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封印の首輪

 タモツは依頼票を持ってパーティーメンバーの元に戻るとドヤされていた。

 激おこの僧侶のお姉ちゃん。


「なんでこんな簡単な依頼を受けてくんのよ!」


 ブチ切れた戦士のおっさん。


「こんな安い依頼じゃ、宿代も払えねぇだろ! リーダーなんだからもう少しちゃんと報酬を見ろよ!」


 クールに決めた盗賊のお姉ちゃん。


「あんた一人でやりなよ」


 もう、かわいそうなぐらいフルボッコである。

 召喚勇者ってパーティーメンバーから尊敬されてるもんだと思ってたけど、そうでもないみたい。

 ナデシコ用の簡単な依頼を横取りしたのが原因なので自業自得なんだけどね。

 ここまで叩かれまくるとちょっとかわいそう。

 あまりにも責められたタモツはブチ切れた。


「あー、わかったよ! 俺一人でこの依頼をやればいいんだろ! いいだろう! やってやろうじゃないか!」


 半泣きで冒険者ギルドを飛び出していった。

 それを見てポツリと感想を漏らすナデシコとミリモ。


「荒れてますね」

「ですねぇ」


 ミリモとナデシコは二人して冷めた目で騒動を見ていた。

 トラブルにはあえて首を突っ込まない主義の俺。

 あえて、荒れたパーティーには関わらない。


「さてと、新しい依頼を受けるか」


 俺が言った一言を聞いて、ナデシコは目をキラキラさせながら俺に訴える。


「私の贄となる、食材が採れる依頼がいいです」


 ミリモも上目遣いで俺に頼み込む。

 かわいい、かわいい。


「お父さん、おいしいご飯が食べられるように、簡単でお金になる依頼がいいです」


 お前ら食欲に忠実過ぎ。

 でも、冒険者ギルドで働いている目的を忘れていないかい?


「俺はミリモの経験値になる依頼がいいな」


 それを耳にしたメリッサさん。

 おすすめを強引に紹介してくる。


「ならば、ボーンドラゴンなんていかがでしょうか?」


 俺たちは声を合わせる。


「「「却下!」」」


 無理! 無理! 無理!

 ボーンドラゴンて、ゾンビ系の上位モンスターじゃねーか。

 そんな依頼を受けたら、邪気ブレスで骨まで残さずに腐って消えてしまう。

 それを聞いたメリッサさんはかなり不服みたい。


「なんで、こんないい依頼を断るんです? 経験値もお金もたくさん貰えますよ? キングドラゴンを倒したナデシコさんがいるのならば、余裕でしょ?」


 あー、メリッサさんは今のポンコツナデシコを知らないんだな。

 俺は事情を説明することにした。


「前のナデシコなら余裕だったかもしれませんが、今のナデシコは魔法を全部封印されてるらしいんですよ」


 メリッサさんの顔が青ざめる。


「魔法を全部、封印? 嘘でしょ?」

「本当です。私の魔法は悪の組織によって全てを封印されました」


 慌てだすメリッサさん。

 なにかの書類を調べている。

 そして、何かの書類を見つけたみたいだ。


「ほら、ここを見てください。首輪で魔法を封印するのはデスティーションだけで、他の魔法は一切封印されてないはずですよ」


 それは封印の首輪作成に関する依頼書だった。

 依頼者はメリッサさん。

 書いた本人だから、依頼書の中身を覚えていたみたいだ。


「このアホは、そのデスディーションに全スキルポイントをつぎ込んでたらしいんです」

「ええー?」


 メリッサさんが依頼したのは確かにデスティーション封印だけ。

 それで危険な魔法は封印され、ナデシコは優秀な魔道士になるはずだった。

 まさか、デスティーションにしか魔法を振っていないとは思ってもいなかったメリッサさん。

 ナデシコは魔法を一切使えないポンコツに成り下がっていたのだ。


 これはとんでもないことになってしまった。

 ポータさんの身を守れる新たな冒険者を至急紹介しないと。

 そうメリッサさんは思ったんだけど……。


「嫌です! このパーティーを辞めたくないです!」


 ナデシコは俺にしがみ付いてパーティーを抜けるのを拒否した。


「だって、だって!」


 駄々をねるナデシコ。

 ナデシコはメリッサさんの耳元でポツリと囁いた。


「ポーターさんのことが好きなことをバラしますよ」

「ぬあ!」


 メリッサさんは血相を変えて、ナデシコの手を引いて奥の部屋へと消えていった。


 *


「なんでそのことを知っているんですか?」

「すべてお見通しです」


 ナデシコは怪しいポーズを取って勝ち誇る。


「悪の組織の仮面の人ですよね?」

「うぐ! そこまでバレていましたか」


 そこまで見切ったナデシコの洞察力にメリッサは怯えた。

 まあ、さっきの受付でのやり取りを冷静に見ていれば、封印の首輪の制作依頼を出したのはメリッサさんであることは誰にでもわかった。

 さらに怪しいポーズを取り、マウントを取り始めたナデシコ。


「これでも私は見た目よりも賢いのですよ。少ない情報から全てを見通す。見た目はヲタク頭脳は大人の名探偵〇ーナンとは私の事です」


 フハハハ!

 と怪しい笑い声が部屋に響く。

 あれだけ情報があれば誰でもわかる話を得意気な顔で語るナデシコ。


「とにかく、私はこのパーティーを抜けたくないのです」

「わかりました」

「あと、デスティーションの封印も解いてください」

「それは無理です」

「なんでなんですか!」

「それはミリモちゃんのレベルを10まで上げないと無理です」

「なんですと!」


 ミリモのレベル10到達までどれぐらい掛かるんだろう。

 半年、一年?

 ナデシコは気が遠くなる。


「ナデシコさんが逃げ出さないように、そういうふうに首輪の制作依頼をしたので」

「他に封印を解除する方法は? メリッサさんを殺せばいいんですか?」

「な、なに物騒なことをいってるんですか!? そんな封印の解除方法を設定するバカは居ませんよ」

「マジですか?」

「ほんとうです」

「じゃあ、この首輪を作った作った人を倒せば!」

「作ったのは神官長ですよ。そんな人を倒せるんですか?」

「神官長?」

「この世界への初めての召喚勇者であり、召喚勇者ランクトップに延々と君臨し続ける神官長です」

「ランクトップって、そんなの倒すのは無理ゲーです」


 召喚勇者ランク四八位のナデシコは床に崩れ落ちた。

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