孤児院に転生
目が覚めて始めに視界を染めたのは木造の屋根らしき場所だ。
辺りを見回そうと首を動かして気付くんだが殆ど首は動いてくれない。
それに体を動かす感覚が妙だ、固いベットに寝ているらしい僕の体から伝わる感覚が異様に小さいのだ。
植物人間と仮定するにも可笑しな話だろう?
『ベロベロバ~!』
僕が周辺を探っている最中、僕は何か大きなものに持ち上げられたような浮遊感にジェットコースターみたいな感覚を覚える。
『よちよちよち~ 大丈夫でしゅよ~ ウンチかしら?』
『ご飯じゃないの? そろそろ時間でしょう?』
『そうですね~ じゃあネルちゃんミルク作ってきてくれる?』
『は~い! 待っててね!』
『気を付けるのよ~』
僕を持ち上げたらしい金髪を後ろで結んだ可愛らしい顔の15歳ソコソコの少女と初老の白髪を肩で切り揃えた昔は美人だったタイプの女性が不思議な発音の言語を介して意思疏通している。
少女の体つきは細いらしく感覚的には僕の縦幅と同じ程度だ。
それと僕のした辺りで推測6歳ソコソコの少女らしき声が聞こえたと思うとドタドタって足音が響いた。
と言っても小さな物だったけど。
・・・さて、どうゆう状況だ?
「アクアくん! 居ないと思ったらこんな所で何してるのよ!」
輪廻転生と推測される現象を経て6年、発見の多い時間を過ごした。
書庫で難解な数十種類の言語で書かれた本を読み漁り大まかな情報を得た僕は今、魔法とゆうのを学んでいる。
魔法とゆうのは使用者によって千差万別に効果を隔てる。
空気中に充満する魔力と呼ばれる不可視物質の其れに自らが持つ適正属性を命じると現象が起こるらしい。
適正属性とゆうのは宿す精霊の属性だ。
この世界では全ての生物が内部に1つの精霊を宿し生まれるらしい。
僕も例に漏れず精霊を所持している。
まあ使うまでは属性も分からない訳だが。
そして魔力に命じるとき、より複数の魔力に干渉するには高位の精霊を宿している必要がある。
精霊の要領以上に一度の魔力使用量を増やすとオーバーヒートして最悪は精霊を失い深刻な後遺症に苛まれるらしい。
「ああ、サクラ先生ですか。 ただの読書ですよ?」
そして僕が書庫に籠ることを容認できない人がいる。
それが彼女、シグレ・サクラ先生だ。
読書ばかりで同年代の子供と関わりを持たない僕は相当に可哀想らしい。
「皆も一緒に遊びたいと思うよ?」
「無いですね、子供とゆうのは残酷な生物ですから。 基本的に僕みたいな異分子は迫害の対象としてしか認識されません」
「そんなこと無いって~! そんな難しい本ばかり見てても面白くないでしょう? 絵が見たいのなら今から絵本読むのよ?」
「要らないですよ、別にえを見てるわけじゃ無いですし。 それに僕はヒトミが居るから寂しくもないですし」
僕は言いながら膝で寝る4歳に成ったばかりのシグレ・ヒトミを見つめ頭を軽く撫でながら言うと本に目を落とす。
「もお! 二人とも友達と仲良くしようよ! それにアクアくんは来週から学園に通うのよ? なか良くできなきゃ面白くないと思うよ~私は?」
「大丈夫ですよ、それに僕は人と関わるの嫌いですから」
「そんなこと言ってたら灰色の学校生活になっちゃうよ?」
「別に良いんですよ、実績さえ残せるなら何も言われませんし」
「まったくもぉ・・・」
呆れたような声で呟いたサクラ先生を一別すると僕は本を置いてシグレを抱き上げると部屋を出た。