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新生チームの初めての依頼

 ナデシコを入れての新生チームの初の依頼が始まった。

 結局受けた依頼は討伐依頼で、バンカー鉱山に湧くミミズの討伐。

 石炭運搬用のトロッコの線路脇に湧くミミズを討伐するという簡単なお仕事だ。

 ナデシコから勧められた依頼。

 ナデシコは得意気な顔をする。


「ミミズなんて、足が無くて動けないですから、遠くから弓や魔法でちょちょいと倒せばいいのです」

「でも、今のお前は魔法を使えないんだろ?」

「うぐ!」


 ――ナデシコは100ダメージのショックを受けた。


 思いっきり口ごもっている。


「あの、まあ、でも、みんなでタコ殴りすれば余裕ですよ」


 ということで、センタリアの街から歩いて一時間のバンカー鉱山にやって来た。

 鉱山の管理人に挨拶をする。

 頼みもしないのにナデシコが話し始めた。


「ミミズ討伐の依頼で冒険者ギルド随一、いやこの国最高の魔導士がやってきましたよ」


 ナデシコは大仰な自己紹介しか出来ないんだろうか?

 そんなナデシコを管理人のおじいさんは軽く流す。


「おおう、ミミズ狩りの人か。よく来てくれた」

「ミミズ狩りの人とは失礼な。我はキングドラゴンを屠りし大魔道士ナデシコ、むががが」


 話がややこしくなりそうなので、ミリモに頼んでナデシコの口を閉じる。

 俺が管理人との話を引き継いだ。


「ミミズを狩ればいいんですよね」

「おうさ。トロッコの線路脇にやっかいなミミズが住みついてしまったんだよ。石を投げつけてくるから危なくて通れなくてね。あんたらの仕事はそいつを退治するだけだ。まあ、そこにいるお嬢ちゃんみたいなのでも、遠くから魔法を撃ちこめば余裕だな。ガハハ!」


 お嬢ちゃん呼ばわりされて悔しい思いをしたナデシコ。

 デスティーションを再び使えるようになった時の壊すものリストに、この鉱山と管理人書き加えたのであった。


 *


 早速鉱山の入り口にミミズを見つけた。

 ミミズだからかなり小さいものを想像していたけど、思ったよりもデカい。

 ナデシコの背丈ぐらいと、ミリモの胴回りぐらいの太さがある。

 ミミズよりもワームに近い。


「かなり強そうなんじゃ?」

「たかがミミズ。どう頑張ろうとミミズ。この史上最強の大魔道士の前では単なる経験値の肥やしにしか過ぎません」

「魔法の使えない大魔道士だけどな」

「うぐっ!」


 ――ナデシコは120ダメージのショックを受けた。


 言わなくていいことを言って自爆するナデシコ。

 戦う前からヘロヘロだ。

 ナデシコには任せてられないので、俺が聖剣を掲げて突っ込む!

 キラキラ光ってカッコいい。


「どりゃー!」

「べちん!」


 俺の攻撃は固い皮に弾かれて微ダメージ。

 寝起きの猫パンチぐらいの威力しかなかった。

 ミミズは俺が呆然としていると「みょーん!」と体長と太さが倍ぐらいになる。

 さらにデカくなったミミズ。

 目の前に大木が現れたみたいだ。


「う、うそだろ?」


 ミミズは、俺の横っ面を頭突きで殴ってすっころばした。


「ぐほー!」


 あきれ返るナデシコ。

 大声で騒ぎだした。


「な、なにやってるんですか? なんで歩けない相手にやられてるんで、ぶごはっ!」


 大声で騒いでいたナデシコ目掛けて、こぶし大の石が投げつけられる。

 結構な勢い。

 そして顔面に命中。

 ナデシコもその場でぶっ倒れた。


 *


 鼻血を垂らしながら、街へととぼとぼと帰る俺たち。

 ミリモが無事だったのが不幸中の幸いだ。

 ナデシコが戦いを振り返る。


「なかなかの強敵でしたね」

「俺たちには歯が立たないぐらいの強敵だったよ。誰だよ? ミミズは弱いと言ってこの依頼を受けたのは?」

「私ですけど、なにか?」


 ナデシコは開き直って謝る気は無いみたいだ。

 負けた原因は俺だが俺も謝る気は無い。

 ミリモが険悪になった雰囲気を和らげようと、ひっしに取り繕う。

 かわいいかわいい。


「でも、よくよく考えてみたら、簡単に倒せるなら鉱山の人たちで倒して、わざわざお父さんみたいな熟練冒険者に依頼なんて出さないですよね」

「強敵なのは当然なのです」


 楽勝とか、雑魚とか舐めくさっていた奴が言うことか?

 まあ、でも、ミミズが強敵なのは事実。

 それも、ミミズが強いんじゃなく、俺たちが圧倒的に弱いのが原因だ。


「弓か魔法を使える冒険者を雇うしかないか」


 俺がボソッとそうつぶやくと、人差し指を口の前に出したナデシコが左右に振る。

 否定のしぐさらしい。


「冒険者を雇う必要はありません。ここは私に任せてください」

「お前に任せて大丈夫なのか?」


 ナデシコは勝ち誇ったような表情をする。


「火力が無ければ、買えばいいんです!」


 そういったナデシコの顔は自信に満ち溢れていた。

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