表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/39

メリッサさんの決意

 翌朝、昨日の事件の連絡を受け、騎士団がセンタリアからやって来た。

 牢屋に入れられていた野盗たちがしょっ引かれ牢馬車へと移される。

 その数は一二人。

 荷馬車を襲う野盗団としては比較的規模の大きな集団だ。

 騎士団のリーダーが村長に驚きの声をあげていた。

 俺とミリモはそっと二人を見守る。


「それにしても、これだけの野盗を捕まえるとは壮観ですなぁ」

「私も驚きましたよ」

「こいつ等はセンタリアの周辺で荷馬車を襲いまくっている盗賊団で、結構な数の被害が出ていたんですよ」

「今回被害が出なかったのは幸運だったのですね」

「我々もこの夜盗団を追っていたんですが、お恥ずかしいことに逃げ足が速くていつも遅れを取っておりました。護衛にどれ程の有能な冒険者を雇ったのですか?」

「雇ったのではなく、元勇者パーティーのメンバーがちょうど馬車に同乗しておりまして、倒して頂きました」

「ほう、それは幸運でしたな。是非とも紹介して頂きたいものです」


 俺が会釈をしようとしたら、そこに大声を上げる女性の声が!


「ポータさん! ポータさん! あっ!」


 冒険者ギルドの受付嬢のメリッサさんだ。

 メリッサさんがなぜここに?

 なぜ俺の名前を呼んでる?

 そのメリッサさんが、俺を見つけるととんでもない速度で走り寄る。

 まるで、肉食獣が獲物を襲うかの如く! 


「見つけたー!」


 あまりの勢いに、ミリモが怯えている。

 まるで肉食獣に追い詰められた小動物のように、俺の背に隠れながら腕にしがみついている。

 そんなミリモを気にせずに、俺をぎゅっと抱きしめた。


「無事だったんだ、ポータさん……。(とってもいい匂いがする……ショタオジの匂い……たまらない。ぐへへへ)

「ええ、まあ。メ、メリッサさんこそ、この村にどうされたんですか?」

「はっ!(なんという恥知らずな行為を……)」


 俺が無事だったのがうれしかったのか飛びついたものの、冷静になると急に恥ずかしくなる。

 抱きしめるのを止め飛び退くように下がると、身を正すメリッサさん。

 感極まってやったことだけど、ちょっと恥ずかしくなったみたいだ。


「ごめんなさい。でも、ポータさんが無事だったので、私、私……」


 目に涙を溜めて涙ぐんでいた。


「私の手配した馬車が野盗に襲われたと聞いて、ポータさんが無事か居ても立っても居られなくなり様子を見に来たんです」

「ご心配おかけしました」


 なんという、責任感をもって仕事に取り組んでる人なんだろう。

 俺は彼女をさらに尊敬した。

 だが、メリッサは別のことで心配していた。

 大切なポータのショタが夜盗に盗られたんじゃないかと。

 ポータさんのショタは私のものと。


「無事で良かったです(ショタが)」

「この野盗はポータさんが退治したんですよね?」

「ええ、まあ」

「さすがポータさん! 慣れないホーンラビットには苦戦しましたが、これだけの人数の野盗を一人で退治するとは、さすが元勇者パーティーのメンバーですね!」


 やたら俺への評価が高いメリッサさん。

 爆発する聖剣で退治したのは内緒だ。

 そういえば、ミリモの俺に対する評価もやたら高い。

 ウサギ以下の実力のカス冒険者なのに、二人を騙しているようで心苦しい。


 メリッサさんは俺に深々と下げた。


「危険な依頼を紹介してしまい、申し訳ございませんでした」

「いえいえ、ただ単に運の巡り合わせが悪かっただけで、メリッサさんは悪くありません」


 それを聞いて顔を赤らめるメリッサさん。

 なんて、心の広いイケメンなの?

 さらに惚れちゃうわ!

 ショタ好き過ぎて視力迄悪くなっているようだ。

 これからはポータさんの身を全力で守る対策をしないと!

 ポータさんは私のもの!

 野盗と仲良くなって新しい世界に目覚めるBLエンドとか絶対にお断り!

 変な理由で、固い決意をするメリッサであった。


 *


 センタリアのとある施設の地下室。

 そこには重罪犯が牢に収容されていた。

 薄暗くて牢の中の様子は見えず、見えるのは照明が届く重罪犯の姿だけだ。


 その重罪犯は少女である。

 今年一四歳となったばかりだ。

 少女は壁に鎖で繋がれていた。

 とても危険な雰囲気のする少女である。

 生業は魔導士。

 すさまじい魔力を有した、まさに破壊の魔女!

 国内最大の鉱石の産出量を誇るモリバイタ鉱山を壊滅させた罪状。

 しかもたった一人で!

 この少女がセンタリアに多大な被害を被らせたのだ!

 経済的に大打撃を与え国家転覆を図った政治犯である。

 部屋に牢の主がやって来たのを見つけると黒髪を振り乱し暴れ始める!


「放せー! ここから出せー!」

「少しは反省しましたか?」

「私は悪くない! 反省なぞするか! そんなこと!」


 どうやら牢の主は女性らしい。

 落ち着き払った声から、三〇前後だということがわかる。

 ただ、仮面を付けているので表情まではわからなかった。


「任務を遂行して頂けるのなら、ここから解放しても構いません」


 少女の顔がハッとした。


「解放だと!?」

「ターゲットはこの男です」


 そして牢の主は少女にターゲットの人相書きを突き付ける。

 ポータの人相書きを。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ