袋叩きはやはり悪タイプだと思うんです
「ねぇ、ロボたんさんってなんか作れるんでしょ?発明品みたいな」
「え?まあ、はい」
そう。なんということでしょう。このロボたんさん。実は発明品のくせして発明品を作れるんです。
「今さらっと悪口言った?」
「言ってません」
全く何言ってるんですかねこのロボットは。
「明日からアラーム音量最大で良いですか?」
「待ってごめんなさい」
アラームには勝てなかったよ。
まあとにかく、このロボたんさんには様々な工具が設置されており、それを駆使することで魔法にも似た超科学グッズを作ることができる!そうです。
「なんでそんな機能付けたんですかね?」
「僕が聞きたい」
なぜこんな機能をくっつけられたのか本人もわかってないそう。ほんと謎。
「じゃあさ、試しになんか作ってみてよ!」
「お断りします」
「えーなんでよー作ってみてよー」
「作りたくても作れないんですよ。材料がないから。作りたくないですけど」
うわぁ...肝心な時にそのスーパーテクニックフル活用できなくてどうすんのよ。ここはなんか適当に木の板でも持ってきてトンテンカンと作るでしょうよ!
「ねぇあなたってそんなキャラだった?流石にロボットでも心にくるんだからね?」
「はっ、ごめんなさい。日頃の恨みが」
「火に油注いでんじゃないですよ」
はぁー...っとため息をつくロボたん。さすがに困ってしまったようです。やりーやりー。
「...わかりました。そんなに言うなら一つお出ししましょう」
そう言って人差し指を上に向けます。数秒後、ポンッ、と指先から何かリングのようなものが出されました。
「おお!これはどんな?」
「付けると死ぬリングです」
「へー!あれ?なんでロボたんは付けないの?」
「残念ながら僕には効果が無いみたいで。人型にしか効果は発揮しないようですよ」
なんの疑問も持たずにスポーン。薬指にちょうどフィットしました。
「はい、付けましたよ。これから?」
「それからあそこの茂みの中に行ってしゃがみ、数秒待ってください。以上です」
「え?それだけ?」
「はい」
「へー、わかった」
私はロボたんさんが指差した、大きめの茂みの中へガサガサと入って行きます。そしてそのまましゃがみ込みました。ここから数秒...10...9...8...
彼女が茂みに潜り込んで10秒後。
「うわああああああああああああ!!」
という鼓膜を破るような...あ、鼓膜ないんでした。じゃあ...集音マイクを壊すような叫び声が聞こえかたと思えば、次は、
「〜ッ!〜〜〜ッ!」
と茂みに溺れながら唸っていました。いやーなかではなにがおこってるんでしょーきになるなー。
さらに数十秒後。リングを外した彼女が泣きながら帰ってきました。んだけど...
「ひっ...ぐずっ...ううっ...うあぁっ...」
予想以上にガチ泣きしていらっしゃった。ちょっと想定外。やり過ぎてしまった感が否めないですね。
「あ、あの...大丈夫ですか?」
「ううっ...なんかっ...いっぱいっ...はりついてきてっ...ふうっ...こ、こわかったよぉ...」
「その、ごめんなさい。やり過ぎてしまいました」
「ううっ...」
「でも、僕のことをバカにしてきたあなたも悪いんですよ?これに懲りたら、あんまり僕のことバカにしないでくださいね?」
「はいぃ...ごめんなさい...」
彼女に一つ新たなトラウマを作ってしまいましたが、無事(?)一件落着(?)です。とはいえ、多分8割方僕が悪いですね。今回のお詫びに、今度彼女が大好きな料理でも振舞ってあげましょう。結構料理得意なんですよ?
え?結局彼女に渡したアイテムは何かって?正式名称はわからないのですが、説明すると「半径10~20mにいる『虫』に該当する生物全てをリング装着者に集める」といったアイテムです。その昔、このリングを装着した昆虫学者はカブトムシに塗れて大喜びだったとか...なんか微笑ましいです。
まあ「絶対に死ぬ」という点は間違ってませんよ。有言通り、彼女を殺せましたからね。精神的に。
しかし今回は調子に乗りすぎました。深く反省しなきゃいけません。このリングはしばらく封印しましょう。虫大好きな人間が見つかるときまで。
余談ですが、私にはカメラ機能があります。
今回、彼女は泣き顔でしたね。
........................。
皆様のご想像にお任せします。
基本的に一話完結です。