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36微妙な勇者いつき

俺とアリスは鍵のかかった怪しい部屋に入った。


するとそこは書斎のようだった。


本棚にはたくさんの魔導書や古代の書物がびっしりと詰まっていた。


そして部屋の中心には大きな魔法陣が描かれていた。


「怪しすぎないか?」


「いつきは別に敵じゃない筈だよ。自分の後継者に引き継ぎたいって言ってたよ」


「そっか、じゃあ魔法陣に入ってみるか?」


「うん、一緒にいこ」


俺とアリスは魔法陣中に入った。


すると。


「おお!! ようやく私の後継者に相応しい者がここに辿りついたか! というより1000年ぶりに人と話せることがめちゃめちゃ嬉しいぞ!」


いきなり大声で現れたのは黒髪の端正な顔立ちで白いローブを羽織り、豪奢な姿の若い青年だった。


「久しぶりだね。いつき君」


「なんだアリスか」


やっぱりアリスの扱いはこんなものか。


察し。


「いつき君、酷い。久しぶりに会うのにそんな扱い?」


「いや、君を見捨て、あ、いや、そうじゃなくて安全になるまで待っていたし、私の後継者となる者の支えになるだろうと期待してたぞ。決して途中で見捨てられるとか思ってなかったぞ」


「ぷうううううっ」


アリスが頬を膨らます。


このいつきって男、本音ダダ漏だな。


ほとんど自白だろう。


「あの、2人の間に水を差すようで申し訳ないですけど、俺はあなたに色々聞きたいことがあります」


「うむ。もちろん我が後継者の君の質問にはいくらでも答えよう。アリスの相手をしている場合では無い」


なんかこの勇者めっちゃアリスに冷たいな。


何があったんだ?


「ぷぅぅぅぅ」


アリスが相変わらず頬を膨らますが、今はそれより俺はこの勇者に聞きたいことがある。


「あなたのことはアリスから勇者様だと聞き及んでいます。しかし、俺の知っている勇者譚では勇者の名前はソラです。これはどういことでしょう? 勇者ソラの前にあなたが勇者として活躍されたのでしょうか?」


「……」


勇者いつきはしばらく沈黙すると語り始めた。


「私は紛れもなく勇者と呼ばれた。私は異界からこの世界を救うためにこの世界に召喚された。そしてこの世界に魔の手を伸ばす邪神達と戦い、そして勝利した」


いつきは更に深いため息を吐くと。


「勇者ソラか……よくもそのような恥知らずな伝承を後世に残せたものだ。ソラは私達と同じ召喚者だ。異界の地球という星の日本からこの世界の神に召喚された。全てはこの世界を邪神から守るため。そしてたくさんの犠牲を払い私達はこの世界を救うことができた。だが」


いつきは忌々しそうに空を見下げると。


「ソラは邪神を滅ぼして後、この世界の王達権力者に取り入り、邪神を滅ぼした私達が危険な存在だとして追いやった。私のまたの名は魔王ルシフェルだ」


「ま、魔王!」


俺は驚いた。


何故なら俺の知っている英雄譚では勇者ソラが魔王ルシフェルを滅ぼしたとされている。


「私は魔王などでは無い。もちろん、女神様より優れた能力を授かり、この世界の人々よりはるかに強い能力を授かった。だが、中身はただの人だ。どこも変わりはない」


「あなたはこの世界を邪神から救うほどの力を持ちながら何故人々から追いやられたのですか?」


率直な疑問だ。


もし、この勇者いつきが通常の能力よりはるかに強い能力を与えられていたのなら、むざむざ人に追いやられるということもない筈だ。


「君は人に迫害されたからと言って、罪も無い兵士達を殺してしまうことができるのか?」


「……そ、それは」


確かにそうだ。


俺もリリーの復讐のためにヤツら以外の人たちに害をなすとかはできない。


「わかってくれるだろう。私達は残り少ない仲間と当時魔境と呼ばれた人が住めない地に逃げた。私は仲間を逃すためと、いつかやって来る邪神の仲間の再来に備えてここにダンジョンを作り、将来に備えた」


「あなたには仲間がいたのですか?」


「ああ、5人ほどな」


「ノア君。みんな女の子で、いつきの彼女だよ」


「アリス、余計なこと言わんでくれないかな?」


あ!?


もしかして?


「あの、あなたの生き残りの仲間は5人の女性とソラ、それ以外は?」


「みな、死んでしまった。私達7人以外はな」


「それでそのソラという男の彼女を奪ったのはあなたなんじゃないですか?」


「な、なんでそれ知ってんの?」


俺はこの勇者いつきを微妙な顔で見ながら思った。


ようはいつきがソラの彼女を奪ったりしたからこうなったんじゃないの?

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