8新しい武術言語
グレートベアーと対峙する。今度はなんと1対3だ。
冷や汗が出る。
ついさっき武術言語のレベルを上げたばかりだが、上げてなければジ・エンドだった。
いや、武術言語のレベルアップが正解だったかどうかはわからない。
結局剣術を上げた方が良かったという恐れもある。
俺は武術言語を発動しようと思考する。
例によって勝手に空間に文字が浮き出る。
『我が剣は無限なり。我が剣に勝る者なし』
空間に浮かぶ文字をそのまま読み上げる。
すると。
感じる。
闘気としか形容できない。
凄まじい気に満ちる。
「はぁ!!!!」
今まで苦労して倒していたグレートベアがたったの一撃で倒れる。
あの硬かった毛皮はまるでただの紙切れのようだ。
それに技の速度が全然違う。
俺はものの3分で3匹のグレートベアを倒した。
そしてついにこの階層主の部屋のドアを開け放った。
☆☆☆
階層主はグレートベアの主かと思ったら、グレートベア10匹だった。
「まさか数で来るとはね」
誰も聞いていないにも関わらず独り言が出る。
既に2日も誰とも話して無いんじゃないか?
俺は孤独感でいっぱいだった。
でも。
必ず生還してやる!
必ず復讐してやる!
リリーを穢し、命を奪った仇。
必ずとらしてもらう。
それだけを胸に誓い、自分を奮い起こさせる。
剣を抜き、武術言語を唱える。
既に自由に使えるようになった。
ただ思うだけで目の前の空間に文字が浮き出る。
「我が剣は無限なり。我が剣に勝るものなし!」
言霊となって身体中に闘気を纏うのが実感できる。
俺は10匹のグレートベアに斬りかかる。
既にグレートベア一匹なら怖い存在ではない。
だが数の脅威はなかなかのものだった。
何しろ目の前の一匹の鍵爪を避けると次が、そしてそれを避けると更に次が。
俺は乱戦の中、ようやく一匹に止めを刺す。
しかし。
「―――――!!!!」
倒れたグレードベアの影から次のグレードベアがその腕を振り下ろしていた。
刹那避ける。
だが!
「うっ!?」
避け切れなかった。
僅かに俺の左腕を少し削ぎ取られた。
利き手でなくて良かった。
利き手なら詰んでた。
不利になった事には違いがないのだが。
そして次の一匹を倒す頃にはまた怪我が増えていた。
ザシュ
最後の一匹に止めを刺す頃には俺の身体は満身創痍だった。
手も足も怪我だらけだった。
致命傷は無いもののとても全力は出せない。
高品質のポーションが無いと、詰んだかもしれない。
そんな思いに囚われるが。
「やった! エリクシールだ!」
俺は歓喜した。
ポーションがドロップせず、これ以上は体力の消耗から階層主と戦うより無いと判断したが、予想以上の深手を負って、明日からの戦いに影響が出る。
いや、詰んだ可能性があった。
俺は慣れた手つきでグレートベアの肉の一部を切り取り、血をすする。
血は鉄臭い上獣臭いなんてものじゃなくゲロマズだ。
だが水分補給の術が俺には無い。
冒険者や騎士団なら魔法で水を生成すればいいだけだ。
水を作るなんて生活魔法だから誰でも出来る。
できないのは魔力0の俺位だろう。
俺はすぐにエリクシールで回復すると安息の間に入って、スキルチケットも取らずにそのまま寝込んでしまった。
それだけ俺の戦いは熾烈だった。
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