表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

19/39

ライバル登場?

 朝、突然俺を襲ってきた衝撃。

 なにかが腹に食い込む!

 

「ぐはっ!」


 凄まじく重い攻撃。

 まさか、ウサギが襲ってきたのか?

 俺は飛び起きる。

 だが、目覚めたのは俺の部屋。

 そしてベッドを見ると、パジャマからおへそを覗かせた、とんでもない寝相ねぞうのナデシコ。

 どうやら、最悪の寝相のナデシコの足が俺を襲ってきたようだ。

 なんちゅう寝相なんだよ。

 パジャマをはだけさせながら、ゴロゴロと転がっている。

 ムカついた俺はナデシコの低い鼻をつまむ。


「むが! むがむが!」


 すぐに暴れ始めた。

 そして飛び起きた。


「ぷはーっ!」


 苦しかったのか息を荒くしている。

 そして辺りをきょろきょろと見回すナデシコ。


「あれれ? 溺れるほどのタピオカミルクティーのプールは?」


 意味不明の呪文のようなものを呟いているけど、気にしない。

 ナデシコが飛び起きたもんだから、ミリモも目が覚めたようだ。


「おはようございます」


 ミリモはいつも通り礼儀正しく俺に朝の挨拶をする。

 かわいい、かわいい。

 さすが俺の娘。

 俺の部屋にはミリモとナデシコが泊まっている。

 ミリモが俺の部屋に泊まっていると聞いたナデシコが一人じゃ寂しくて寝れないと強引にベッドに潜り込んできた。

 どちらも食欲が第一の子供。

 一緒に同じベッドに寝ても、間違いを起こすわけもない。


「さてと、着替えて朝の食事に行くぞ」

「はーい」

「今日もお腹が裂けるまで食べまくるぞー」


 いやいや、ナデシコさん。

 朝からそんなに食べないで欲しいんだけど。

 昨日どんだけ食べたのか覚えてないんですか?

 俺の財布の中身を心配しながら食べて欲しいです。

 そんなことをしていると……。


「ぎゃー!」


 店の一階から、ママリアさんの叫び声が!

 もしや、強盗でも入ったのか?

 俺は慌てて、現場に駆け付ける。


 宿の入り口ではママリアさんが腰を抜かして座り込んでいた。

 俺はママリアさんに手を貸して引き起こす。


「大丈夫ですか?」

「だ、大丈夫さね」

「なにがあったんですか?」

「角が生えた、子ども位の大きさの大ウサギがやって来て、ポータにこれを置いて行ったんさね」


 やって来たのはドリルラビットか。


「それって、俺の知り合いかも」


 見るとそこには頭を何かで刺されてトドメをさされたウサギが三匹置いてあった、

 それを見て大喜びのナデシコ。


「ウサギです、ウサギですよ! 今日も朝からウサギのグリルが食べられます!」


 このウサギは、どうみてもドリルラビットが仕留めたようにしか見えない。

 昨日見逃したお礼だろう。

 あのドリルラビットは貸しを作らない主義なのかもしれない。

 さすが、我が好敵手ライバルと書いて友である。

 でも、ウサギがウサギを狩っていいものなのか?

 友がウサギ社会で除け者にならないか心配だ。


 *


 朝からウサギのグリルという豪華な食事を摂った俺たち。

 ナデシコは胸よりも腹が突き出る位食いまくった。


「食事を十分に摂らないと、大きな胸のグラマラスな女になれないのです」


 ナデシコは、なにを意味わかんないことを言ってるんだ?

 胸じゃなく腹を突き出していて、グラマラスも無いだろう。

 その言葉を聞いたミリモは、なぜかナデシコにライバル心を抱き食いまくろうとしたが俺が必死に止めた。

 そんな言葉を真に受けるなよ。

 アホな子が一人いるとまともな子にまで悪影響が伝染しそうで困る。


 ギルドに着くと、ナデシコが受付嬢のメリッサさんにドリルラビットを倒したことを自慢。

 それはそれは、楽しそうに。


「ドリルラビットにトドメを差したんですよ! こうやって角を持ってね!」


 ウサギの角を持った決めポーズをしている。

 ドリルラビットを捕まえたのは本当だけど、それ以外はかなり脚色しまくり。

 まあ、同じレベルで争いたくないので俺は突っ込まないけどね。


 それを聞いたメリッサさん。

 なぜに、圧倒的実力を持つ転生勇者のナデシコがドリルラビットなんて狩っているのか不思議がっていた。

 ナデシコの必殺技のデスティーション、すなわち全魔法が封印されているのを知らないんだから仕方ない。

 史上稀な超一流の魔導士から、人類史上最弱の超ポンコツ魔道士になったことなんて知るわけもなかった。

 メリッサさんは、強かった頃のナデシコに見合ったもっと稼ぎのいい依頼を紹介する。


「このコッファー鉱山のバジリスク討伐なんてどうですか?」


 いつもは尊大な態度を取るナデシコが怯えている。


「バ、バジリスクですと! こんな危険な依頼を受けないとダメなんですか?」

「受けないとダメです。これぐらい余裕でしょう」


 ナデシコは恐怖に震えていた。

 そりゃ、一つも魔法を使えないしな。

 バジリスクを知らないミリモが俺だけに聞こえる声で聞いて来た。


「バジリスクって強いんですか?」

「かなり強いぞ。石化をする邪眼を使う敵でな、ドリルラビット一〇匹分ぐらいの強さだ」

「そんなに強いんですか?」


 ミリモも震えだした。

 正直バジリスクはキツイ。

 商人で戦闘力ゼロの俺も歯が立たない。

 俺も震えたいぐらいだ。

 だから、この依頼を受ける気は無いから安心しろ。

 と思ったら、メリッサさんはナデシコの腕を強引に掴むと無理やり拇印ぼいんを押した!

 ちょっ!

 なに勝手に受けさせてるんだよ!

 依頼票を手に取ってみてみると、消えないぐらいしっかり拇印が押されてるし。

 依頼達成できる訳が無いんだから、違約金が掛かるじゃないか!


 そこにやって来た男。

 かなり豪華そうな剣を腰から下げているところを見ると、それなりに稼いでいる冒険者なんだろう。

 男はナデシコ以上の尊大な態度を取る。


「あれー? 史上最悪の魔導士のナデシコじゃないか。もう牢屋から出て来れたのか?」

「なんだ? こいつ?」


 なんか、ナデシコの知り合いだったみたいなので俺は聞いてみた

 ナデシコが答える前に男が答えた。


「なんだ、こいつだと? 俺の名前を知らない奴がこの街にまだ居たとはな。どこの田舎者だ!」

「私も知らないです」


 そう言ったのはミリモ。


「えっ? お嬢ちゃん、本当に知らないの?」

「知らないです」

「ぐはっ!」


 俺に知らないといわれた男はムカついたが、童女に知らないといわれるのはショックらしい。


「私もこんな人、知らないです」


 ナデシコも知らないという。

 知り合いじゃなかったの?

 ナデシコは危ない人から避けるように、俺の後ろに隠れた。


「おめーはこの俺様を知っているだろ!」


 怪しい決めポーズを取る男。

 なんとなく、ナデシコと同じく関わってはいけないようなヤバい臭いがする。


「この俺様は、異世界日本から召喚された召喚勇者! 勇者ランクNo.7の疾風の(タモツ)だ!」

「なんですか? 私が捕まっていても助けに来てくれなかったのに、勇者なんですか?」

「おめー、俺のことを覚えてるじゃねーか!」


 男は憤慨していた。


シッのくせに!」

「そ、その名前で呼ぶなって言ってるだろ!」


 『シッポ』というあだ名で呼ばれたのが気に入らなかったのか、身体をプルプルと震わせ顔も真っ赤にしたタモツ。

 ナデシコの持つ依頼票に気が付いたタモツは奪い取る。

 依頼票を見たタモツがニタリと笑う。


「依頼票が赤いってことは、再交付だな。この依頼の報酬を奪い取ってやるぞ! アハハ!」


 タモツは受付に依頼票を叩きつける!


「この依頼と同じものを受けさせろ!」

「それはナデシコさんに発行した依頼です」

「笑止! 再交付の依頼は発行数に制限ないはずだ。今すぐに、この俺、タモツ様にも依頼を発行しろ!」

「たしかに依頼の多重発行は出来ますが、重大案件以外で適用された事例はありません。そんな無茶を言われましても……」

「召喚勇者である俺が関わる依頼は全て重大案件だ!」


 無茶を言われて困り果てるメリッサさん。

 俺が助け舟を出してやった。


「あ、それ要らないから、くれてやっていいよ」


 ちょうどキャンセルしようとしてたところだし。

 ちょうどいい。


「むしろ、大歓迎というか、感謝したいぐらいだ」

「いいんですか?」

「おう!」


 それを聞いたタモツも慌てる。


「いいのかよ!」

「いいよ、いいよ。気にすんな! 後で礼に何か食い物でも奢ってくれ」

「タモツの財布が空なるまで食い尽くしてやるのです」

「マジか?」


 嫌がらせをしたら、受けたくもない依頼を受ける羽目になったタモツであった。

 面白かったら、是非ともご評価を!

 よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ