86親父との決闘〜やっと終わったと思ったら邪神登場とか嘘だろ?~
「「「「おおおおっ……!」」」」
観客たちが歓声をあげる。闘いがクライマックスに入っていることを肌で感じているだろう。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は雷撃、天空の閃光、汝の敵を滅する一閃なり』
俺の雷撃が父を襲う。
「無駄だ。黙って私の魔法の前に屈せよ」
父が煽る。
気にする必要はない。符術言語を使った俺の雷撃の符術をもってしても、防御結界に穴をあけるのは難しいだろう。
俺の狙いはそこじゃない。
鑑定のスキルで親父を見ると、やはり。
親父の防御結界には雷撃の一撃を受けた場所が弱くなっていた。
そして、防御結界の正体。
風、水、火、土、雷の5属性、および物理攻撃の防御100倍。
つまり、光と闇、そして無属性には効果が低い、なら。
「親父、お前の防御結界には光と闇、そして無属性の耐性が低い。そうだな?」
「それがどうした? お前にはあるのか? 光や闇、ましてや無属性の攻撃魔法が? 私の防御結界を破ることができるのは伝説の勇者位だ」
ニヤリと笑う親父。そこには勝利の確信しかないようだ。
確かに普通全部の属性使えるとかないだろう。
だが、俺にはある。
光も、闇も、そして無属性も。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は光、輝ける光。空に広がる巨大な日輪となりかわり汝の敵を討つ者なり』
「な、なんだ、それは?」
父は俺の符術の結果現れた、光り輝く俺の光球に気が付いたようだ。
「なあ、親父、決着をつけるぞ!」
「ああ、さっさと死ね! 『氷晶の刑戮【ネーレーイデス・ブリリアント】』」
キィーーン! と。
俺は父の攻撃魔法を事も無げに振り払う。
驚いている親父の防御結界の弱いところに符術の連打。
魔法と違って符術はいくらでも同時発動可能なのだ。
パリーン
防御結界が破れる音がした。
「げっ!! はっ? はっ? 防御結界が? 嘘だ!?」
親父は困惑がおさまらない様子だ。
「親父、俺には魔力はない。だがな、符術がある。そして、8属性の全てを操ることもな。全部賢者のあんたにはとるに足らないスキルだろう? だけどな、それを組み合わせて工夫すればあんたの賢者の杖の防御結界をも破れるんだ。工夫なんて冒険者達はみなやってる」
観客がざわめき始めた。俺が強化された親父の防御結界を破ったことに。
「ん……? おい、まさか今の――」
「はっ? 今の? 嘘だろ!?」
「いや、事実だ。あのハズレスキル、賢者様の防御結界を壊した……」
親父も観客もどよめきが収まらない中、俺は父に止めに行った。符術言語の効果を消して。
「ノア・ユングリングが問う、彼はなんぞ?」
『我は炎、汝の敵を打ち砕く燃え盛る炎。汝の敵を打ち砕く刃なり』
「ぬあああああああああっっ!!」
父が唾と血を巻き散らしながら吹っ飛ぶ。
「お、俺……夢でも見てるのか……? 賢者様が――負けたんじゃ……」
「いや、そもそもあそこまでの威力の魔法使える奴なんて、世界にいるのか……?」
「歴史上の勇者様もさすがに8属性全部までは使えないよな……」
観客のどよめきを聞き流しつつ、俺は。
「おおおおおおおっ!!」
親父をもう一発符術を叩き込み、父を空にクルクル舞わせた。
――終わりだ!!
俺は落ちて来た父の前に手をかざした。
シン、と。
周囲は沈黙に包まれた。
あれほど騒がしかった観客も。いまこの瞬間だけは、誰も喋らなかった。
「…………」
親父は、突きつけられた掌を見て、口をパクパクさせている。
よほど信じられないんだろう。
自分の敗北がな。
賢者の称号を持つ神級魔法使いがハズレスキルに負けたことが。
「嘘……だ……」
「親父、お前の防御結界を破ったのは、魔法の応用だ。生活魔法でもできる。お前も持っているよな? 魔法はな、こうやって使うんだよ」
「ひ、ひぃ」
情けなく小便をちびってしまった賢者へ興味をなくした、だが俺は。
「こ、これは?」
それは俺の探知のスキルが大量に魔物が発生したと感じた。
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