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3 『ウォールハック』

 カンカンと音が響く。

 砂のエリアから、鉄の建物にはいり、チートを探す。


 チートを探しているのか、システムを探してるのか。


 瞬間、アルファが足を止める。


「どうした、アルファ」


「隠れて」


 そう言われ隠れる。

 少し頭を出して先を確認すると、人狼のような、少し大きな生物が見えた。


「かなりレベルの高そうなウィルスだね」


「俺たちなら問題ないが・・・ゼータにやらせるか?やばくなったらカバーすればいい」


 アルファの呟きに、ベータが返答し提案する。

 そういうと、アルファが俺の顔を見て、肩に手を置く。


「あの・・・」


「やってみようか」


 そう言って、腕を引っ張られ先のエリアに放り出される。

 カンカンと音が鳴り、人狼がこちらを向く。


 顔が怖い。


 後ろを確認すると、アルファが頑張れと、腕を上げてウィンクしてきた。


 瞬間、正面から人狼が吠えた声がひびき、視線を戻す。

 銃を構えるが、引き金を引く前に爪の方が早かった。


 体を逸らし、爪を回避する。

 自身の顔より1.5倍。もしかしたらもっと大きいかもしれない手を回避する。


 後ろに体重がかかり、寝転がるように倒れる。

 背中に重い痛みがひびく。

 視界には人狼の足。 黒い毛皮の大足が視界を黒く染める、横に転がり、踏み抜かれる足を回避すると鈍い音と共に鉄の地面が少し凹む。


 俺は起き上がり、銃を発砲するが簡単に回避され、人狼が壁に張り付く。


「ゴキブリかよ⁉︎」


 俺が叫ぶと、人狼が眉間に皺を寄せる。


 人語わかるのか?システムなのに。


 すると視界の端からアルファが顔を出す。


「速度上昇のチートと比べるとめちゃくちゃ遅いから頑張って!」


 アルファがそう言った。


 弾丸が回避されるなら、回避できないくらい近づけばいい。


 人狼が下におり、空高く吠える。

 まぁ、建物のなかだから空はないんだけど。


 ガンガンと音を立てながら人狼が勢いよく走ってくる。


 それを見て、俺も徐々に人狼に近づき、走るスピードを上げていく。


 銃を握り直し、トリガーに指をかける。


「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 人狼の手が届く距離まではいり、右手を振り切ろうとする。

 だが、足は止めずに懐に入り、顎に銃口を突きつける。


「ふぅ・・・悪いな」


 俺はトリガーを引き、パァンと銃声が響く。


 弾丸は顎、頭を貫通し、天井にぶつかり床に落ちる。

 

 絶命したのか、人狼は石のように動かなくなり、ペリペリと身体が剥がれて行って光の粒になって消える。


 システムの破壊って、多分こう言うことなのだろう。


 横からカンカンと足音が鳴り、アルファとベータが近づいてくる。


「やったじゃん!」


「やりぃ!」


 肩を組み、背中を叩かれる。

 危ない場面があったが、ひとまずは安心だろう。


「あれに勝てたなら、大体のウィルスとは戦える。 行こう」


 アルファがそう言って歩き出す。

 それを見たベータが俺の肩を叩き、ニッコリと笑ってアルファの後に続いた。


 俺もため息をつきながら彼らの後ろをついていく。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あれからウィルスを破壊しながら進み、ある部屋に行き着く。


 全面が鏡で囲まれた空間だ。

 四方八方に鏡。


「変な部屋だな? なぁ?アルファ」


「確かに、全面が鏡の部屋なんて初めて見た。 それに、鏡以外に何もない、障害物も、何も」


 アルファは部屋の中をゆっくりと歩きながら視線を動かす。


 瞬間、どこからかカチャッと音がした。


「なんだ、今の音?」


「わからない。ゼータ、何か聞こえた?」


 キョロキョロと視線を動かしながらアルファとゼータがあたりを見る。


 俺は鏡をじっと見ていた。

 それは、歪みというか、なんか違和感があったからだ。


「アルファさん、ベータさん。ちょっといいですか、この鏡なんですけど・・・」


 俺が二人に声をかけると、二人はゆっくりとこちらにきた。


「鏡がどうし・・・ゼータ!」


 瞬間、ベータが動き出し俺の服を掴んだ。

 パァンと銃声と共に鏡に穴が空き、頭スレスレを通る。


 四方のガラスが次々に激しく割れ、エリアが激しく動き出し、障害物がパキパキと音を立てながら構築されていく。

 風景が外に変わり、風が流れる。


「気をつけろよ、アルファ!ゼータ! すでにチートの領域だ!」


 視界に入れるだけでも嫌になる程の障害物の量に、視界が遮られる。


「全員集まれ!」


 ベータの指示で集まる。


「いい⁉︎ ゼータ、君は初めてだからわからないけど、チートの領域は向こうの意思で障害物の増減や移動ができる! 全方位に注意して!」


 まるでタイムラプスでも見ているかのように、障害物が動きだし、止まる。

 

 静寂が流れ、数秒。瞬間、銃声が鳴りひびき、壁に弾丸が当たる。


「どこから撃たれたんですか⁉︎」


 俺がそう叫ぶと、ベータも叫ぶ。


「知るか!相手はウォールハック! 壁の薄さも自由自在だから壁の向こう側からも弾丸をぶち込んでくるぞ!」


 その声の後に弾丸が舞う。

 

 俺達は倒れ込み叫ぶ。


「うぉ!久々にやっべ〜! これは高いウォールハックだな!」


「言ってる場合ですか⁉︎」


「早く片付けるよ!」


 これが俺の任務になるのか。

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