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借金返済

 槍代も含めて三五〇万ゴルダの大借金を負った俺。

 これぐらいの大きな借金を抱えると普通には返済するのは不可能だ。

 まともに返済する方法が思いつかない。

 大金を稼げる依頼はドラゴンクラスの討伐依頼……。

 最低でも五〇〇万ゴルダ。

 ただし、高火力高耐久力の冒険者に限る。

 ミミズにも手こずる俺には無理。

 戦闘力が無くても出来るのは行商で一山当てる……。

 運が良ければ一千万ゴルダ超え。

 ただし、なにが流行っているかを知るという商人としての嗅覚がいる。

 それ以前に、最近は街の外を野盗が我が物顔でうろついている。

 それを倒せない俺には行商は無理。

 まあ、それ以前に商業ギルドに登録していない俺に行商は違反行為だ。


 どうやってこの大金を返済すればいいんだ?

 夜逃げか!?

 夜逃げしかないのか?

 ミリモの市民権を申請しようとしている今、夜逃げは選択肢に考えたくない。

 俺はナデシコの伝票の建て替えをして貰った冒険者ギルドのスピカさんに泣きつく。


「簡単で、楽ちんで、実入りのいい仕事を紹介してください! お願いです!」


 この際だ。

 身体を売る以外のことなら何でもしよう。

 ただし、俺に出来ることに限る。

 すると、スピカさん。


「そんな都合のいい仕事はあるわけないでしょ!」


 と、怒られると思ってたんだけど……。


「ありますよ」

「ぷぐ?(えっ?)」

「あるの!?」


 ウサタロウも俺もビックリだ。


「薬草取りです」

「へっ?」


 思わず間抜けな声が漏れた。


「なんで薬草取りが実入りのいい仕事に?」

「最近、ネバタリアできな臭いことが起こりそうで、ポーションや薬草の需要が急増して価格が高騰しているんです」


 そうなのか。

 そういえばネバタリアにメリッサさんを置いてきたまま帰って来たんだけど、あれから見掛けていない。

 大丈夫なんだろうか?

 心配だけど聞いたら絶対に騒動に巻き込まれるから、あえて聞かないけど。


 *


 ということで、皆で薬草取りに来た。

 今回はウサタロウがいるので、野盗やモンスター対策はバッチリだ。

 見つけ次第、即処理をしてくれている。


 ミリモはパンフレットを見て一生懸命薬草を覚えて手伝ってくれるし、ナデシコも覚えがいい。

 でも、一匹役立たずがいた。

 ゴレちゃんだ。

 小型ゴーレムのゴレちゃんはナデシコの肩に載って必死に応援している。


「その肩に乗ってるの、なんか役に立つのか?」

「この子は私の親友ですよ」


 ゴーレムが親友とは寂しい奴だな。

 まあ、俺も友達はいない方なので、そこは突っ込みをしない思いやりのある大人だ。


「この子は私の親友、いや心の友と書いて心友しんゆうですよ。役に立つ立たないで連れて来たんじゃないんです!」


 腰に手をやって片手を顔にポーズを取るナデシコ。

 いつもの怪しいポーズだ。

 ナデシコの肩に乗ったゴレちゃんも同じポーズを取っている。

 で、俺は再度聞いてみた。


「で、実際のとこ、何の役に立つの?」

「すいません、なんの役にも立ちません」

「なら、宿屋に置いてこいよ」

「これでも人工知能を搭載しているので、逐次自己学習と魔導解析を行っているんです! 宿屋に置いてくるのは嫌です」

「じゃあ、壊したり無くしたりすんなよ。三〇〇万もするんだから、バクダンが必要な時に無くしたらごめんじゃ済まされないからな」

「ゴレちゃんと一緒にいるのを許してくれるんですか? そんなポータが大好きです!」


 ナデシコが感極まって俺に抱きつこうとしたら、ミリモが必死に邪魔してた。


「な、なにしようとしてるんですか! ナデシコさん! 勝手にお父さんに抱き着かないで下さい!」


 二人は仲いいね。


 二人の薬草取りなんだけど、最初の頃は事細かに採った薬草を俺がチェックしないとダメだった。

 でも、昼飯を食ったあたりからは二人で相談しながら正しい薬草を集められるようになった。

 ずいぶんと飲み込みが早いな。

 普通なら一年ぐらいかけて覚える薬草の見極めだぞ。

 それを一日で覚えるとはなかなかなものだ。

 後で俺が納品前にチェックしてみたが、間違えたものは一つも混じっていなかった。


 ウサタロウには周囲の警戒を任せてある。

 モンスターがいれば狩ってきて、運搬役の俺に持ってくる。

 なんだかAランク冒険者でも狩るのに手こずるすげー強いモンスターも混じっているんだけど?

 ドリルラビットって、こんな格上のモンスターを狩れるの?

 一日で四〇匹ぐらい狩ってるから、ソロの狩りの成果としたら相当なもんだ。


 頑張ればもっと薬草を採れたかもしれないけど、子ども二人を連れているので日没前に早めに街へ戻る。

 納品をしたら、驚いたことに一七〇万ゴルダにもなった。

 ウサタロウ40万、ナデシコとミリモと俺で130万だ。

 ウサタロウの40万は納得の評価だけど、薬草の納品額がおかしい。

 高過ぎるのだ。

 三人で集めて来たから取って来た量が半端ないけど、それを考えてもいつもの単価とは全く違った。


「いつもの一〇倍ぐらいの買い取り価格なんですけど、間違えてないですよね? 後から返せって言っても返しませんよ?」

「朝、ネバタリアの件で薬草の価格が急騰してるっていいましたよね? それで高騰中なんです」


 ということだった。

 ちなみに朝から比べても倍に値段が上がってるそうだ。

 野盗相手にそんなに薬草が居るのか?

 まあ、細かいことに首を突っ込まないのが俺のジャスティスだ。

 かなりの収入になった今日の依頼。

 これなら明日も頑張れば借金を完済できるんじゃないのか?

 やっと俺に運が向いてきた!

第一部終了まであと少しです。

この作品の今後の予定を活動報告に書いておきました。

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