マッチポンプな糞冒険者
やっと目的の村、プチカに着いた。
燃えさしとなった馬車と荷物、街道を塞いでいた材木、プスプスと煙を上げてのびていた野盗もすべて【アイテムボックス】の中だ。
俺は早速、収納した物を出す。
あまりに出した量が多かったので村長と衛兵は腰を抜かし、周りの村民からは歓声が上がっている。
「こんなにも収納できるんですか?」
「ここまでの物を運べる【アイテムボックス】スキル持ちを始めて見ましたよ」
「さすが勇者パーティに所属していた商人様だ!」
「お父さんはすごいんです!」
ここまで手放しで褒められると嬉しい。
特にミリモに褒められるのがたまらない。
ホーンラビットにも勝てない戦闘力ゼロの雑魚商人だけど、それは内緒だ。
お礼に金貨一枚と、この村の宿泊は今後無料となった。
自分で馬車を破壊しておきながらその残骸を運んでお礼を貰うとは、なんというマッチポンプな糞野郎であろう。
とは言っても、俺が野盗を倒さなかったら無事な馬車の積み荷は盗られてたんだから。俺を責めないでくれ。
*
早速俺は薬草の採取を始める。
だが、今日の俺は今までの俺とは違う。
今までは勇者パーティーに所属する、勇敢な商人。
今はホーンラビットにも負ける、初心者冒険者並みの戦闘力しか有しない雑魚である。
おまけにミリモもいる。
俺は身の安全を守る為、【範囲哨戒】を駆使し全力で危険から回避しまくる。
「ミリモ! そこに敵がいるぞ! そっと下がるんだ!」
「それ、リスですよ?」
「魔王リスかもしれん」
「さすがお父さん! 慎重すぎるぐらい慎重ですね」
「そこも敵だ!」
「スズメですよ?」
「フェニックスが擬態してるのかもしれん!」
俺は苦労の末、依頼の薬草を集めた。
危険回避でかなり遠回りしたので、かなりの時間が掛かる。
おまけに、遠回りした分だけ依頼以外の薬草も大量に採れた。
依頼に戸惑ったおかげで、日遠くの山に掛かり始めている。
今日はこの村に泊まるしかなかろう。
けっして、無料だから宿に泊まるんじゃないぞ。
ん?
薬草の納品が心配だと?
薬草は採取当日の新鮮なものに限るんじゃないかと?
ふふふふ。
俺のアイテムボックスは時間停止をする機能付きだ。
どうだい?
すごいだろう?
中に物を入れたままだと腐ったりカビの生えるアイテムバッグと一緒にしないで欲しい。
なので、鮮度の心配はしなくて構わないのだ。
俺はミリモと宿に泊まる。
「うわー! すごいへやです! お父さん!」
村長のはからいで、一番いい部屋を用意してくれたみたいだ。
たぶん、この部屋はセンタリアのお偉いさんを泊めるときに使う部屋なんだろうな。
部屋の照明も明るく、食事も美味しい。
ミリモは腹が裂けるんじゃないかと思う程食べて、毎度の如くテーブルに突っ伏していた。
さてと、寝る迄の時間を使ってアイテムボックスの中の整理をするかな。
ミリモが寝ているテーブルとは別のソファーテーブルに薬草を積み上げる。
かなりの量だ。
清々しい薬草の香りが辺りを包み込む。
俺は簡易調薬台を取り出し、ポーションを作り始めた。
調薬は勇者パーティーでいつもしていた作業なので慣れたものだ。
順調に作業が進む。
すると、後ろから誰かに声を掛けられた。
「これはなんです?」
さっきまでテーブルでのびていたミリモが興味深そうにのぞき込んでいる。
復活早いな。
「お父さん、これはなにをしているんですか?」
「余った薬草でポーションを作ろうとしてるんだ」
「すっごーい!」
「ミリモもやってみるか?」
「ポーションづくりなんてした事がないのですが、いいのです?」
「レシピ通り作れば簡単さ」
ミリモにレシピメモ帳を見せる。
「薬草二つに蒸留水で作るんですね」
「よく読めたな。それを調薬台に入れて攪拌するだけでいいんだ」
早速ミリモは俺の見よう見まねで薬草を混ぜて攪拌する。
すると、強く光り輝く調薬台。
「光ってます! ど、どうなってるんですか? 爆発するんですか? なにか間違いました?」
「これはすごいぞ」
今起こってるのは大成功エフェクト。
つまりハイクオリティ品が出来る前兆である。
そして出来上がったのはポーション+++。
ポーションの最上位クオリティ品である。
「俺でも作るのは難しい最上位クオリティ品を作るとは! すごいぞ、ミリモ!」
「てへへへ」
「さすが俺の娘だ」
素晴らしい!
俺の娘は最高だ!
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