神様だって楽じゃない
パンパン
「あの人と付き合えますよーに」
パンパン
「事業が成功しますように」
パンパン
「志望校に合格しますように」
・・・毎日まいにちピンポンダッシュのように良くもまぁ願いを言いに来るもんだな
ありふれた願いだな
本尊に呼び出されて時には気が向いて社に居ればそんな声しか聞こえてこない
実際声にしている訳じゃない
心の声ってやつだ
人間の欲ってのは本当に尽きないねぇ
私は手を貸さない何もしない
人の創造からできたものだ、そんな力あるわけない
ただ聞くだけ、そこに在るだけ
それでも人は何もしない私に神頼みをする
欲なき願いなんて無い
そこに感情はない
でも、本当に何十年、時には何百年に1回悲痛な願い(かんじょう)が聞こえる
パンパン
「おとうさんをかえしてください」
パンパン
「おかあさんのびょうきをなおしてください」
ごめんな、そんな力は私には無いんだよ
心の拠り所としてここに在ることしか私には出来ないんだ
存在することだけで許して欲しい
私にねがいを言わないで
今日も沢山の願いが聞こえる