17ダンジョンを抜けるには?
「俺の名前はノア。よろしく頼むよ」
「ノア君ね。大丈夫だよ。お姉さんがリードしてあげるからね」
何のリードだ?
俺はアリスの言うことを軽くスルーするものの、仲間として受け入れた。
この子も身内に裏切られた。
他人事とは思えない。
何より人と話したかった。
もう10日位は人と話してなかったんだ。
それにこの子は戦力になりそうだった。
仲間がいた方が生還率があがる。
「ノア君、スキルチケット取るの忘れてるよ」
「そうだった。ありがとう」
俺はアリスに促されてスキルチケットの宝箱を開けた。
次のスキルはもう決めている。
【体術】だ。
万が一剣を落としたりした場合の保険に最適だろう。
だが、アリスが口を挟んで来た。
「ノア君。どうして体術なの? Sクラスの神級魔法を取った方がいいよ」
「お、俺。魔力が0なんだ」
アリスは目を伏せると。
「……そっか。辛い思いしたんだね。顔で不自由しただけじゃないんだね」
何で俺の顔が関係ある?
この子、失礼過ぎん?
「ノア君が魔法を使えないと聞いてびっくりしたよ。だけど、代わりに凄い能力持ってるんだね?」
「俺は……俺は【空気が読める】ていう不思議な能力をもらったんだ」
「聞いたことないな。大丈夫だよ。ノア君のこと例えフツメンでも見捨てたりしないよ」
フツメンだと見捨てるのが普通ていう常識止めて欲しいな。マジで。
俺はこの空気が読めない女の子の発言は心の中でスルーして、この子に情報を求めた。
「君はこのダンジョンのことを知ってるの? ここを出るにはあと何階層位進めばいい?」
「ここを出るにはあと3階層攻略すればいいよ。いつきからそう聞いてるよ。でも、最後の階層は要注意なの。最後の階層はドラゴンばかりで、階層主はエンシャントドラゴンだよ」
エンシャントドラゴン。
勇者の英雄譚に出てくる最強の竜種。
あの邪竜、バハムートをも凌ぐ化け物の筈だ。
それに普通のダンジョンのラスボスの定番であるドラゴンが普通のポップアップモンスターとして出てくる階層とか手強いなんてものじゃないな。
「でも次の階層に黄金の鎧の部屋がある筈だから、そこで経験値やスキルポイント稼ぐといいよ」
「ありがとう。じゃ、これからよろしくね」
☆☆☆
俺はアリスと食事をした。
俺が持って来たドラゴンの肉をアリスが調理してくれた。
アリスは生活魔法の他、血術式という技と氷の神級魔法が使えた。
他にも治癒の上級魔法も使えるそうだ。
俺は火の入った肉とアリスが生成してくれた水で久しぶりに食事らしい食事が出来た。
何より人と会話が出来る。
「ねえ、アリスはどうして仲間から裏切られたの?」
俺は同じ裏切られた者同士、アリスに共感した。
だからお互いのことをよく知っておこうと思った。
しかし、聞かない方が良かったです。
だって。
「ノア君。私ね。可愛いでしょう?」
うん、まず自分から言っちゃダメだよね。謙虚になろ。
「だから顔で不自由しているお姉様方にね。不細工だと大変ですねって、同情申し上げたの。そしたら……」
あ。なんか察し。
ていうか、それほとんど自業自得。
「なんか変な術で真祖の吸血姫にされたあげく、世界中に指名手配されたの。だから私も指名手配状に、このブス共死に腐れやがれって悪口を書いただけなの……」
それは火に油を注ぐっていう行為だね。
同情の余地ないな。
「それで王立魔法兵団まで引き出して私のこと殺そうとするし、全国民に白木の杭を一律支給とかするから他の吸血鬼にまで怒られてね。その時勇者いつきに出会ったの」
「それでその勇者いつきという人に助けてもらったんだね」
「そうなの。いつきはいい人でね。でも、私をここに封印する時、なぜか罪を償ったら真人間に戻ってくださいね。今は臭いモノには蓋しかないからって……なんか良く意味がわかんないよね?」
俺は思わず目線を逸らした。
意味わかっちゃったから。
この子、助けてもらったんじゃなくて、マジで封印されてたんだ。
本人が気が付かなかっただけだ。
それ、俺が引き取らなきゃいけないとか酷くない?
でも、今は話すことができる貴重な仲間だから高望みしちゃダメだな。
俺はアリスの話を一通り聞くと大変だったねと言っておいた。
本心は当時の人達が大変だったねと思った。
「ノア君はどんな境遇なの?」
俺はアリスにかいつまんで話した。
アリスは憤慨した。女の子だからだろう、好きな人の前で蹂躙されたリリーに同情してくれた。でも。
「ノア君、もうこのさい人間なんて全員処刑しましょう!」
いや、この子の方を早めに抹殺した方が良いような気がした。
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