、家に入ってカットバンとティッシュとオロナインを持ち出して外に出たらあいちゃん、バケツの水で傷口を洗っていた。血が消えていたので、「どこやったかいな」と確かめて、応急処置。


 突然、「猫じいが屁ぇこいたぁ?」ときよのちゃん。

 平然と、「俺が人前でこく訳ねぇやんか」

 あいちゃんが俺をフォローしてくれる、「マリアその音、屁じゃないよ。猫じいの義足の音だよ」と。


 二人の餌が無くなったようだ、「新しい猫缶開けていいぞ」と俺。きよのちゃん、三缶入りの猫缶のラッピングを破る。

 あいちゃん、「マリアぁ、新しいの開けるならミャウミャウにして」

「これミャウミャウだよ」ときよのちゃん。

 開けた猫缶をあいちゃんが二つに分ける、「ミャウミャウめっちゃ柔らかい」

 俺も、「ほんとやな。次からトライアル売上ナンバーワン猫缶止めてミャウミャウ二セットにしてみるか」

 あいちゃん、「その方が良いよ。見て。ステの食い付きが違うよ」


 きよのちゃん、「あっ、ボス!」

「猫じいボスが来たよ」

 俺の家とJR斜面の竹林に挟まれた狭い庭にボスが居る。きよのちゃん、ボスにはカリカリ餌を用意してやる。

 トライアルで買った三百数十円の餌をだっぷりと気前良く?入れてやる。それに呼応して他の猫も寄ってきた。上から(スマホ画面の上から)ボス、クロ、アニキ、イモコ、アムアム、そしてだんごまで。本当はこの列に握り丸(婆さんの飼い猫のようになっているもう一匹の茶トラ野良猫)も加わればもっと壮観なのだが、きよのちゃんにビビって姿を隠している。

「おうこれは壮観。動画や。ユーチューブに投稿や」と俺。


 時間も押し迫った。きよのちゃんの門限は18時だ、「本当は猫じいにレジャーテーブル出して貰って宿題したかったけど…、それと山田と撮ったプリクラ燃やしたかったけど…、もう時間ないからぁ」

 俺が、「山田って?」

 あいちゃんが、「マリアのストーカーの男子」

「あっこの前大切な人へってきよのちゃんに手紙書いとった奴か?なんでそんな奴とプリクラ撮ったん?」

 きよのちゃん迷惑そうに、「一回だけってめっちゃ頼まれてかわいそうになって撮ってやったん」

「それとこれ」ときよのちゃん、バケツの中にマスコットを投げ入れた。

「あいつ(かなえちゃん)がくれたもの!」

 二人、「じゃぁまた明日ね」

 俺は答えて、「おう!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ