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騎士姫と天の白雪  作者: 九重白夜
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昨日のドワーフ工房にて

あたいはユナス。ドワーフ工房の若手だ。女だからってなめるなよ?



あたいが勤めてるドワーフ工房だが、多分誤解されてると思うので先に説明しておく。この国でただのドワーフ工房と言ったら生半可な腕じゃ入れない魔導騎士専門の鍛冶師達の工房の事だ。普通の剣や鎧を作ってる所は○○ドワーフ工房って感じで先に名前がつく。

あたいも少し前までは名前つきの工房で修行してたんだが最近ようやく認められて名無しの工房に入ることができたんだ。



そんな工房で昨日事件が起きた。いや、問題が起きたって意味じゃなく、あり得ないことが起きたって意味でだ。

昨日は朝から第一騎士団の副団長達が来た。これ自体はおかしくない。魔導騎士の調整はうちにくるしかないんだからな。おかしいのはここからだ。



「すまないが魔導騎士の調整を頼みたい。左肘の動きが右に比べてほんのわずかだが遅れている。あと装甲を少し削りたいのだがバランスを崩さず軽量化するための案を出してくれ」


「私からは風進器の出力調整を。魔力消費一割増しの範囲内でどこまで出力を上げられるか教えてくれない?それと左手にしか付けてなかった無属性魔器を右手にも増設したいの」



これだ。これまで副団長達は、いや、ほとんど全ての騎士達は、



「魔導騎士の調子が悪い。見てくれ」

「装備を追加したい。なんとかしてくれ」

「何とかして強く出来ないか」



くらいなもんだったんだ。そこからどこが調子が悪いのか、何を追加したいのかなんかを聞き出すのが中々に手間だったんだが今回副団長は最初から何をしたいのか細かく注文してきた。

工房長が思わず副団長の風邪を疑ったのは悪くない。


そんな異常事態に工房の皆は問い詰めた。それはもうその場にいた全員で取り囲んで質問攻めにした。

その結果わかったのが《イルフィーロ》だ。


この国の姫様が副団長の魔導騎士に名前を付けたらしい。それもおそらく偶然だとは思うが副団長のとこの古い言葉で風戦神の刃なんて意味の名を。

それで感極まった副団長達は名に恥じぬようよりいっそうの努力を始めたらしい。その一貫として魔導騎士の調整をしにきたそうだ。普段は調子が悪くなったら工房に持ってきゃいいやってくらいの気持ちでいたのが常にベストな状態にしたいと言い出した時は工房が拍手で包まれた。


その後、副団長達の魔導騎士に対しての真摯な思いを受けとめたやる気満々な工房長達によってイルフィーロは完璧に仕上がった。


満足そうな副団長達が帰った後、工房内は名前の重要性と、その事を知らしめた姫様の話題で持ちきりだった。


あたいも少し気になるし……これは見に行くしか無いな?

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