表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/47

2 「初任務」

 オメガは立ち上がり、俺を見つめる。


「なんですか?」


 あまりに見つめられるので質問を投げかけると、オメガはニッコリと笑った。


「ゼータ。ついてきてくれ、仕事の内容と仲間を軽く紹介する」


 そう言われてオメガの後についていく。

 部屋を移すと、人が入れそうなカプセルが数台並ぶ部屋に来た。


 そこにはゴーグルをかけた女性が一人。


「シグマ!新人だ」


 オメガがそう言うと、女性が振り返りこっちを見た。


「あ、社長!なになに、新人っスか!?」


 頬にオイルなどの汚れが目立つ女性はにっこりと笑った。


 髪の色は薄い緑色で、瞳は金色。

 タンクトップにショートパンツと言う、ある種の界隈にはブッ刺さりそうな服装だ。

 胸はかなり大きく、谷間に目が吸い寄せられる。


 腰には何かに使用する工具がぶら下がっている。


 かなり汗をかいているが、制汗剤か?不快感のない甘い香りが鼻をくすぐる。


 シグマと呼ばれた女性はウィンクをしながらサムズアップを行う。


「やぁ、少年。ウチはΣ(シグマ)。よろしくっス~」


 シグマはそう言った。

 胸が大きいからか、行動のたびに激しく揺れ、目が吸い寄せられる。

 胸が躍る・・・物理的にだけど。


 瞬間、オメガに背中を叩かれる。

 自己紹介をしろと、そう言う事だ。

 

「俺の名前はゼータです。よろしくお願いします」


 そう言うとシグマは腕を組み頷く。

 胸が強調され、目のやり場に困る。


 なんとか視界から外そうと天井を見た瞬間、背後から声が響く。


「昨日の速度上昇チートやばくなかった?」


「マジそれな!破壊すんのに苦労したわ」


 そう言いながら入ってきたのは、男が二人。


 白髪と薄い茶髪の男性だ。


 二人とも身長は180ちょいくらいか?

 かなりいい体をしていて、白髪の男性は細マッチョと言う部類にはいるだろう。 髪の毛はツンツンとしたショートカットだ。


 白髪の髪に赤い瞳が特徴的だ。


 茶髪の男性は、筋肉はないがバランスの取れた体型をしていて、カッコいい。などと言う感想より美しい。と言う方が似合う気がする。 髪型は、白髪の男よりは長いが、肩には届かないくらいの長さだな。


「あ、社長。おはようございます」


 茶髪の男性がオメガに挨拶する。


「社長ウィーっス」


 続くように白髪の男性が軽く挨拶をした。

 この会社大丈夫か⁉︎


「彼らはアルファとベータ。 この会社では一位二位を争う手練れだ。 彼らから学ぶといい」


 オメガがそう言った。

 茶髪の男性が近づいてきて、右手を出す。


「僕はα(アルファ)よろしくね。慣れるまではサポートするから、がんばろ」


 アルファと名乗った男性は優しい顔で自己紹介をした。

 交わした握手も力が弱く、ちゃんと食べてるのか気になるほどだ。


 瞬間、白髪の男性が、アルファに体当たりをしながら割り込んでくる。


「俺はβ(ベータ)慣れるまでは一緒にやってこうぜぇ! 安心しろ安心しろ! 足引っ張っても怒りゃしないって!」


 そういながら俺の右手を取り、笑いながら上下にブンブンと振る。


「どうも、俺はゼータっ! よろしくお願いします!」


 自己紹介してるのに手を振りのを止めてもらえないから、話しにくい。

 やめてくれ。


「ん?これから仕事か?」


 オメガが二人を見ながら言った。


「そうっスよぉ〜。 いやぁマジきちぃ」


「はいはい、文句言わない」


 ベータの愚痴にアルファが対応する。

 彼らはこうしてバディを保ってるのか。


「内容は?」


 オメガが彼らに言うと、アルファがスマホを取り出し何やら操作する。


「今日の一発目はっ・・・あ、ウォールハックですね」


 アルファがそう言った。


 ウォールハック。

 壁越しでも相手を視認できると言うチートだ。

 イメージしやすく言うなら、障害物が全て透明になるみたいなもんだ。

 実態はあるから弾は貫通しないが、相手の位置や行動が丸わかり。 最終的にはプレイヤースキルが勝つのだが、場所がバレてるのはかなり厳しいため、FPS界隈だと、まぁまぁ嫌われている。


「あぁ、ウォールハックか。ならあまり難易度は高くないな。 ゼータも一緒に連れて行ってくれ」


 オメガはそういって、俺の背中を押した。


「了解です」


「オッケーす」


 アルファとベータはすぐに承諾して、俺の手を引く。

 

 カプセルに入れられ、足や手を拘束される。


「あっちでは僕たちがサポートするから。システムに侵入したら動かないで。 すぐに行く」


 アルファが頷くと、シグマが容器の蓋を閉める。

 カプセル内にプシューとガスが充満し、すぐに意識が途絶えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 視界が暗い・・・瞼を閉じているからか?


 俺はそう思い、瞼をゆっくりと上げる。


 視界に飛び込んできたのは、真っ暗な世界に緑色の罫線がいくつもある世界。


 イメージするなら図工の授業でよく使った画用紙だ。


「あーあー。シグマっス聞こえるっスかぁ?」


 直接話しかけるようにシグマの声が空間に響く。


「はい、大丈夫です」


「いやぁ、案外落ち付いてるっスねぇ。 将来有望・・・ありがたいっスわぁ。 今からチートのシステムに侵入します。 目標は、ウォールハックの破壊。 アルファさんとベータさんと合流してから行動を行うように。 じゃあ、侵入を開始します」


 瞬間、ジジジと電子音と共に世界が構築されていく。

 まるで、紙を切り取って一枚一枚貼り付けるみたいに壁や、地面。空が出来上がる。建物も大小さまざまだ。


 俺が呆気に取られていると、背後から足音がする。


「あ、いたいた。 ゼータ!」


 振り返ると走ってきたのはアルファだった。


「大丈夫?」


「はい、今のところは」


 アルファは俺の全身を見てクスッと笑った。


「なんですか・・・」


「いやいや、初心者っぽいなぁって。 この任務は簡単だから、ゲーム感覚でお勉強してね。 あと、システムに侵入したら風景が変わるから、変わったら・・・右太ももにある銃を抜いておいて。 これは絶対だよ」


 アルファが低い声で真剣に言った。


「了解・・・です・・・」


 俺は言われて初めて、自身が武器を所持していることに気づいた。

 侵入前に何か言ってくれればいいのに。


「よし、とりあえずベータと合流しようか。そろそろくるはずだから」


 数秒後、アルファの言う通り、ベータが走ってきた。


「いやぁ、悪りぃ悪りぃ。 ウィルス多すぎだわ」


「大丈夫だった?」


 息を切らすベータの背中をアルファが撫でる。

 それはともかく、ウィルスってなんだ?


「ウィルスって?」


「あぁ、ウィルスってのはね、雑魚のこと。 一般的に言う、アダルトサイトとか、ワンクリックとかで発生するウィルスじゃなくて、チート以外の障害を総称してウィルスって呼ぶの」


 アルファがそう説明した。


「障害・・・」


 俺が呆然としていると、ベータが話し始める。


「ゲームでいうと、チートがそのステージのボス。 ウィルスは道中の雑魚キャラってこと。OK?」


「お、オーケー」


  そういうとアルファがにっこりと笑い口を開く。


「よし、じゃあ行こうか。道中のウィルスも全部壊さないと帰還データがシステムに入れないから、ウィルスとチートの破壊ね」


 そう言って、砂を蹴りながら歩みを進めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ