typeA #3 転機
こんちくわ。3話です。
軽い伏線回みたいな仕上がりになってます。
オムライス、食べたいですね~。
「ただいま~。卵、安くなってたよ!」
「ありがと!助かるわ~」
ウチの最年少メンバーの帰宅に、ハルが母親のような言葉を返す。
なんてことのない、いつもの風景。
「おかえり、アリサ」
僕は読んでいた小説から少し目線をあげ、小さく言う。
「ただいマンゴー♪あ、のりしおにプリン買ってきたよん!」
全く、いつもこれだ。僕はのりしおじゃない。シオンだ。
高校生になるんだからもう少し大人になってもいいんだけどなぁ(プリンはシンプルにありがたいけど)
「着替えて降りてきちゃいなさい、すぐご飯作るから!オムライスでもしようかな~?」
「ホント!?すぐ来る!」
「はーい!洗い物出しといてね!!」
もう完全に親子だ。アリサはもちろん、二人とも僕より年下なんだけどな…
僕の店、「驢馬の耳飾り」は、1階部分が店舗、2階部分が居住スペースになっていて、僕とアリサ、ハルの3人で暮らしている。ホントは、地下にもっとすごいのがあるんだけど、今は内緒にしt…
「ごましお!食べ終わったら驢馬達の拠点行ってもいい!?」
おいおいいきなりバレたぞ。そしてごましおじゃない。シオンだ怒怒
「いいよ。あと僕のりしおでもごましおでもないから。」
わざわざそれを言うために下着だけで降りてくるな。見てろ、今にそんな事出来ないようにランチタイム始めてやるからな。
「あ、ねぇシオン、あのニュース見た?」
「あのって、どの?鼻毛の長さのギネスが更新された話?」
「そんなんじゃない…ってなにそれ!?」
「スリランカの人が更新したんだって。98.4cm。」
「へぇ~。じゃなくて!MarchRabbitSの話。」
「まーちらびっつ…?なにそれ?」
聞くところによると怪盗らしい。
ハルは「コソドロ」と言っていたが、自分たちの美学に則して盗みをやる点においては、至高の盗賊と言っても過言ではない。
その素早さと鮮やかさから、いつしか巷で<三月うさぎ>と呼ばれるようになったとか。
しばらくして、自分達から<MarchRabbitS>を名乗るようになったらしい(ちゃっかり英訳した上で)。
「それで、その怪盗がどうかしたの?」
「これ。予告状。」
見ると、左手にはポップな封筒が握られていた。
蝋付けされた封を切ると、中にはチェシャ猫とアリスをあしらった可愛い便箋。
<近々遊びに行くよん♪ロバさんは、うさぎさんに勝てるかな??>
畜生。完全にナメられてる。
「アリサ~!出来たよ~!!」
「今行く!ちょっと待って~!」
部屋に満ちるケチャップライスとバターの香り。
ダメだ。ニヤニヤが止まらない。久々にたのしくなりそうだ。
「ハル、食べ終わったらアイツらに連絡取ってみよう。」
「やっぱりね。言うと思った!もう呼んであるよ。」
ワクワクが収まらないのは、昔からの悪いクセだな。
ちょっと長くなっちゃいました(?)
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