表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/39

聖剣の加護

 宿屋で部屋を取った。

 一泊二〇〇〇ゴルダ。

 顔なじみの宿屋の女将さんのママリアさんに別れの挨拶をしておいた。


「そうかい、実家に戻るのかい。寂しくなるさねー」


 成人の儀を受ける前のこと。

 右も左もわからず、お上りさん丸出しだった俺。

 有り金を全てすられて途方に暮れていた俺を、宿屋の手伝いを条件にタダで宿屋に泊めてくれた以来の付き合いだ。

 家族同然の付き合いをしていて、今でもセンタリアに泊まる時はいつもこの宿を使っている。

 夕飯の片付けを手伝いながら、女将さんと昔話に花を咲かせた。


「あんな気弱な子が勇者パーティーに入るとは思わなかったさね」

「そのパーティーを追い出されちゃったんですけどね」

「そうだったわね。その剣はパーティーを辞めた時に勇者さんから貰ったのかい?」

「いやいや、勇者パーティーを追い出された時は一ゴルダも貰えませんでしたよ」

「それは酷い勇者さんさね」


 お皿を洗っている時に、ふと時計を見ると夜七時前。

 センタリアの店々の閉まる時間だ。

 俺は慌てて洗い物を済ませると買い物に出かける。


「故郷に戻るのでお土産を買ってきます」

「お風呂沸かしておくから、帰ってきたら入るんだよ」

「はーい」


 お土産を買いに、中心街へと向かう。

 帰郷なんて初めてで、お土産も買うのも初めて。

 当然、お店の場所がわからない。

 立ち尽くして店を探していると、後ろから通行人にぶつかられた。

 思わずよろけて地面に手を突く俺。

 そんな俺に向かって通行人が怒鳴る。

 なんでぶつかられた上に怒鳴られなくちゃならないんだろう。


「こんな往来のど真ん中で、ぼうっと突っ立ってるんじゃねーよ!」

「す、すいません」


 その通行人の勢いに気が引けて思わず謝ってしまった。

 通行人はそのまま怒り続けるでもなく、往来の彼方へと走り逃げていった。

 逃げる?

 なんで逃げるの?


「ん? もしかして?」


 腰に手をやると、帯刀してたはずの剣が消えていた。

 スリかよ!

 またかよ!

 大切な剣が盗まれてしまった。

 あ~あ。

 これで何度目のスリかよ。

 初めてこの街にやって来た時もこんな感じで財布を盗まれて途方にくれたんだ。

 田舎から出て来たばかりじゃねーのに、結構いい歳のなのに。

 しかも、完全にスリを見失ったし!


 でも、フェラインの少女は加護で失った剣が必ず戻ってくると言ってたしな。

 この前のが剣の加護なら、また空から剣が降って戻ってくるのかな?

 なので、それを確かめる為にもしばらく待ってみることにした。


 ――ダガーン!


 遠くで鳴り響く爆発音!

 なんか聞いたことのある爆発音だ。

 そして、目の前の地面に突き刺さる剣。

 剣が戻って来た!

 よかった!


 フェラインの少女の言うことは本当だった。

 無くした剣が戻って来るのは間違いないみたいだ。

 気になるのは爆発音。

 なにが起こったんだろう?


 音のする方向に行ってみる。

 三分ほど走った先にあった通りには人だかりが出来ていた。

 プスプスと煙を出しながら、さっきのカッパライが通りでのびていた。

 あらら、こんなところで……。

 死にはしてないみたいだけど、どう見ても無事じゃない。

 もしかしてこれも剣の加護のおかげ?

 剣は俺の手に戻り、経験値も手に入れた。

この話が面白かったと思った人は、是非ともブックマークと評価をお願いします。

皆さんの声が創作の励みになります。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ