雨が降ったらハスラーの後部座席は二人の遊び場(2022年3月19日)
今日の天気はムカついた。朝には昨日からの雨は止んで何とか曇天を維持していた。買い物が終わって帰宅し、ランサーを拭き終る頃、俺の仕業を嘲笑うかのような再度の雨。その上、風も強くなる。せっかく拭き上げたランサーのボディーには強風で飛ばされた笹がこびり付く。
救いは、帰宅した11時頃、だんご(斜め前の婆さんが餌をやっている茶トラ)が現れて動画に撮れたことか。早速、きよのちゃんへのメッセージとして、ユーチューブにアップしてやった。
14時頃、あいちゃんときよのちゃん、雨風の中やって来て、「猫じい車に入れて」と後部座席に乗って来た。きよのちゃん、黒いレギンズと紺のワンピのスカートに、上着は淡いベージュのカーディガン。あいちゃんはジーンズに袖が長過ぎるだぶだぶのグレーのトレーナー。ポニーテールにはせず、長い前髪をヘアピンで留めてアップにしている。かわいい。
雨は霧雨、まだ止まない。俺が、「お前ら俺が上げてやった動画見たか?」
あいちゃん、「見たよ。昨日やろ?」
「ちゃうよ。今日の11時や。まだ雨降ってなかったけんな」
「そいでお前らサイゼで何食べたんか?」
あいちゃん、「何も食べてないよ」
「何も食べんでよう居れるな」ってドリンクバーでも頼んだんかな?
と、きよのちゃん、「だんごぉ!」
俺も、「おう、きよのちゃんが待ちに待っただんごや!」
きよのちゃん、勇んで車から出て行ったが、雨が降っているせいか、だんごの動きは鈍い。婆さんが猫のために庭に置いてやった敷物に座り込んでいる。車に戻って来て、「だんご寄って来てくれん」
俺は、「この前の婆さん、だんごに対するきよのちゃんの愛認めてくれとったやん。庭に上がって行って撫でても何も言わんのやない」とアドバイスしたが、あくまでも彼女が許せるラインまで移動させたいようだ。
あいちゃん、「蒲焼き三太郎かな。スルメが食べたいなぁ」
「おう蒲焼き三太郎。嫁が好きでファミマでよう買って食べよるわ」
「マリア(きよのちゃんのこと)ファミマに行こ。トイレもしたいし」と二人、ハンドバッグは車に置いたまま出掛けて行った。二人、近くのセブンイレブンかファミマで用を足す。俺の家が築52年ではなく、トイレもキレイだったら貸せるのだが。それは嫁との話題に上がったこともある。
嫁が、「女の子ちゃん長いこと居るけどトイレどうしよん?」
俺は、「近くのセブンがファミマに行きよるわ」
「うちのトイレ貸せばいいのに」と返す嫁に、「アホか!あげな汚ぇトイレあいつらに見せられる訳ねぇやないか。そいにコンビニのトイレはみんな使いよるけん気兼ねする必要がねぇけな」
雨は何とか止んだが、さすがにファミマに車で連れて行ってとは言われなかった。二人が消えたのを確認して、今日三度目の小便を空き家のコンクリートの階段に飛ばした。車に戻って窓越しに空を見上げる、『おう青空が出てきた。ラッキー!これで猫たちの動きがよくなる筈や』
ファミマから帰って来た二人。きよのちゃん、「うちらが来たけん晴れたんだよぉ」と、車に乗り込む。
あいちゃん、ファミマでカップスープにお湯を注いで持って来たようだ、「猫じいちょっと持ってて。ごめん汁が垂れたぁ」
「気にするこたぁねぇ。直ぐ乾くわ」と、俺は全く意に介しない。かわいい小六の女の子がやったこと。目くじら立てるような狭量なジジイだったら初めから二人と仲良くなんてなれてない。
雨が止んだら猫たち動きが良くなった。きよのちゃん、だんごを婆さんの庭から移動させようとするも上手くいかない。
「ダメ〜」と戻ってきたきよのちゃんに、俺は、「新しい猫缶開けてええぞぉ」
きよのちゃんの餌での誘き寄せが成功したようだ。ステファニーも出で来た。あいちゃんが車を出る。
雨が止んで青空は出たものの風は冷たい。ずっと外にいるのは無理がある。俺は車の中、だんごを愛でるきよのちゃんは肉眼で、ステファニーに餌をやるあいちゃんは車の運転席サイドミラーで眺める。
数日ぶりにだんごを撫でることができたきよのちゃん。だんご、午前中俺がユーチューブにアップした動画を撮っているときには、撫でても腹を見せることがなかったが、きよのちゃんのだんご愛に優しく包まれて寝転がったり足の下を潜ったりしている。
勝手口横でステファニーを愛でるあいちゃんに、だんごが婆さんの庭に戻ったため、きよのちゃんが合流する。きよのちゃん、車の横をすり抜けるとき、「ヤバい!だんごかわい過ぎるぅ!」
あいちゃん、「ヤバい!うちもステかわい過ぎるぅ!」
昨日はあいちゃんもきよのちゃんも、俺の家にはちょっとしか居なかった。雨も降っていて、ステは出で来ず、早々に目的のサイゼリヤに出掛けて行ったから。
雨は止んだが、まだコンクリート地は濡れている。ワンピのまま屈んだきよのちゃん、スカートが地面についている。
車の中に入って来たきよのちゃんに、「スカート濡れてねぇか?」
「うん、前もこんなことあったからうち学習したんよ。スカートの下に短パン履いて来てる」と後部座席でごそごそしていたが、ワンピとカーディガン脱いでいた。きよのちゃんが脱いだカーデガンをちゃっかり着ているあいちゃん。
きよのちゃん再び婆さんの敷地のだんごの許へ。あいちゃんは俺が外に出していたダイソーで400円で買った白い椅子に座ってステファニーに餌をあげている。だんごが婆さんの庭に戻って仕方なくあいちゃんの許に戻って来たきよのちゃんに、「ステめっちゃかわいい!椅子に座ったうちの膝に飛び乗ってくる。マリア(きよのちゃんのこと)もやってみる」と代わってやる。
二人、俺の駐車場の突端に移動してきた。ステを愛で捲る。俺も車を降りて二人の元へ。そこへ、婆さんの庭に居るのに飽きたのか、俺の駐車場に移動してきただんご。第一声はきよのちゃん、「だんごぉうちが恋しくて来てくれたんやね」と再び撫で捲る。そのとき、婆さんが庭のサッシを開けた。まぁ分かってはいたが、だんごとステファニー、即行で婆さんの元に駆け寄る。
今までだったら、あいちゃん舌打ちして、「めっちゃムカつく!ババア消えてくれないかな」とかディスっていたのだが、先日、この二人、何と帰って来ただんごを通して婆さんと仲良くなっていた。
二人、だんごとステファニーについて堂々と婆さんの敷地に寄って行く。婆さん、あいちゃんときよのちゃんに優しく微笑み掛けている。よくは聞えなかったが、多分、「ほら、二人のところに行って撫でて貰いなさい」とか、だんごに喋り掛けてくれたのではないか。
猫たちがばらばらになって、二人車に戻って来た。
きよのちゃん、「猫じい見たぁ?だんごうちのほっそい(細い)足飛び越えずに潜ったんだよ」
俺の、「おうちゃんと見たで。ほっそい足ね」に、あいちゃん、「マリア(きよのちゃん)のぶっとい足ね」とちゃちゃを入れる。
あいちゃんは外、車の中のきよのちゃんに、「かなえちゃんのことどうするつもりなん?」と俺。
「うちはもういいかなって思うんやけど、あいちゃんはまだかなえちゃんが好きらしいんだよね」
「で猫じい、あいちゃんババアのこと見直した、良い人かもって言ってたよ。変わり方早過ぎ。この前まで死ねぇババアとか言ってたのに」と笑う。
「まぁあいちゃんの気持ちの変化分からんことはないな。互いに猫好きなんやから」
あいちゃんときよのちゃん、アイパットミニに興じだす。あいちゃんの音ゲーの腕は凄い!きよのちゃんも認めている。
「あいちゃんアイパットダメにしたって聞いたけど」と俺。
「うん。踏んでしまったけど使えないことはないよ」
「津田にアイホン専門の修理屋ができたごたるで。行ってみたら」と勧めた俺に、「お金掛かるからまだいい」とあいちゃん。
きよのちゃん、「見て猫じい。画面ヒビだらけだよ」
「あいちゃんのアイパットの中、写真1000枚以上入っとるんやない?」と俺。
「五十数枚しか入ってないよ。要らない画像消していってるけん」
あいちゃん、三人のかわいい写真見せてくれた。その中には浴衣姿もあった。
「かなえちゃんの顔デカくない?」とあいちゃん。
答える俺は「顔が広い?」
あいちゃん、浴衣姿の二人の写真を出して、「猫じいはうちとマリア(きよのちゃんのこと)どっちがかわいいと思う?」と訊いてきたから、答えを暈す、「二人喧嘩になるけん言わん」
きよのちゃん、冷静な口ぶりで、「猫じいはあいちゃんがタイプやと思うよ」
あいちゃん、「じゃぁ今度はうちとマリアのどっちの浴衣が好き?」
「って訊かれたらきよのちゃんかな」
あいちゃん、「まっこれは仕方ないね。うちもそう思っとったけん」
あいちゃん、次に花火の写真出して、「さてここはどこでしょう?」
「広い家やったとしたらかなえちゃん」
きよのちゃん、「ブ、ブ~、うちの家でしたぁ」
俺は、「なら今年はここでやるか?」
あいちゃん、「いいのぉ?」
「おう」と答える俺に、「猫じい約束したからね」
あいちゃん、「さて今うちの頭の中に居る猫は誰でしょう?」
俺は適当に、「マルテン?」
「ブ、ブ~」
「ほんじゃぁクロコ」
「またまたブ、ブ~。シンジンでしたぁ」
「近頃全然見ないよね」ときよのちゃん。
「確か檻の前の家のエアコンの室外機の上に居ったような気がするが」と俺。
あいちゃん、ステファニーを追って車外に出た。相変わらずきよのちゃんのカーデガンを着たままだ。
きよのちゃんが意地悪。
「猫じいロック!ロック!」
あいちゃん、「入れないとこうするからね」ときよのちゃんのカーデガンを竹に擦り付ける。
きよのちゃん、「もううちのカーデガンが汚れるぅ。返してあいちゃん」
俺がロックを外すと、あいちゃん助手席に竹林側から乗り込んで来た。竹林に車、ぴったり着けているつもりだったが、あいちゃん身体が細いから。
あいちゃんの視線の先はグローブボックスの上の棚に置きっ放しにしている自費出版の小説。題名があいちゃんにバレたらまずい。どうしてって検索されたら俺のブログが特定されてしまうから。今書いているこの「小六女の子三人餌やり日記」が二人の知るところとなってしまう。あいちゃん、題名を見ようと思えばさっと手に取ってしまえばいいのだが、そうはしない。だから俺からしたらあいちゃんは良い子だ。
「ねぇ猫じい題名見せて。この小説ネットに上げてるの?」ときた。この前は俺のユーチューブのアカウント特定されてしまって、慌ててリンクを消してしまったが。そうしないとアメブロに飛んでしまうから。
「あいちゃんが中学でちゃんと勉強してほとんどの漢字が読めるようになったらな」と、俺は本を手に取ってグローブボックスの中に仕舞った。
あいちゃんのアイパットミニに電話が掛かってきた。あいちゃんのお父さんからだ。
「あいかか?」
「うんなぁに?パパ」
「今誰と遊びよん?」
「マリア(きよのちゃんのこと)だよ」
「今どこに居るん?」
ちょっと間を置いて、「猫じいんち」
「俺今から門司に車見に行ってくるわ」と、あいちゃんのパパ。
「うち遊べる軽がいい。色はオレンジ」って『俺のハスラーのことやないか』
「あいか軽は勘弁してくれや。兎に角6時過ぎにはアパートの駐車場に着くって思うけん家から出て来いよ」
「うん分かったぁ」
俺が、「シロが来たぁ」
きよのちゃん、「まだちょっと餌残ってるからシロにあげるとするか」
あいちゃんも外に出ようとしたから、俺が先に下りてやって、助手席から降り易いようにしてやる。
俺は車の中で、この「小六女の子三人餌やり日記」を更新していたが、ふと気付くとあいちゃんの鋭い目。俺慌てず普通にアメブロを閉じる。
あいちゃん、「しくったぁ。ちゃんと見えんかった」
危ない危ない!特定されてしまう。
きよのちゃん、門限ぎりぎり17時50分に家路に就く。あいちゃんも一緒に、「猫じいまたねぇ」
「おう、またな」