青い手紙
郵便物の中に紛れていたのは、パステルブルーの封筒だった。送り主は大体見当が付いていた。
けれども、意気地のない私は中身をすぐには確認せず、他の郵便物に目を通した。同窓会のお知らせ、明美からの葉書、東京で暮らす私を気遣う母の手紙。読んでいるうちに悶々としてきた私はこたつの蒲団に顔を埋めた。
目を覚ますと、掛け時計の時刻は午後六時を指していた。身体を起こし、窓を眺めると、外は真っ暗だった。
夕食の用意をしなくてはと台所に向かおうとした時、机の上に置いたままの青い封筒が目に入った。意を決して私はそれを開封した。
手紙には彼が今フィンランドにいること、そこで児童書を翻訳する仕事に就いたことなどが書かれていた。手紙の末尾はこのように記されていた。
「今度講演会を日本で開くことになりました。良かったら、今度会いませんか。」
全身から力が抜けて、私はペタンと座り込んでしまった。この手紙を読んで、自分が大きな思い違いをしていたことにようやく気付いた。
彼がどのような経緯でフィンランドへ行ったのかはわからない。でも、ずっと覚えていてくれたのだ、私のことを。
便箋を胸に押し当てたまま、私はまた床に寝そべった。白い天井を眺めながら、ふとある考えが浮かんだ。次に会う時は自分の想いをはっきり伝えよう。それからお互いのことをいろいろ話そう。
逸る気持ちを抑えながら、私はカレンダーに彼と会う場所を記した。その筆跡は蛍光灯に反射して青白く輝いているように見えた。