始まり 前編
初めまして星屑 夢人です
よろしくお願いします
早速だが、君たちは幸せな人生を送っているか?
俺は…、自分自身は不幸だと思ってる。
理由?理由なんて言わなくても、今から話すことを聴けば一発だ。
まぁ、リラックスして聴いてくれ。
俺は友人は恵まれてる。だって、最高にかわいい幼馴染が居るから。
そんな彼女と今日一緒に下校しようと約束している。
「学君待った?」
「ううん。今来たとこだよ。あとさぁ、もう俺たち出会って17年になるんだし呼び捨てだいいって」
「いいや、いいよ。待ってなくてよかった。待たせたら悪いなと思って走って来ちゃった。走らなかったらまたせてたね」
彼女は神園 陽毬、俺の幼馴染だ。
陽毬は、腰のあたりまで伸びている綺麗な黒髪を持ち。それでいて身長も低く、少しタレ目でおっとり系に分類される、美少女。更には、頭がよく、運動神経もいい。が、天然ドジっ子のギャップもある。
ここだけの話、彼女は脱げば結構あると思う。
えっ?何が?って。そりゃ、ムフフだろ。
友達に恵まれてると言ったが、陽毬が9割だ。
「学君?」
「おわぁぁ!」
陽毬の容姿について考えてたら、ぼーっとしてたようだ。
「帰ろっ!学君!」
そう言って陽毬は走り出す。
速い…。運動音痴には追いつけない。
「せこいぞー。ちょっと速すぎない?」
そう言いながらも走り出す俺。
青春してるなっ!俺。
おい!そこの非リア、僻むな!
そろそろ思っただろう。まぁ、待て。みなまで言うな。
「お前は幸せ者だっ!」って言いたいんだろ?
あぁ、幸せだよ。ここからあと少しまでなら。
まぁ、待て。話は最後まで聴くものだ。
何だかんだ言いながらも追いつき。と言っても待ってくれただけなんだが。
「学君、大丈夫?」
「うん、大丈夫。体力だけはあるから」
もちろん痩せ我慢。
「本当に大丈夫?ごめんね、先に走り出して」
そう言って顔を覗き込んでくる。
おわっ!ドキッとした。顔近い。
「いいよ。大丈夫だから」
陽毬の顔は笑顔だった。
「ねぇ」
「なんだ〜」
「平和だね~」
「平和だな〜」
まるでお爺さんとお婆さんみたいだな。
こんな平和な会話をいつもしつつ家まで帰る。
「じゃ、また明日」
「おう。また明日」
陽毬と俺の家は隣同士。いや〜、俺も最高だなって思う。かわいい娘が家の隣で。
家の扉を開け、階段を登り自室へと向かう。
制服を脱ぎ、部屋着に着替える。
あ〜、俺って幸せだな〜。
さっきは不幸と言ったが今は幸せだ。そう、今は。
俺の放課後は洗濯物を取り入れるところから始まる。
家事は俺の仕事。
夕食を自分の分だけつくり、食べる。
その後は、適当に竹刀ふったり、テレビ見たりしている。
午後9時就寝。
あれっ?早くない?最近の高校生にしては早すぎる時間。
まぁ、俺には夜があるから。
午前3時起床
あれっ?また早くない?
嫌、早くない。なぜならオヤジが帰って来るから。
ガチャ!
扉が開いてオヤジが帰ってくる。
「ただいま。学、飯だ!げぷっ!」
そう、コイツが俺の不幸の原因。
ただ、仕事して帰って来ているように見える。が、コイツは10時から6時までが仕事でこんな時間はおかしい。
じゃあ、何してたんだ?そりゃ、遊んだり、飲んだりしてたんだろ。
「ガァァァ。ゴォォォ」
心の中で文句を言っていると独特ないびきが聞こえてくる。見るとそこには玄関で寝ているオヤジの姿。
チッ。鬱陶しい。
そんなに嫌ならやめろよと思うだろう。
前に何度か放っておいたことがある。そうすると、床の冷たさに起きて母さんが死んだ時のことを酔った勢いで叫び出すんだ。
「っ……くっ、飛鳥あの時、あの時」ってそれを大声で言うから近所と人とかが来てしまう。ひどいときは警察まで来たこともあった。
あっ、あと飛鳥は母さんの名前な。
そんなんだから、布団まで運ぶ。その後は飯作って机に置いておかなければ仕事を「腹が減りました」で休むようなクズ。
なっ?不幸だろ。お小遣いは食費などやりくりしてでた小銭。だって、
寝るのは9時で起きるのは3時。
はぁぁ〜……。ため息が出る。
まぁ、明日は休校日だから、時間はある。
二度寝でもするか。
午前9時起床
朝、のどが乾きリビングへ。
リビングには部屋着のオヤジがいた。
「オヤジ仕事はどうした」
オヤジの通勤時間は一時間弱、もうそろそろ行かなければ間に合わないはずだ。
ご飯はおいといたはず。
「学、今日は休みを貰っている」
チッ、オヤジが居たらマッサージしろだの飯はまだかとうるさいからいないほうが良い休日なる。
「まぁ、学座れ。大事な話がある」
けっ!黙れよ働いている時間より遊んでる時間のほうが多いカス。
めんどいから座るけど。
「学、俺の仕事は6時までだ」
何の自慢だよっ。
「それから帰るまで何をしていると思う?」
「……」
遊んでるんだろっ!とは言えない。
一応は働いてくれているから。
「決して、遊んでるじゃないぞ」
「ほんじゃあ、何してんだよ」
ついイラッと来てしまった。
「まぁ、落ち着け。これを見ろ」
オヤジはいつもつけてるペンダントを指差した。
「ペンダントだろ?」
「このままだったらな」
そう言ってオヤジはペンダントを握りしめる。
するとオヤジの握りしめていたペンダントの形が変わり始めた。