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新生チーム・改の腕試し

 ドリルラビットのウサタロウを仲間にした俺。

 何かトラブルが起きたら全部タモツのせいにしてやろう。

 そんなタモツを慕ったパーティーメンバーが話が長引いているので心配してやって来た。


「おいタモツ! いつまで遊んでるんだよ!」

「また馬車に乗り遅れるわよ。今度遅れたらロープで縛って引きずりまわすからね」


 勇者なのに全然慕われてねぇ!

 あまりにも扱いが雑でかわいそうになる。

 タモツは俺たちに別れの挨拶をした。


「あ、すまん。これから依頼なんだ。ウサタロウのことをよろしくな!」

「はやく行くぞ!」

「いてて、わかってるよ」


 タモツは仲間の女盗賊に尻を蹴られながらギルドを出て行った。

 それと入れ替わりで騒がしいのがギルドにやって来た。

 我がチーム最強のポンコツ、ナデシコだ。


「ポータ、ポータ、出来ましたよ!」


 俺たちの座る机に木箱を置いた。

 ドシンと机が揺れる。


「これが、例のバクダンなのか?」

「はい、我が知識を惜しみなくつぎ込んで作った新型爆弾です」


 そして箱の中から取り出したのは……。

 バジリスクの卵に手足が生えたような、小さな人形だった。


「この人形がバクダンなのか?」

「人形とは失礼な。これは小型ゴーレムのゴレちゃんなのです」


 これがゴーレムなのか。

 普通、ゴーレムと言えば家一軒分の大きさがあるものなんだが、このサイズで実現するのはすごい。

 ナデシコがいつもの怪しいポーズを取ると、それを真似するように手足を動かしている。

 なかなか良く出来ているゴーレムだ。


「これが空を飛んで爆発するのか?」

「残念ながら技術の問題で空を飛ぶことはかないませんでしたが、ちゃんと自らの意思で自走して爆発しますよ」


 爆弾の機能としては問題ないということか。

 短時間でこんなものを作って来るナデシコはさすが召喚勇者といったところだ。


「バクダンの威力はどれぐらいのものなんだ?」

「前のバクダンの一〇倍です」

「こんなに小さいのにか!」

「ナデシコさん、すごいです!」


 今まで黙って聞いていたミリモもビックリで思わず声が出ていた。


「ふふふ、我が技術は最高最強! 現代知識で無双するのです!」

「これなら、あの大ミミズを楽に倒せますね」


 ミリモが聞くとナデシコはノリノリでふふふと笑う。


「我がバクダンの威力であればデスオーガも一撃。試しに我にキツイ依頼を受けさせようとした憎き受付嬢を爆破してみせましょう!」

「その受付嬢ってメリッサさんか?」

「ですが、なにか?」

「おいやめろ! 俺まで殺人計画に巻き込むな!」

「ちぇっ!」


 危うく俺まで殺人の共犯にされるとこだった。

 メリッサさんが出掛けてていなくてよかったわ。


「ところで、この騎士さんは知り合いなんですか?」


 ウサタロウを指さし訪ねてくるナデシコ。

 まだ紹介して無かったな。


「おう、こいつはウサタロウ。新しく入ったメンバーだ」

「つ、ついに我がパーティーにも前衛が加入したのですね」


 ナデシコは律義に挨拶をする。

 いつもの大仰で怪しい名乗りでな。


「私の名はナデシコ! このセンタリアで最強魔導士だった者です!」


 最強魔導士が過去形になっているのがナデシコの良心を感じる。

 今は魔法を一切使えない、街一番のポンコツ魔道士だ。

 挨拶を済ませたナデシコはご機嫌斜めだ。


「私が丁寧な挨拶をしたのに、挨拶を返さないのは失礼な人ですね」


 俺は慌てて、ウサタロウの正体を明かす。


「実はこいつ、人ではないんだ。だから、挨拶が出来ないけど許してやってくれ」

「ぷぐー!(言葉を話せなくてすまないな)」


 それを聞いたナデシコは興味津々でウサタロウを見つめる。


「人では無いって、人を辞めた魔人かなにかですか? 私の厨二心が激しく疼きまくります!」


 相変わらず、意味不明な単語を口にするナデシコである。

 俺はナデシコに説明する。


「ウサタロウは魔人ではなく、魔物だ」

「魔物?ですか?」

「前にドリルラビットがいただろ? そいつだ」

「ぷぐー!(ウサタロウだ。よろしくな)」

「え? なんでドリルラビットが鎧を着てるんですか?」

「知るか! 俺も聞きたいぐらいだ」

「どこでその鎧を手に入れたのか、その謎、いつか必ず解き明かします!」

「その鎧はタモツが武器屋で買い与えたらしいぞ」

「タモツがですか? そういえば、そのウサタロウという名前。日本人が付けた名前っぽいですね……むう」


 そうなのか。

 どうりで聞きなれない変な名前と思ったわ。


「私の夢を先に越されて悔しいです」

「夢?」

「はい。私の一番の夢は世界最強の魔導士になることですが、二番目の夢は魔物を眷属けんぞくとして銘を付けることです」


 別にウサタロウはタモツの眷属や配下じゃないと思うぞ。

 まあ、細かいことを言うのは止めておこう。

 間違いなく改名を言い出したりしてややこしい話になると、俺の危機感知能力がこれでもかと警告している。

 俺は話題を変えてこの話を打ち切ることにした。


「さてと、前衛とナデシコの新型爆弾を手に入れたことだし、依頼を受けてみるか」

「お父さんの活躍が楽しみです」


 ミリモさんよ。

 俺はなんの活躍もしないぞ。

 相変わらずポンコツのままだ。


「これを受けましょう!」


 ナデシコが持って来たのはレッドドラゴン討伐。

 Aランクパーティーが一〇パーティー以上集まってもキツイ討伐だ。


「それだけはやめるんだ」

「なんでなんです?」

「デスディーションの使えた頃のお前ならともかく、今の俺たちには荷が重すぎる」

「し、仕方ないですね」


 それを聞いてまんざらでもないナデシコ。

 俺のいうことを素直に聞いてくれた。

 ナデシコはおだててコントロールするのが一番だな。


「レッドドラゴン討伐なんて受けたら、巣に着く前に灼熱のブレスでこんがりローストになるわ」

「では不服ですが、この前のミミズを退治に行きましょうか? リベンジです」


 *


 センタリアから歩いてやって来た毎度の鉱山。

 いつものようにナデシコもミリモも串焼きを頬張りまくりだ。

 ナデシコはご飯を食べるのも忘れてバクダンの研究に打ち込んでいたそうだ。

 空腹なのでとんでもない量の串焼きを頬張っていた。


「ひゃっと、つりまひたね」

「なに言ってるかわからないから、ちゃんと食べてから話すんだぞ」

「もぐもぐごくん。やっと着きましたね。私のゴーレムは破壊力が絶大なので扱いも繊細ゆえ準備に時間が掛かります。私はゴレちゃんの準備を始めますので、まずはウサタロウから実力の披露をお願いします」


 まずはウサタロウのミミズ討伐だ。


「ぷぐぷぐー!(まかせろ! 俺の雄姿を目に焼き付けろ!)」


 ぎゅいぃぃーん!

 ミミズを串刺し!


「すごっ!」


 騎士姿のウサタロウを見たことのないナデシコはびっくりだ。


「そのようなものを見せられたら私も黙っていられませんね。ふふふ」


 ――ナデシコのやる気が100上がった!


「ウサギさん強いです」


 その勢いは止まらず……。


 ちゅどーん!


 鉱山の壁に大激突!

 洞窟を破壊した上に落盤を引き起こす。

 トロッコが落石で潰れまくった。

 どんだけ破壊力あるんだよ!

 落盤の音を聞いて飛んできた管理人。

 惨状を見て顔を真っ青にした。


「おまっ! ワシの洞窟をなに壊してくれてんの? あー、大事なトロッコがあぁぁぁ!」


 結局修理代三〇万ゴルダ取られた。

 しかも、槍も折れて……。

 この槍、結構高いんじゃないの?

 一撃でどんだけ損害出してるんだよ!

 金輪際、鉱山で突撃禁止な。


「ふふふ、ウサタロウはそんな程度ですか。私のバクダンは最強! そんな程度の威力じゃないですよ」

「おまっ! またバクダンを使うのか?」


 顔を真っ青にしながら怒る管理人。

 そういえば、ここでバクダン使うと、空いた穴を埋めをさせられるんだった。


「ナデシコ、待った!」

「なんですか?」

「バクダンは使うな」


 ナデシコはゴーレムを指さす。


「既に出発した後で手遅れです」


 カチカチと音を立てながらミミズに向かってヨタヨタ歩いていた。

 あまりにもデカい爆弾を持っているのでフラフラだ。

 爆弾はミミズに抱き着き、大爆発!

 と思ったんだけど……。

 あまりにも遅いゴーレム。

 ミミズのワンパンで弾き飛ばされた。

 そしてバクダンは俺の足元に……。


「これって不発か?」

「失礼な。私のバクダンが不発弾なわけありません」

「ということは爆発するんだよな?」

「ええ。もうすぐ爆発します。五… 四… 三…」

「おいおいおい! やべーじゃないか! み、みんな、逃げろー!」


 ちゅちゅちゅちゅどーん!


 爆弾は大爆発!

 間一髪、俺たちは無事だったけど、この前の一〇倍ぐらいの大穴を空けたのだった。

 面白かったら是非とも高評価とブクマをおねがいします!

 創作の励みになります。

 よろしくお願いします。

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