typeA #1 事件
初連載となります。米国発知的炭酸飲料です。
元々演劇の台本として書いたものを、妄想要素を4割増しで小説にしたいと思いました。
稚拙な文章ではありますが、お付き合い頂ければ幸いです!
絶対に忘れない。忘れたくても、そんなこと、出来るはずがない。
4年間、この一瞬のために恨み続け、怒り、憎んだ。
アスカ、ごめん。これで終わるよ。ようやくだ。
「―――!――――、―――――――――――?」
ごめん、あの時なんて言ってたんだったっけ。
思い出せないや。
×××
白い建物。黒い煙。止まぬ銃声、叫び声。
盛る火柱に無心に打ち付けられる消火活動。
あぁ、俺には見ていることしか出来ない。
ごめんね、アスカ。俺は怖くなって、君を置いて逃げ出した。
最低の男だよ。なんて言ったら、君はどんな答えをしてくれるだろう。
「ホントだよ」って蔑むかな?
「そんなことない!」って励ますかな?
なんか答えてくれよ。ほら、煤も全部払ってさ。
周りじゃみんな泣き叫んでる。静かなのなんて俺だけだ。
ほら、寝てないで起きて。
あれ、おかしいな。視界がぼやけてよく見えないや。
あの女の子、膝を抱えて表情のひとつも変えないね。どうしちゃったんだろう。
兄貴に聞いてみればわかるかな、精神科医ってすごいよなぁ。
なぁ、アスカ?まさか、俺を置いていなくなったりはしないよな?
君に渡したいものが、渡さなきゃいけないものがあるんだ。
指のサイズ、合うかな?確かめてから買ってあげればよかったね。
約束したろ?いつか、俺が一人前のバーテンダーになったら、二人でカウンターを挟んで笑い合おうって。
ねぇ、これからどんな顔して、生きていけば良い?