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魔導少女

 重罪人の少女は悪い笑みを浮かべる。


「クックック。その男を私の最強魔法、いや人類最強魔法のデスティーションでバラバラにすれば良いのだな!」

「ちがーう!」


 女は大声で少女の安直な考えを押しとどめる。


「えっ? 違うの?」


 あまりの女の勢いに思わずひるむ重罪犯の少女である。


「この男は勇者パーティーに所属していた最強商人で、つい数日前も野盗一二人を虐殺した。魔道士であるお前が敵う相手ではない」

「なんと!」

「しかも詠唱せずに弱体魔法が使える猛者だ!」

「無詠唱魔法使いなのか!?」

「お前なぞ、詠唱中に屠られるぞ」

「火力最強の私とは違う次元ベクトルで最強というわけなんだな!?」


 所々、事実と異なることが女に伝えられていたが、ポータが聞いてないので問題は無いだろう。

 女はティアラの魔道具を取り出した。

 ちなみにティアラとは金属製の防具で、ヘアバンドみたいなものだ。


「このままでは、お前は勝てない。これを付けるのです」

「これはどんな魔道具なのだ?」

「詠唱時間を半分とし、魔力を一〇倍に底上げする……」


 魔道に関して並々ならぬ努力と研鑽けんさんをしていた少女。

『魔力一〇倍』のキーワードに反応し一瞬で女から魔道具を奪い取る。

 鎖で壁に繋がれているのにどうやって奪い取ったかは謎だ。

 少女は奪い取ったティアラを頭にのせた。


「これで私の魔力は一〇倍だ! 人類最強の更に上を極めた。くっくっく」


 ほくそ笑む少女。

 だが、女の話は続いた。


「という、効果はなくて……」

「な、なんだと!」


 嵌められた。

 その事実で少女の顔は青ざめる。


「大魔法、すなわちデスティーションを封印する魔道具です」

「マジかー! 謀ったな!」


 少女はティアラを外そうとするが、呪いの魔道具らしくビクともしない。


「取れぬ! 取れないよう! 取ってよう!」


 言葉は弱々しいのに、暴れる続ける少女。

 あまりにも凄まじい勢いなので、鎖が擦れて火花が出ているぐらいだ。


「私の最強魔法のデスディーションを封印するとは! なんと忌まわしい魔道具!」


 どうやっても取れず、息を切らして諦めた。


「許さぬ! 絶対に殺す!」


 女を睨みつける重罪犯の少女。

 その眼には殺意がこもっていた。

 殺意の籠もった目を気にもせずに話を続ける女。

 女も相当の実力者のようだ。


「この任務を達成すれば、その魔道具を取り外すのを約束します」

「私に選択肢は無いということだな」

「そうなります」

「で、任務とは?」

「この男の一挙手一投足を報告するのです。特に接触した人間、いや女性はすべて報告するのです。そして出来うるのならば女性の接触を阻むのです。いいですね?」

「相手側の組織を洗うということか」

「任務を完遂すれば、その魔道具を取り外し、今までの罪も不問とします」

「不問だと!?」

「ええ、不問です」

「悪い条件じゃないな。わかった」

「では、今後、全ての指示と報告は冒険者ギルドのメリッサを通じて行うのです」

「よかろう。でも、一つ頼みがある」

「なんですか?」


 ――グギュルルル!


「三日も牢に繋がれていたので、お腹が空き過ぎて死にそうです。なにか食べさせてください」


 そしてパンを咥えた重罪人の少女は野へと放たれた。

 大丈夫なのか?

 センタリアは?

 そしてポータも!


 *


 被っていた仮面を取り外す女。

 そこにはメリッサの姿があった。


「最強の魔導士を護衛に付けました。これでポータさんの身の安全は保証されましたわ」


 なぜ、あの少女を護衛に付けたのか。

 そして監視に付けたのか。

 それには魔力という戦闘力以外に大きな理由がある。


「あのツルペタ少女なら、ポータさんが誘惑されることはありません。完璧な人選です!」


 満面の笑みを浮かべるメリッサ。

 だが、大きな勘違いがあった。

 ポータはバッダスと違い巨乳よりもつつましい胸の方が好みであった。

 ぶっちゃけると、ナイスなわがままボディのお姉さんより、つつましやかな女性や女の子の方に興味のあったことを……。

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