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赤いピアノ  作者: モチ餅
1/1

悲劇

主人公 桜樹(さくらぎ)ひびき

ヒロイン 白鳥(しらとり)  陽葵ヒマリ

親友 月島(つきしま)  雄麿ゆうま    (そよぎ) ミオ

父親

医者

先生

高校の入学式当日、俺は事故に巻き込まれた。

 新しい生活にウキウキしながら自転車をこいでいた。そこに一人の美しい女性が歩いてきた。その女性は信号にきづかず歩道に出て、トラックに轢かれそうになった。その時何を思ったか僕はその女性をたすけた。

 目の前が赤く染まり、意識がもうろうとする中助けた女性の声がしていた。

 「あれ、俺は何を・・・?」

助けた女性の綺麗な声が耳に木霊してそっと目を閉じた。

目が覚めると、見知らぬ天井と知らない人が立って居た。周りを見渡すとここが病院だと分かった。

目の前に居た医者に話を聞いたが、その声が聞こえなかった。

俺は、訳が分からず続けて質問した。

「女性はどうなりましたか?」

すると、医者が紙とペンを取り出して文字を書き始めた。

『貴方のお陰で軽傷と聞いています』

俺は、なぜ言葉ではなく紙に書くのか疑問に思った。

「何で紙に書いているのですか?」

医者の顔つきが変わり、今俺に起こっている状況を説明してくれた。

『貴方はトラックに轢かれ、頭を強打し音を聞く器官が停止しています』

俺は、自分が女性を助け事故に巻き込まれたと分かりつつも自分が愛したピアノが出来なくなると、涙が出ていた。

『大丈夫ですか?』

「大丈夫です・・・、少し一人にしてくれませんか」

『分かりました、落ち着いたらまたお話しましょう』

そう言うと、医者は部屋から出て行った。

俺はした事に誇りを持ったが後悔した。人を助けた事は、周りの評価は良いが自分はピアノの音が聞こえないことが辛かった。

ピアノの事を考えると、気分が悪くなるのでピアノの事より、助けた女性のことを考えた。


半年後、俺は退院して学校に通うことになった。

授業は入院中に少し進めていたが、友達が出来るか不安だった。そんな事を考えて居ると学校に着いた。

教室に入ったとき、先生がクラスメイトを集めて自己紹介をした。

「桜樹 響です。」

「では、響君の席は一番後ろの窓際です」

と、指を指した。

 隣には、まだ空いている席があり、そこには大量の落書きがされていた。

 俺は、イジメを初めて見た。だが何も感じなかった、自分も不幸な出来事があったから他人に対する感情を無くしていた。

昼休憩になったころ、俺の周りには人が居た。

「趣味はなに、部活は決まった」

 何か、言っている様だったが俺には聞こえなかった。

 そのうち返事をしない俺が気にくわなくなったのか、周りの人はだんだんと減って居った。

 だが、最後に残った二人は違った。二人は紙とペンを用意して、話をしてくれた。

 『まずは、自己紹介からだな』

 『俺の名前は、月島(つきしま)  雄麿ゆうま 気軽に、雄麿でいいぜ』

 『私は、(そよぎ) ミオ、私も、澪でいいよ、声が聞こえないの?』

 「・・・聞こえないよ」

 聞こえないと言う会話をした後その理由を聞く事もなく、会話をしてくれた。

 『午後から暇か?ゲーセン行こうぜ』

 初めて会った人にゲーセンを誘う人初めて見た。

 『ごめん、私はパス』

 図々しい人は嫌いではなかったから、誘いを受ける事にした。

 俺は、初めてのゲーセンでどう振る舞えばいいのか分からなかった。

 「ゲーセンってどんな所」

 『お前、言ったこと無いの?』

 雄麿は不思議そうに言った。そんなにゲーセンに行かないのが可笑しいのか?

 『まっ、行ってみたら分かるぜ』

 そう言いながらゲーセンに向かった。

 ゲーセンに着いて自動ドアが開くと、見るだけで分かるくらいの騒音がしていた。

 「・・・すまない、俺帰る」

 『急にどうした』

 「俺は騒音するところにいると気分が悪くなるんだ」

 『そうか、じゃ仕方ないな』

 『また、明日学校でな』

 雄麿は、何もなかった様にゲーセンに入って行った。

 俺はせっかく遊びに誘ってくれたのに断った自分が情けなくなった。しかも音が聞こえないのに騒音がすると意味の分からない事を言っていた。

 「また明日か、明日も今日と同じように仲良くしてくれるかな」

 そう考えながら、俺は家に帰った。

 次の日、俺は体調を崩し寝込んでいた。

すると、親が入ってきて、友達が来てるぞと伝えられた。

『よう、体調はどうだ』

 「なんだ、雄麿か」

 『なんだとは、なんだ、せっかく来たんだからもうちょい言い方あるだろ』

 「すまん」

 『何で、謝る?』

 「昨日せっかく遊びに誘ってもらったのに、帰ってごめん、聞こえない物が聞こえるって言って、ごめん」

 俺は、謝る事しかできず、雄麿の顔もまともに見れなかった。

 『バカヤロー謝るのは俺の方だ、お前の事何も分かっていないのに自分勝手にしたのは俺だ、謝って済むと思っちゃいないが、すまなかった』

二人で謝り続けていると、互いに気にしなくなり別の会話をし始めた。

 「お前、学校どうしたんだよ」

 『さぼった、学校より友達優先だからな』

 「そう言って、学校サボりたかっただけだろ」

 『違いない』

 俺は高校に入って初めて友達が出来た。

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