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第三十七話 終わりの始まりと始まりの終わり

はい、そういうわけで五十話です。

ちょいとシリアス混ざってますが、基本的にはコメディです。

今回は書いてみたら思ったよりテンション落ち気味だったので、次回はさらにコメディにします(笑)

 終わりはスカートから始まった。



 これは、永劫に続くある戦いの最初である。

 少女は再現する者だった。この世界に現存するありとあらゆる伝承を再現する。そういう力の持ち主だった。再現した物は元の形とは似つかない、とてもではないが『再現』と呼べるような代物ではなかったけれど、その再現した伝承は彼女の手にある限りは物語の中のものと同じ働きをした。

 再現した物語の石臼から塩を出すこともできたし。

 再現した物語の鞘を手放さなければ血を失うこともない。

 再現する物が物品限定であることを除けば、彼女はありとあらゆるものを再現できた。


 しかし、蘇らせる者がいれば、殺す者がいるのもまた道理。


 吹き飛ばされ、剣を砕かれ、桂木香純は地面に転がる。受身を取りながらそれでも起き上がり、目の前にいる人物を睨みつけた。

 異世界へ続く門を壊した人物は、自然体で地面に転がる香純を見つめている。

 服装は香純も見たことのある、お金持ちの通う私立高校の女子生徒の制服。わざとそうしているのか少しばかり短いスカートがちょっとばかりギリギリで、長い髪が風に揺れていた。

「ハロー、ハロー、初めまして兄弟。いや、姉妹? まぁどっちでもいいッスね。あたしたちは成るようにしてここにいて、アンタとあたしの立ち位置は逆方向。いついかなる場合も基本も応用もそういう場合は敵同士になると相場が決まっている」

「……お前は」

「あたし? あたしは魔法使い。滅びの手を持つ十番目の魔法使い。アンタと同じッスよ」

 彼女……刻灯由宇理はそう言って苦笑した。

 いつもそうであるように、彼女はにやりと悪魔のように笑う。

「茶番は終わり。幻想も終わり。甘く儚く拙い夢はここで終焉。……万病薬? 異世界転移? 猫の助力? 魔法使いによる最大限の救援? そんな都合のいい甘い夢を見せる方がおかしい。下半身不随で悩んでいる人間なんざ腐るほどいるッスよ」

「………………」

「未来の破滅の可能性? ちゃんちゃらおかしいッスね。そんな程度で破滅する未来なら、破滅した方がましってもんッスよ。あたしが今から出会う男が魔王になる素質があるんだったら、魔王にしてしまえばいい。……裏切りに代償に代替に諦観。有象無象の区別なく、誰もが『諦めながら』生きているこの世界で、『世界を滅茶苦茶にする』ってつまらない理由で手出し口出しする、アンタら『正義の味方』には本当に虫唾が走る」

 吐き捨てるように言い放ち、彼女は憎憎しげに香純を睨みつける。

 破壊者。ブレイカー。滅する者。彼女はそう呼ばれている十番目の魔法使い。

 名を、ユウ=コクトー。触れただけでなんでも滅ぼす、究極に近い魔法使い。

「人助けなんてものは、余裕のあるヤツがすることだ。放っておけないって気持ちだけで人を助けることができるヤツなんか、一兆人に一人いるかいないかくらいッスよ」

「……そう、かもね」

 香純は体を起こす。一番使い慣れた剣を再現して握り締める。

 言葉の否定はできない。ユウと呼ばれている魔法使いの言葉は事実であり真実だ。香純としてはそれは否定できない。

 助けを叫んでも応えはないことを、香純はよく知っている。

 それでも、

「……ねぇ、魔法使い。キミはこの世界を嫌ってる?」

「当たり前ッスよ。働けど暮らしは楽にならず、面倒ごとばっかりで嫌なことばっかり。この世界とやらのどこに好きな要素があるのか一切合財不明ッス」

「好きな人がいるんだ」

 その一言に、ユウは面食らって目を丸くした。

 香純は剣の切っ先を彼女に突きつけながら、微笑んだ。

「正義でも希望でもない。好きな人に、嫌な顔をして欲しくない。……私が戦う理由は、それだけ」

「………………くっ」

 ユウは笑った。肩を震わせて、腹を抱えて、押し殺すように爆笑した。

「いいッスね、アンタ。そういうのはいい。そんな理由なら大納得だっ!」

 香純は表情を変えずに、ゆっくりと剣を構えた。

 その剣に迷いはなく、殺気は刀身に満ち溢れている。

「……魔法使い。私は貴女を斬る」

「やってみるがいいッス、灰色。アンタの意地、あたしに見せてみろっ!!」

 滅ぼすだけしか能がない魔法使いは叫び、灰色の剣は怜悧に魔法使いを見据える。

 かくて、彼女たちの最初の戦いは幕を開けた。



「と、まぁそんな聞くも涙語るも涙の物語が色々と展開して、あたしこと刻灯由宇理はこの学校に転入することになったわけッス!」

 長い長い話が終わった時には、僕は持ってきたハードカバーの本を読破していた。

 僕のクラスにまた転校生がやってきた。正確には転入生らしいのだけれど、そのへんはどうでもいい。

「はい、そういうわけで今から質問タイムっ! 聞いて欲しくないアウト的な疑問以外だったら、あたしこと刻灯由宇理がなんでもお答えするッスよ!」

「趣味は?」

「食い歩きと折り紙ッスっ!」

「前に住んでいた場所は!?」

「やたら緑の多い田舎だったッスっ!」

「好きな野郎のタイプは!?」

「甲斐性のある男ッスっ! 貧乏人は消えろーっ!」

「今着てる下着の色は!?」

「白、白、白っ!!」

 どうでもいいけど、……このテンションの高さは一体なんなんだろう?

 まぁ、転入生はいいとしても、一時間目のLHR(ロングホームルーム)の大半を自分の嘘くさい身の上話とスカートがいかに機能性に優れていないかを熱弁するのはどうかと思う。

 転入生の……えっと、有利とかいう変な名前の女は、満足そうに笑っていた。

「なぁ、親友。ちょっと聞きたいことがある」

「ん?」

 近い席の親友に呼びかけると、親友はかなりの呆れ顔で苦笑していた。

 僕は目を細めて、ポツリと言った。

「あの転校生の笑顔は極めて僕好みなんだが、異様にむかつくのはなんでだろう?」

「そりゃアレだ。虎子はけっこー色々なこと考えてるケド、あいつはなんにも考えてないからだろ」

「なるほど」

 極めて順当かつ納得できる意見に頷いて、僕はゆっくりと溜息を吐いた。

 他人を思い遣る人間と、まるでそんなもんお構いなしのGOINGさんだったら、僕は他人を思い遣れる人間の方が確実に好きになれると思う。

 とりあえず、転校生とかなんとかそんな感じの彼女にはあまり関わらないことに決定した。

 なんとなく、相性が悪いような気がひしひしと……。

「と、いうわけで始終あたしの話を聞いてなかったそこの細目っ! なんか質問あるっ!?」

「……えっと、じゃあ家族構成とか」

「はい、アウトーっ!!」

 彼女が投げつけたチョークが、眼鏡に命中。レンズがいい音を立てて砕け散った。

 同時に、僕の中でなにか大切なものがいい音を立てて砕け散った。



 基本的に、僕は女の子には優しくしようと思っている普通の男だと思う。

 そんな僕に喧嘩を売ってきた挙句に、殴る蹴るどつく叩く抓る引っ叩く受ける投げる打つ引っ掻く叩きつけるまでやった有利とかいう女が異常なのか、それともそれに応じた僕が大人げないのか。自分としても未だによく分からない。

 そんなわけで、LHRが終わる頃には僕らはボロボロになっていた。

 委員長にどつかれて、虎子ちゃんに止められて、ついでに担任の先生に股間を蹴られていなかったらまだ喧嘩を続けていたかもしれない。

 しかしなんというか……眼鏡を持っていない人は実感がないだろうが、眼鏡というのは視力のない人間にとっては『眼』そのものと言える。値段も高額なので壊されて簡単に買い換えられるものじゃない。

 以前も美里さんに壊されたことがあったけど、アレはアレ。コレはコレだ。

 いきなり殴りかかってくるような女に、手加減は超無用なのである。

「眼鏡はきっちり弁償しろよ、クソ女」

「ハ、人の顔思い切りぶん殴っておいて言うことがそれッスか? アホ男」

 ティッシュを鼻に詰めて止血しながら、由宇理と名乗った彼女は心底不機嫌そうだった。

 明らかに『着られている』感じの制服姿。スカートをはき慣れていないせいか、ちょっと足が開き気味で角度が違うとちょっとまずいことになる。どう控え目に見ても病弱な要素は一切見当たらない健康体で、髪の毛はいかにも適当な三つ編み。顔に関してはノーコメント。可愛い顔立ちだろうがなんだろうが、こっちに敵意を持っている女を可愛いとは絶対に思えない。

 二時限目の物理。実習の時間にも関わらず、僕らは実習もせずにネチネチと嫌味の応酬を繰り返していた。ちなみに物理は新米の女性教師が担当しているのだけれど、注意された僕らの毒舌に泣きながら逃げ出して行った。本当に悪いことをしたと思うけど、今はコイツをぷち殺すのが先だ。

「頼むから弁償くらいはしてくれ。眼鏡がないとなんも見えない」

「見たくないものまで見なくていいんだから、ちょうどいいじゃないッスか」

「ふざけんな」

 僕が由宇理の足を蹴ると同時に、ヤツは筒状にしたノートから吹き矢を射出した。

 それは左手の平で受け止める。かなりの痛みが走ったが、顔には出さずに口元を歪めた。

 見ると、由宇理も似たような表情を浮かべていた。どうやら今回は引き分けらしい。

「分かったよ、それじゃあ眼鏡の弁償はなしにしておいてやる。その代わり土下座しろ」

「ほい」

 由宇理はあっさりと土下座した。いっそ清々しいくらいの土下座っぷりだった。

 ゆっくりと体を起こして、ヤツはにやりと笑う。

「よっしゃっ! 今回も一時のテンションで犯した過ちを有耶無耶にできたッスっ!」

「……一応突っ込んでおいてやるけど、それを僕の前で言うのはどうなんだ?」

「聞かなかったことにっ!!」

 うわ、絡みづれえ。相当の馬鹿キャラだぞ、こいつ。

 しかも、テンション上げる時に上げるだけ上げておいて後で後悔するタイプという、典型的どころかどうしようもねぇ馬鹿だ。馬鹿に見せておいて実は腹黒い人ならたくさんいるけど、ここまでナチュラルな馬鹿も珍しい。ついでに言えば心の中で馬鹿ってこんだけ言ったのも初めてかもしれない。

「アンタ、今とんでもなく失礼なことを考えてないッスか?」

「もしもそうだとしても、キミにそれを立証する手段はない。……つまり、キミは僕を糾弾できない」

「……なに言ってんの? アンタ、実は馬鹿なんスか?」

「うるせぇ、馬鹿」

 僕は由宇理の頭を引っ叩いた。

 由宇理は僕の胸に拳を叩き込んだ。

 またしても引き分け……と思う前に、触れた違和感に僕は顔をしかめる。

「つーか、刻灯。お前ちゃんと髪の手入れとかしてんのかよ? ボサボサじゃねーか」

「ちゃんと毎日石鹸で洗ってるッス。公民会館のトイレとかに置いてあるやつがけっこーいい感じで」

「馬鹿だろ。お前本当の馬鹿だろ。なんで手洗い用の石鹸で髪の毛を洗うんだよ? かなり意味が分からないぞ? 洗うにしても洗った後に酢を少しだけ入れた水で流すとか……」

「………………?」

「……や、あのな、手洗い用の石鹸ってのは基本的にアルカリ性だから、少しばかり酸を加えてやると中性になるだろ? 最後に酢の入った水で流してやればアルカリ性が中和されて髪がボサボサにならなくなるんだよ。分かるだろ?」

「………………??」

「……ビオ○のCMでも弱酸性がいいって言ってるだろ。あんな感じになる」

「あー……はいはい」

 絶対に分かってなさそうな顔で、曖昧に頷く刻灯由宇理。

 それから、僕からちょっと目を逸らして、ポツリと呟いた。

「や、でも毎日バイト漬けだし、髪に手を入れてる暇なんてないし、昨日からなにも食べてないし」

「……食べればいいじゃん?」

「言うに事欠いて食べればと来たかこの馬鹿男っ!? 金があったらとっくに食ってるッスよっ!」

「うるせぇな。毎日バイト漬けとか髪に手を入れてる暇もないとか昨日からなにも食べてないとか、そういう生々しい話をするんじゃねーよ。もしも僕が刻灯に同情してしまったらどうしてくれるんだ?」

「同情しろよっ! 金をくださいっ! いや、なんかもう土下座とかするんで、あたしに暖かいご飯を奢ってくださいッスっ!」

 段々腰が低くなっていくあたり、この女がいかに飢えた生活を送っているのか物語っている気がした。

 仕方ないと肩をすくめて、僕はにっこりと笑って言った。

「分かった。とりあえず死ねばいいんじゃないかな?」

「……アンタ、足元に擦り寄ってきた子猫に蹴りをぶちかますタイプッスね?」

「そんな野郎がいたら僕が蹴り殺してやる。……つーか、お前みたいな馬鹿と猫を一緒にするな。猫に失礼だろうが」

「あたしは畜生よりも劣るのかっ!?」

「この学校の近くは野沢さん家のタマ嬢が縄張りを取り仕切ってるから、後でちゃんと謝れよ?」

「嫌ッス。あたし猫大っ嫌いだもん」

「これで決まったな。……お前と僕は絶対に相容れない敵同士だということがっ!!」

 勝手に復讐の炎を燃やす僕と、奇妙な構えで僕を威嚇する由宇理の光景を、クラスメイトは実に痛々しいものを見る目で見つめていたがそのへんを気にしては負けだと思う。

 由宇理は、口元を緩めて嫌な感じににやりと笑った。

「まぁまぁ、そう興奮せずにとりあえずこのビーカーに入ってる水でもお飲みなさいッス」

「それは実験に使う予定の強塩酸だ馬鹿野郎。お前こそ飢えのあまりチョーク食ってろ」

「いくらあたしでもチョークなんて食わないッスよアホ男。小学生じゃないんだから」

「知らないのか? 今のチョークは安全面に考慮して、小学生が齧っても大丈夫なようになってるんだぞ。主成分は砂糖で、お世辞にも体にいいとは言えないんだけどな」

「マジッスかっ!?」

「マジなわけねぇだろっ! この程度の嘘で騙されるお前の将来が心配だよっ!!」

 食べ物の話になった途端に目を血走らせて、マジな顔をしていたあたりもかなり心配だ。

 どうやら、普段から飢えっぱなしというのはあながち嘘じゃないらしい。いくらなんでもチョークが砂糖で出来ているとかいう嘘話でそこまで食いついてくるのはかなりやばい状況に追い込まれているということだと思う。

 ……むぅ、これはいけない。思わず同情してしまいそうになっている。

「やれやれ……しゃあないか」

「へ?」

「侘びとしては凶悪なまでの軽さだけど、昼休みにパンでも奢ってやるから今日のところはそれで勘弁してくれ。……殴ったことに関しては、あとでちゃんとするから」

「…………ああ、うん。分かった」

 なんだか呆気に取られている由宇理に背を向けて、僕は深々と溜息を吐く。

 どうやら……またややこしいヤツに関わることになっちゃったらしい。



 刻灯由宇理は唖然とした後、目を細めて少年を睨みつけた。

 その少年はというと、背を向けて『話しかけるな』というオーラをびしばし放っていた。

 そういう態度をされるのは慣れていた。今はそうでもないが、前のバイト先ではあからさまな態度で拒絶するような男も、少数派だが存在した。

 ただ、よく分からないのは、その少年がいきなりパンを奢ってくれると言ったこと。

(……理解不可能ッス)

 自分を殴った相手に、どうしてパンを奢る気になれる?

 なんで殴られているのは自分なのに、侘びをいれる気になれる?

「………………むぅ」

 考えても分からなかったので、誰かに聞いてみることにした。

「そこの白髪垂らし。ちょっといいッスか?」

「……キツネの言葉じゃないけど、初見から失礼だなお前。俺には有坂友樹って名前があるんだが」

「まぁまぁ、そう細かいところにこだわらずに」

 ニマニマと笑いながら、由宇理は友樹に耳打ちした。

『あのキツネみたいな男、何者なんスか?』

『何者って……見ての通りだろ』

『見て分からないから聞いてるんスよ。いきなりパン奢ってくれるとか侘びとか、先の行動が読めないというかいきなりなにを言い出すんだとかで、ちょっと困惑気味ッス』

『………………』

 友樹は微妙に苦笑を浮かべると、腕組をして少しだけ考えて、由宇理に耳打ちした。

『あいつは、変なヤツだ』

『は?』

『今はそういう風に認識しとけ。大体三日くらい付き合ってると分かるから』

 それで話は終わりだとばかりに、友樹は不意に立ち上がって実験器具を取りに行った。

 由宇理は首をかしげた。

 とりあえず、変な奴らと関わることになったなぁと思い、ちょっと暗澹とした気分になった。



「と、ゆーわけで気分が暗いのは非常によろしくないので、突撃今夜の晩御飯っ! 今日の訪問は転入初日からあたしに喧嘩を売ってきた目つきの悪い根暗のお家でーすっ!!」

 学校から帰ろうとする僕を待ち受けていたのは、『ゴチになります』のプラカードを掲げた、髪質が妙に悪いデコ女こと刻灯由宇理だった。

 や、五時限目には姿を消していたので、なんかやらかすんじゃないかと薄々感づいてはいたけど。

「……一応訂正を入れておくと、喧嘩を売ってきたのはお前だからな」

「そこは普通、目つきが悪くて根暗ってあたりを訂正すべきだと思うんスけど」

「目つきが悪いのは否定できないし、人類の95%は根暗だ。残りの5%は由宇理みたいなのだから、僕としては根暗と呼ばれようとも一切気にしないね」

「……なんか、尊厳とか存在とかその辺りの単位で馬鹿にされているような気がするんスけど」

「気のせいだろ」

 もちろん気のせいではないのだけれど、それを言うとまた鉄拳が飛んできそうなので言わないことにする。由宇理はコッコさんとかと比べるとあんまり強くはないけれど、やっぱり殴られるのは痛いわけで。

「……まぁ、別にウチで夕飯とか食べるのはいいけど、ちゃんと金払えよ」

「ほうほう? アンタの所のご飯はお金をもらうほど美味いんスね?」

「おう、味は完全確実に保障する」

 僕にとっては至極当然のことだったので、いつも通りに返答する。

 が、由宇理はほんの少しだけ目を細めた。

「……アンタのお袋さん、料理上手なんスか?」

「上手と言えば上手だね。一度食べて材料さえあれば、その料理を再現できるって言ってたし、僕が食べてきたものの中でダントツで美味しいものを作ってた記憶がある」

「そうッスか。そりゃ羨ましい」

「……言っておくけど、今僕の家で飯を作ってくれてるのは母さんじゃなくて、母さんの知り合いで僕の恩人だからな」

「恩人って、随分と率直な物言いッスね?」

「事実だからね」

 他にも色々と言いたい事実はあるけれど、そのへんはかなり恥ずかしいセリフになるのであえて伏せる。

 と、そこである事実に気づいて、僕は口を開いた。

「……一応聞いておくけど、由宇理は僕の家って聞いてどんなものをイメージしてるんだ?」

「うーん……温泉旅館とかだとものすごく嬉しいかな」

「完全にテメェの願望だろうが」

「山田ちゃんには変な洋館とか屋敷って言われたんだけど、それはまぁ冗談だよね?」

「……なぁ、由宇理。ふと思ったんだけど、お前この学校にどうやって編入したんだ?」

 僕の通っている高校は少々お金を多めに持っている連中が来る学校で、少なくとも日々バイトの赤貧生活を営んでいる女の子が通える学校じゃない。

 もしかしたら親が金持ちなのかな、と思っていると、由宇理は不敵に笑った。

「ふふン、甘いッスね。このあたしの才能を見込んで援助してくれる金持ちの一人や二人は平気の平左で見つかるんスよ?」

「どこの物好きがそんな無謀なコトを……」

 っていうか、どう考えても明らかにリスクとリターンが釣り合ってない。金をドブに捨てるようなもんだと思うのは気のせいじゃないだろう。

 などと僕が少しばかり考え込んでいると、無邪気な馬鹿はまるで子供のようにはしゃぎ出す。

「あ、クレープ屋発見っ! これは早速奢ってもらわなきゃいけないッスねっ!」

「あー……はいはい。じゃあ、オーダーはこっちに任せてもらっていいか?」

「ういうい、それくらいならOKッスよ。アンタの舌を試させてもらうッスから!」

「やめておいた方がいいわよ、刻灯さん。その人、全トッピングを一つのクレープに凝縮するつもり満々だから。それか、1000円つぎ込んで全部チョコレートソースとか」

「あっはっは、まさかそんな馬鹿なお金を使い方をする人間がこの世……に……」

 由宇理の顔が見る見るうちに青く染まっていく。

 ついでに、僕も少しばかり頬が引きつっていく。声の主には思い切り心当たりがある。

 振り向くと、そこには車椅子に乗ったシスターこと清村要さんが、いつも通りに笑っていた。

「御機嫌よう、お二人さん。随分と仲がよろしいみたいですね?」

「……御機嫌よう、要さん。久しぶりだと言いたいところだけど、これだけは絶対に言っておく。僕はこの女と仲良くしていた記憶はないから」

「でしょうね。貴方にしては珍しく、随分と自然体みたいでしたけど」

「自然体っていうより、遠慮してなかっただけというか遠慮するのも嫌というか……」

「人に対する態度としては最悪ですが……まぁ、相手が刻灯さんなら納得ですね」

 シスターはゆっくりと溜息を吐いて、ジロリと由宇理を睨みつけた。

「お久しぶりですね、刻灯さん。孤児院の子供たちは息災ですか?」

「え、えーと……それは、その、そりゃ……元気ッスよ」

「それは結構。昨年のクリスマスに子供たち全員のプレゼントを買って、サンタ役をやってくれた貴女としては、子供たちが元気な方が嬉しいでしょうしね?」

「はぅっ!?」

 思い切り吹き出して、由宇理は顔を真っ赤にしてシスターを見つめる。

 シスターは全体的には笑顔だが、目はまるで笑っていないという、章吾さんが見たら即座に土下座してしまいそうな笑顔を浮かべていた。

「ねぇ、刻灯さん? 私としてはとてもとても貴女の言うことには賛同できるの」

「……な、なんのコトでしょうか?」

「貴女が喧嘩した灰色の髪の女の子はね、私の親友の大切な人なの。その子からちゃんと全部聞いたわ。貴女がやらかしたことも、やらかそうとしていることも、色々とね」

「……あ、あはは」

「笑って誤魔化さないで。いい加減にしないと屠殺しますよ?」

「………………うあ」

 ………………怖い。

 今日ほど女性を怖いと思ったのは初めてかもしれない。

 由宇理がなにをやらかしたのかは知らないが、シスターを怒らせるなんて相当のことだ。

 僕が今すぐ逃げたい衝動に駆られていると、シスターはにやりと笑った。

「いつも貴女が孤児院でしてくれてることに関して感謝はしているし、私が特別扱いされるのに憤るのもよく分かる。……でも、次に私を怒らせたら、剥ぐから」

「……ナ、ナニを剥ぐんでしょうか?」

「さぁ? それは貴女のご想像にお任せするわ」

 グッドモーニング、ミス・フィア。もう背筋の寒気が止まらない。

 なにをしたんだか知らないが、刻灯由宇理はシスターにとってとんでもなく腹立たしいことをやらかしたらしい。命知らずというか、馬鹿というか、とにかくどうしようもない。

 それでも、まだ知り合ったばかりで見捨てるのもなんなので、僕は口を挟むことにした。

「あの……要さんはどうしてここに? リハビリかなんか?」

「あら、私は刻灯さんに文句を言いに来たんですよ。この人ってば香純ちゃんと喧嘩しちゃったみたいなんで、ちゃんと年長者として謝りに行かないと剥ぐぞって」

「……いや、要さんが通ってる病院からここまで距離にして三駅くらい離れてるんだけど」

「最近の小学生って意外と力持ちさんなんですねェ」

 しれっと言い放つ要さんの横顔は、邪神そのものだった。

 美咲ちゃんが今頃かなり慌ててこの街中を駆けずり回っていることを想像すると、涙が出そうになった。

「……とりあえず、美咲ちゃんにはこっちから連絡取っておきますね」

「あら、嬉しいですね。それじゃあここで取って置きの話を一つ」

 要さんはニタリと鬼婆のような笑みを浮かべると、楽しそうに言ってしまった。

「そこにいる刻灯由宇理さん。実は凶悪な子供好きで孤児院にバイト代の大半を寄付しています」

「ふぎゃ――――ッ! ちょ、カナっちっ! それは誰にも言わないでってお約束でっ!!」

「あらあら、この前に会った時は『千夏ちゃんにこれもらったッスっ!』って、下手な絵を見せながらものすごく嬉しそうにしてたじゃないですか。……まぁ、馬鹿みたいでしたけど」

「きゃああああああああああああああああああああああああっ!!」

 顔を真っ赤にしながら要さんの口を塞ごうとする由宇理と、それを鮮やかな手つきでさばきまくる要さん。車椅子になってから若干パワーアップしたんじゃねーかと思わせる元気さだった。

(………今頃どうしてるのやら、あの人は)

 今は屋敷にいない、フォローが必要だった執事さんのことを思い出して、僕は口元を緩める。

 まぁ、あの人のことだ。僕がいないなりに誰かのフォローを受けながらやっていけてるだろう。完璧に見えて色々と隙の多い人だけど、そういう隙をフォローしたくなるヤツってのは、きっとどこにでもいる。

 章吾さんなら、フォローするのが僕じゃなくても大丈夫のはずだ。


 だから、僕は僕のことをやる。


 暴れている由宇理と、要さんの間に割って入る。

 由宇理の拳をさばいて、要さんの手首を握り、とりあえずではあるけど二人の争いを止めた。

 もちろんそのまま握っていると怒られてしまうので、要さんの手はすぐに離す。

「……要さん。なかなか面白い話をありがとうございます」

「もっと面白い話もあるけど……まぁ、今回は貴方に免じてこれくらいにしてあげる」

 要さんは楽しそうににっこりと笑うと、器用に車椅子を反転させて、僕らに背を向けた。

「じゃあ、私はそろそろ行くわ。いざという時は『みつや』で待ち合わせってことにしてあるの」

「一人で大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃなかったら手を借りてます。……あの人に会うまで、私は絶対に死なない。死ぬ可能性さえも許さない。徹底的に事故に気をつけて、可能な限り生き延びる」

「……分かりました」

 本当は手を貸そうと思っていたけれど、そこまでの覚悟を聞いて僕は手を貸すことをやめた。

 去り行く彼女の背中を見送ってから振り返ると、由宇理は顔を真っ赤にして俯いていた。

「……あの、なんつーか、その。違うんスよ」

「なにが違うんだよ?」

「だから、えと……孤児院にバイト代つぎ込んでるとかそういうのじゃなくて、あたしは、その……」

「馬鹿じゃねぇの?」

「っ! た、確かに自分の身も省みずに孤児院に寄付するとか馬鹿以外の何者でもないッスけど、そういうこと言われると分かってても極端にむかつくッスよっ!!」

「……僕が言いたいのは、そういうことじゃない」

 いつもそうしているように、僕は真っ直ぐに由宇理を見据えた。


「偽善だろうがなんだろうが、由宇理はいいことをしてるんじゃないか」


 それだけをきっぱりと言い放つ。

「僕が馬鹿だと言いたいのはな、由宇理が世間体だの他人の視線だのを気にして恥ずかしがったり、色々と誤魔化して、自分はパッパラパーな女だと他人に思わせようとしているその態度にだよ」

「……だって、恥ずかしいじゃないッスか」

「どこが? 確かに手前の生活にまで影響が出てるのは自己管理がなってないってことで恥ずべきことかもしれないけど、それでも……お前のやってることは、一から十までどう見ても正しいことだろ」

 恥ずかしさだとか誤魔化しだとか、そういう自分に対する言い訳なんてどうでもいい。

 由宇理はいいことをしている。それだけは間違えようのない事実だ。

「自己満足だとか、子供が好きだとか、理由なんかどうでもいい。……お前が寄付したお金はスズメの涙かもしれないが、それでも由宇理はいいことをした。それが恥ずべきことか?」

「……スズメの涙じゃ、どうにもならないコトもあるッス」

「どうにもならないってコトは、自分一人の手に余ってたってことだろ。そういう時は人を頼れよ」

「頼れる人がいなかったら?」

「その時は、助けを呼べばいい。運が良ければお人好しの一人くらいはつかまるだろ」

 もちろん、運がいい人間なんてそうそういるはずもない。

 そもそもの話として、頼れる人間がいないということは、頼れる人間を見つけることができなかったという、人間としてはかなり情けないことだ。

 誰もが特別じゃないけれど、誰もが自分より突出したものを持っている。

 少ない部分を補い合って生きるのが人間ってもんだろう。

 と、僕がちょいとばかり呆れていると、由宇理はさらに顔を赤らめていた。

「……つーか、アンタそれ言ってて恥ずかしくないッスか?」

「ハ、この程度で羞恥を感じる僕だとでも思うのか? 僕が恥ずかしいと心の底から思うのは、母さんを知っている誰かに見られた時と、母さんがはしゃいでいるのを見た時くらいだぞ」

「……まぁ、アンタのお袋さんがロクでもない人なのはよーく分かったッス」

 恥ずかしそうな顔から一転、かなり呆れた顔になる由宇理。

 それから、ゆっくりと溜息を吐いて、『仕方ねぇな』と言いたげに肩をすくめた。

「アンタ、変な奴ッス」

「かなり失礼なコトを言うな。僕は極めて普通な高校生のつもりだぞ?」

「あいにく、普通の高校生は教会に寄付していることを褒めたりはしないッスよ。せいぜい勿体無いって言われるか、馬鹿にされるのが関の山ッス」

「それは別にいいんじゃないのか? 価値観は人それぞれ、好きにしたらいい。……僕は自分のことしか考えられない連中よりも、自己満足でも偽善でもいいことができる由宇理の方が好きだけどな」

「…………なにそれ、告白?」

「ちょっと好き嫌い口に出しただけで告白扱いすんな。中学生かお前は」

「高校生で普通そういうコトは口にしないッスよ?」

「父さんの教えでね、程度はどうあれ好きなことは好きって言っておいた方が後悔しなくて済むそうだ」

「あたしはアンタのことはあんまり好きじゃないッスよ」

「僕もお前の人間性はあんまり好きじゃねぇよ。いいことが素でできるところが好きってだけだ。大体初対面で一目惚れとかってのはちょっと調子が良すぎると思わないか? 物語でも現実でも」

「ま、そりゃそうッスね」

 由宇理は納得したように頷いて朝とは違う、なんだか呆れたように、それでいて楽しそうに笑った。

 とても綺麗で穏やかな、朝の嘘臭い笑顔とは違う、由宇理そのものと思える笑顔。

 

 ドクン、と心臓が鳴る。


 なんだか、不意を突かれたような気がした。

 もちろんのことながら由宇理ごときにときめいたりはしない。ただ……今の笑顔をどこか遠くて近い所で見たことがあるような気がしただけ。

 ……えっと、どこだっけ?

「………………ちゃん」

「うーん……」

「坊ちゃん」

「へ?」

 ふと我に返って振り向くと、そこにはなぜかコッコさんが立っていた。

 服装は屋敷にいる時と同じくメイド服。僕がよく使っている伝道補助付き自転車になにやらでかい袋を満載して、それを手で押していた。

「あれ? コッコさん。……なんでこんなところに?」

「ちょっと肥料を切らしちゃったんです。で、買出しついでに坊ちゃんのお迎えに行こうかと思いまして」

「……その肥料って、僕の自転車を潰さんばかりに積まれたそれですか?」

「車の方は美里が使ってまして……まぁ、その悪いとは思ってたんですけど、お屋敷にはあとリヤカーしかありませんから」

「そりゃ仕方ありませんって言いたいところですが、メイド服もかなり目立つと思います」

「大丈夫です。園芸店の人は心が広いので、メイド服程度歯牙にもかけません。むしろ『お姉さまのような人は絶対にメイド服を着てなきゃダメです』って力説されるくらいですとも」

「……そんなコトを力説する店員を置いてる、その園芸店の将来が心配ですよ」

 世も末だなぁと思う。世の中のメイド好きな人間はメイドにどんな幻想を抱いているんだろうか?

 どんな幻想だろうが、メイドを地獄の使者と疑っていない僕には理解できそうにないっぽいけど。

 と、そこで最初に気がついていなきゃいけないことに今更になって気づいた。

「あれ? そういえば、ここに三つ編みで妙にテンションの高い女の子がいませんでしたか?」

「いませんでしたが……お友達ですか?」

「友達というよりも宿敵って感じですね。刻灯由宇理って名前の、変な女なんですけど……ま、いいか。明日になればまた学校で会えるだろうし」

 あれだけ今夜の晩御飯とか騒いでおきながら、一人で帰ったんだろうか?

 普段からお腹を空かせているというのは絶対に嘘じゃない。由宇理は嘘を吐くかもしれないけれど、要さんは自分のことならともかく他人への嫌がらせで嘘は吐かない。

 せっかく焼きそばかDランチでも奢ってやろうかと思ったのになぁ。

 ……まぁ、それはそれとして。

「ところで、コッコさん。その肥料って重くないんですか?」

「重くないように見えますか?」

「見えませんねぇ」

 苦笑しながら、コッコさんが押していた自転車のハンドルを受け取り、代わりに押していく。

 ズッシリとした重みが伝わってきたけど、押せないほどじゃないだろう。

 両手にかかる重みは相当のものだったけれど、それを全部無視しながら僕は話題を振る。

「ところで……園芸に関してはきっちりしてるコッコさんが肥料を切らすなんて珍しいですね?」

「えーと……まぁ、なんと言いますか、冥さんの花壇を作るのを手伝ってたらちょっと肥料の配分を間違えてしまいまして」

 しどろもどろになるコッコさんの様子がおかしくて、僕は口元を緩めた。

 なんのかんの言って、コッコさんも冥さんが可愛いんだろう。冥さんが屋敷に来た頃はそれはそれは仲が悪かったものだけれど……冥さんが変わったせいか、最近の二人は仲がいい。

 変わっていくものなんだな、と思う。

 どんなことでも、始まりがあるから終わりがあって、終わりがあれば始まりもある。

 そういうもんなんだろう。

「じゃあ、屋敷に帰りましょうか?」

「はい」

 僕らはいつも通りに、ゆっくりとした足取りで歩き出す。

 歩く道はいつも通りに平坦なコンクリート。天気は良くて気温もちょうどいいし風も気持ちいい。

 色々と変わっていくとしても、こんな日々が続けばいいなと、僕は思っていた。



 狂々(くるくる)と嘲笑う。空々(からから)と嘲笑う。犯しそうに彼女は嘲笑う。

 絶叫が聞こえるのは自分自身に響き渡る声で生まれた自分はずっとそれらを見つめて呼吸はいつだって絶息寸前で切れそうな神経と千切れそうな脳と下らない心と一緒に付き合ってようやく二桁で日数にしておおよそ四桁これでまだ生きろと言う生きねば死ぬだけだと世界は脅すなにもできなくても生きろと世界は言うなにも成すことはなくとも世界は生まれたからには生きることを強制する生まれたくなどなかったわけではないけれどどっちかといえば生まれたかったのかもしれないけれど世界がこんなんだったら生まれてきたくなどなかったもちろんそんなことは曖昧な判断基準によって生み出されたただの現実逃避でしかないかもしれないけれど発生してから今この瞬間正確には自我が発生してから今この瞬間まで自分が忘れることができないことが一つだけあってその一つのために自分はここまで生き抜いてきたそういうことしかできなかったし誇り高く生きるなんてこともできなかったんだろうと思う。


 ああ――――なんて、自分は醜いんだろう。


 だからこんなに憎む。

 だからこんなに恨む。

 だからこんなに妬む。

 だからこんなに嫉む。

 だからこんなに苛む。

 だからこんなに望む。


 こんなにも、壊したいと望んでいる。


 涙を流しながら、刻灯由宇理はうずくまる。

 忘れれば楽になれるのに。忘れたらいいのに。その程度のことはできるのに。

「みっとも―――ないッスねぇ」

 なのに、忘れたくないと望む自分がいる。

 壊したくて殺したくて忘れたくなくて、そういう醜い自分がいる。


「あたしはいい奴なんかじゃないッスよ――――■■くん」


 そんなコトを呟いて、由宇理は涙を拭った。

 再び流れてきた涙は、彼女の頬を伝い、地面に墜ちて消えていった。





 第三十七話『終わりの始まりと始まりの終わり』END

 第三十八話『オムライスと目玉焼き乗せハンバーグ』に続く

と、いうわけで次回はコメディの予定。

ちなみに、最終命題2の問題が追加されました。謎に挑んでいる方はチェックチェック♪

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