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第十二話 彼女の想いと彼女の願い

すみません、今回はクソ長いんで携帯の人は覚悟してお読みください(謝)

 人間は綺麗じゃない。けれど、優しい。



 転んだ拍子に強く口の中を切ってしまったらしい。おまけに解熱剤と鎮痛剤が効きすぎてものすごく眠い。血を吐き捨てて、眠気は無視しながら、僕は歩いた。

 場所はもう分かってる。屋敷で支給しているメイド服やテールコートにはこっそりとGPSをつけてある。誰がどこにいるのか、どこで仕事をしているのか、一発で分かる仕組みになっている。

 まぁ……GPSをつけたのは保険というか、なんというか。

 着たまま屋敷から出られても、そのまま迷子になってもらっても困るし。

 や、京子さんのことだけど。

「……げほっげほっ」

 咳をしながら、僕は体を引きずるように歩く。いつもはもっと早く到着している距離が、今日はやたら長い。やっぱり無理はするもんじゃねぇなと思いながら、それでも僕は歩き続けた。

『必死だのう、小僧』

 変な声が聞こえる。とうとう幻聴まで聞こえるようになりやがったと心の中で毒づきながら、僕はゆっくりと溜息を吐いた。

「必死で何が悪い?」

『あの中に好いている女子でもいるのか?』

「好きな女がいなきゃ、男は必死になっちゃいけないのか?」

『ああ、大抵の場合はな。男には大切なものなんて一つか二つでいい』

「僕にとって大切なのは家族とあの屋敷だけだ。他には何も要らない」

『ならば、なぜそんなに必死になっている? たかが小娘二人だろう?』

「質問を質問で返して、結局最初に戻るのかよ」

 下らない幻聴に口許をつり上げながら、僕は吐き捨てるように言った。

「嫌いなんだよ。女が泣きたいときに涙を堪えて、無理矢理笑ってる顔ってのは」

『ほう? なんだか具体的だな』

「仕方ねぇだろ。嫌いなんだから」

 ずれてきた眼鏡をつり上げて、僕は体を引きずるように歩く。

 くそ……章吾さんでも呼んで車で送ってもらうべきだったかな。体がやたら熱くて重くてついでに間接が痛い。寝すぎたせいか、背中も痛い。

 やっぱり僕は頭に血が上るとロクなことをしない。今後は考えながら行動しよう。もっと計画を立てて、もっとしっかり、もっとちゃんと。


 あっはっは、君に計画性ってのを求める方が無駄無駄〜。


 ……いや、どーしてこういう窮地に限ってあいつの言葉を思い出してしまうのか。

 まぁ、あいつのことはどーでもいいや。今はとりあえず追いつかなきゃ話にならない。追いついてどうしようってわけじゃないけど、話を聞かなきゃ。

 と、十字路に差し掛かる。ここを左折すれば近道だ。

『直進にしておけ。左折は方位が良くない』

「意味が分かんねーよ。なんだよ、方位が良くないって」

『左に曲がると一人、あるいは二人失うかもな』

「………………」

 幻聴のくせにとんでもないこと言いやがる。仕方なく僕は直進することにした。『急がば回れ』ということわざがあるけれど、アレを素で実践していることに腹を立てながら、僕は倒れそうになる体を必死で支えながら歩く。道を直進し、百メートルほど歩いたところで、不意に全身が冷たくなった。

 あ、やべ。ちょっと限界。

 ぐらりと景色が揺れる。足から力が失われて、僕は倒れた。

 衝撃は来ない。伝わってきたのは柔らかい感触といい匂いだけ。

 ゆっくりと目を開けると、そこには見知った少女の顔があった。どうやら倒れる直前に彼女に支えられる形になってしまったらしい。

 端から見ると、なんだか抱き合っている恋人のように見えなくもない。

「…………やあ」

「………………」

 僕がいつも通りに挨拶をすると、彼女……冥さんは顔を赤く染めて俯いた。

「なぜ、こんな所にいるんですか?」

「ご主人様はなんでも知っているんだよ。体重とスリーサイズ以外はね」

 冗談めかして言うと、冥さんはますます表情を暗くした。

「……すみませんでした」

「なにが?」

「私のせいで、坊ちゃんに害が及んでしまった。家を出奔してからも追っ手はつかなかったから……油断していました」

「………………」

 なるほど、話が見えてきた。

 どこの馬鹿かは知らないけれど、いちいち面倒なことをしてくれる。

「……先に、言っておくべきだったかな」

「え?」

「実はね、君の家とは既に話はついていたんだ」

「話がついていたって……」

 不思議そうな顔をする冥さんに、僕は苦笑混じりに答える。

「魔殺しとして使い物にならなくなった君は、こちらで引き取る。その代わり君の家には、ちょっと暮らしが豊かになるくらいの金銭を提供する。……そういう取引をしていたんだよ。まぁ、人身売買みたいな話だから、あえて言わなかったんだけど」

「………………」

 冥さんは、目を見開いて絶句していた。

 そりゃそうだろう。自分の知らないところで、自分のことが勝手に決められてしまったんだ。普通は怒るだろう。ついでに、殴るくらいはするかもしれない。

 僕は目を閉じる。殴られてもいいように。

 でも、頬に衝撃は来なかったし、彼女は逃げもしなかった。

「……意味、不明です」

「なにが?」

「なんで……どうして、そんなことができるんですか? 私は、他人じゃないですか。人外の者を殺すしか能がない、そんな小娘じゃないですか。なのに……」

「そんなことは、どうでもいい」

 目を開く。真っ直ぐに彼女を見据えて、僕は言った。


「君は僕の家族で、それにふさわしい努力をしてきた。理由なんてそれで十分だ」


 偽善だとしても、欺瞞だとしても、僕は彼女を助けただろう。

 屋敷に来たばかりの頃、冥さんは失敗ばかりしていた。舞さんと比べると作業が荒いというか、なんだか動きにメリハリがないというか、そんな感じだった。一時期は美里さんから「あの子はちょっと向いていないかもしれませんねぇ」とまで言われていたことだってある。

 けれど、彼女はそれを克服した。

 仕事に慣れていないというのも確かにあっただろう。しかし、冥さんの成長は普通の人と比べても抜きん出ていた。先輩の技術を観察し、模倣し、自分のものにしていった。最初の頃にあった失敗も、今ではほとんどない。それどころか屋敷の中で一番働いているのは、美里さんを凌いで冥さんであると言っても過言じゃない。

 だから助ける。そう決めたのだから、僕は心のままに動くだけ。

 でも今はそんな当たり前のことを長々と話している暇はない。

「とにかく、詳しい話は後だ。今は舞さんの所に行かないと……」

「姉さんが、なにかしたんですか?」

 冥さんの大きな瞳が、僕の顔を覗き込んでくる。

 僕は顔を逸らした。

「……ごめん、今は言えない」

「分かりました」

 思ったよりも、冥さんは素直に引き下がってくれた。

 それから、真っ直ぐに僕を見据える。

「では、急ぎましょう。舌を噛まないように注意してください」

「へ?」

 唖然としているうちに、冥さんはものすごい力で僕の体を抱き上げた。

 いわゆる、『お姫様だっこ』というやつだ。

「ちょ、ちょっと冥さんっ! これはいくらなんでも男としてのプライドとか尊厳とかそういう大事なものに関わるんだけどっ!?」

「お静かに。現状ではこれが一番効率的です」

 言うが早いが冥さんは信じられない速度で走り出す。まるで人一人担いでいるとは思えないような速度だ。

 ああ……通行人の視線が痛い。メイドに抱えられる高校生男子。なんて恥かしい絵面だ。地球破壊爆弾のスイッチとかあったら思わず押してしまいそうな気分。

 顔を赤く染めていると、不意に静かな声が聞こえた。

「貴方は、馬鹿です」

「なんかさりげなく失礼だね」

「はい。……私、決めましたから」

 そう言うと、冥さんは見たこともないような笑顔で軽やかに笑った。

「もう遠慮はやめます。貴方に遠慮しても無駄みたいですから」

「………………」

 なんだかえらく失礼なことを言われていたけれど、僕は口許だけで笑う。

 さっきの泣き笑顔よりも、今の嬉しそうな顔の方がずっといいなと思った。



 生まれて初めて好きになった人は、もう誰かのものだった。

 その人は全部の嘘を見抜いていて、それでも優しくしてくれた人。

 相手は綺麗なお人形さんのような人。とても敵わない大人の女性。

 冥は目を閉じた。今自分の腕の中で女の子のように真っ赤になっている少年と、お人形さんのような女性が一緒にいるところを想像してみる。

 よく分からないが、鳩尾あたりに痛みが走った。

 そんなのは嫌だと思った。

『かはは、ようやく理解しおったか小娘。そう、それが『嫉妬』よ』

 いつものやかましい幻聴が聞こえるが、冥は口許を歪めることはしなかった。

 心の中で、きっぱりと言い放った。

「それがなに?」

『む?』

「好きとか嫌いとか、そんなものが今関係あるの?」

 誰かのものだろうが、関係ない。

 その人が大人で美人だろうが、関係ない。

 自分の感情も、『今は』関係ない。

 そう、そんなものは後でどうにでもなる。『遠慮』はしないと心に決めたのだから、後でどうにでもしてやる。

 肝心なのはそういうことじゃない。

「この人は私を認めてくれた。誰も教えてくれなかったことを教えてくれた。誰よりも優しくしてくれた。……だから私は恩義を返す。そう決めた」

 不器用で感情を伝えるのが苦手な少女は、そう言って走る速度を増す。

 少年の背中に居座るタヌキは、にやりと口許をつり上げた。

『いい目だ。まるで美女のようではないか』

「…………ふん」

 鼻を鳴らして、未だ美女ではない少女は走り続ける。

「一つだけ教えろ、ばかタヌキ」

『なんだ?』

「美女になるには、どうすればいい?」

 タヌキは予想外の質問に、ちょっとだけポカンとした。

 それから、心底楽しそうに笑って『美女』になる方法を伝授した。


 

 などと、妹が恐らく人生で最高のものとなるであろう決意している時、姉は窮地に陥っていた。

 姉こと黒霧舞にとって、世界とは《妹》と《妹以外》に分類される。

 正確に言えば、妹こそが他の何よりも優先すべきものであり、妹以外はどうでもいいのである。本当は腹違いの妹で、冥は舞のために創作された『戦闘人形』という捨て駒同然の存在だった。しかし、自分の命令をなんでも聞く冥に、舞は『冥ちゃんの好きなようにしなさい』と命令している。

 そこまでする理由というのがこれまた単純で、舞は自分の妹こそが世界で一番可愛いと思っているからである。

 舞にとっては妹こそが判断基準であり、そのためなら家も自分もどーでもいいのである。冥が幸せになれば、舞はおおむね幸せなのだった。

(さて……どーしよっかなぁ)

 切られてぼろ雑巾と化しつつあるメイド服の袖を破り捨てて、舞は考える。

(やっぱり山口さん、滅茶苦茶強いねー。私一人でどうにかするにはちょーっと荷が重いかな。とりあえず、ショートレンジじゃ手も足も出ないってコトは分かった)

 少しだけ切られて丈の短くなったスカートを適当に縛り、舞は呼吸を整える。

 鋏というのは戦闘に向かない武器である。主な攻撃方法は『突』と『斬』の二種類のみで、性能も使い勝手もナイフの方が上だ。しかもナイフと違い幅広い応用力というものがないし、『防御』という点でも非常に使い勝手の悪い武器なのである。

 が、彼女はそんなものおかまいなしだった。

 ジャギィッ!!

 悪夢のような切れ味を発揮する鋏は、舞が背を預けていた鉄の柱をあっさりと切り裂く。

「子豚ちゃーん、子豚ちゃん、出ておいで♪ 狼が来たよ、クックック♪」

「……私が子豚ちゃんなら、貴女は腐れナメクジちゃんですけどね」

「くっくっくっ♪」

 シャキンッ!

「ってちょっとぉっ!? なんかさっきから服ばっかり狙ってませんっ!?」

 上着をほぼ二分の一くらいの丈にされ、舞は慌てて胸元を押さえる。

 コッコは両の鋏を閉じたり開いたりしながら、にっこりと笑った。

「狙ってますよ。今頃気づくなんて、舞さんってばうっかり屋さんですねぇ」

「っ!? ……ま、まさか、山口さんってレ」

 ジャキッ!

「はうあっ!? ロ、ロングスカートがミニスカートにっ!?」

「失礼なこと言わないで下さい。これは恐らく小学校以来の試みとなるであろう、人類の英知に挑戦する実験なんですから」

「……は?」

「人間って、帰り道で素っ裸にされたら、一体どうするんでしょうねぇ?」

 菩薩のような笑顔で死刑宣告をされ、舞の顔がもろに引きつる。

「おまけに、ここには『人生の発情期』みたいな青少年もいます。飢えた狼に羊を放り込めば結果は一目瞭然みたいな気もしますが、そこはあえて言わずにおきましょう。……さぁ、明日の朝日はどんな色に染まっているんでしょうかねぇ。コッコ超楽しみ☆」

「あの……そこでオレに話を振らんといてください」

 冥の弟こと陸は必死で顔を背けていた。

 コッコは恥かしがる青少年を見つめて、極上の笑みを浮かべた。

「あらあら、今なら美少女っぽいものの柔肌が誰に咎められることなく存分に見ることができるのに、今時謙虚な子ですねぇ」

「いや……腹違いですけど、一応そいつも姉貴ですから」

「かえって好都合じゃないですか」

「なにがだっ!?」

 思わず突っ込んでしまい、陸は半裸の舞をうっかりと視界に入れてしまった。

 そして、なぜか悲しそうな顔になる。

「……舞ねーちゃん。四年前も言ったけど、胸パッドと矯正ブラはほどほど」

「余計なことは言うな、このばかぁっ!!」

「へぶぎゅるッ!?」

 舞が蹴り上げた木片は見事な軌道を描き、見事に陸の顔を抉る。

 それはかつて主将と呼ばれていたウイング君の放ったシュートにそっくりだったのだが、もちろんのことながらそれを突っ込む人間はここにはおらず、陸少年は凄まじい威力を顔面で受けて、そのまま意識を失った。

 後に残されたのは、肩で息をする舞と、少しだけ驚いたような表情のコッコ。

「……舞さん」

 が、次の瞬間には、コッコは聖母のような笑みを浮かべていた。

「スレンダーなのも、殿方には人気があるんですよ?」

「変な慰めしないでください!」

 胸元を押さえながら、舞は涙目になりながら叫ぶ。

「あーそうですよっ! お屋敷の仕事はともかく、途中から冥ちゃんとキャラ合わせるのがしんどくて仕方なかったですよっ! いくら姉妹だからって容姿がほとんど同じなんてありえませんし、双子だってけっこー違うんですよっ!? それに、お屋敷に入ってからもう冥ちゃんはムニムニフクフクと順調に成長しやがって!」

「成長の度合いは人それぞれですから、そんなにひがまなくても」

「なんか急に優しくならないでくださいっ! かえってむかつきます!」

 顔を真っ赤にしながら地団太を踏む舞は、今までで一番悔しそうだった。

「ええいっ、こーなったら最後の手段ですっ! と、いうか私の秘密を知った人間は全員生かして帰しませんっ! ここで果ててもらいますっ!」

「うわ、キレやすい十代の言いそうなセリ……ふ?」

 ガクン、と急にコッコの動きが止まる。腕を動かそうにも動かせず、足を動かそうにも動かない。動くのは首と目だけだった。

 よく見ると、体中に極細の糸が巻きついており、糸のいくつかは舞の指から紡がれているらしい。

「……なるほど、これが貴女の『奥の手』ってわけですか」

「古典的な手段ですけど、その通りです。あらかじめ仕込んではいましたけど、迂闊に結界内に入ったのが運の尽きってところですね」

 口許だけを緩めて、舞は笑う。

「言うまでもないですけど、下手に動けば腕の一本くらいは軽く落ちますよ」

「……でしょうね」

「とは言っても、殺すことに変わりはありませんけど」

 ツイ、とほんの少し指を振るうだけで、コッコの肌に糸が食い込んだ。

 それを冷静に見つめながら、コッコは口許を緩めた。

「まぁ、私をここまで追い詰めたのは見事です。及第点ってところですかね」

「なにがですか? まさかこの状況から逆転しようってことじゃないでしょうね?」

「やれやれ……本当に、貴女は未熟ですね」

「なんですって?」

「逆転もへったくれもないんです。舞さんが言ったんですよ。『勝利条件は坊ちゃんを呼んでくること』だって」

「あの屋敷からここまで冥ちゃんの足でも二時間はかかりますよ」

「……ここまで言っても、まだ分かりませんか?」

 コッコは、不敵ににやりと笑う。

「あの人は来るんです。どんな時でも、いつも通りに」

「………………」

 自らの命が危機に瀕しているというのに、コッコは得意げに笑っていた。

 まるで疑う余地などなにもない。そう確信しているかのように。

 舞はゆっくりと目を細め、心底つまらなそうに顔をしかめた。

「山口さん」

「なんでしょう?」

「目障りだから死んでください」

 そして、ツイ、と指を指揮者のように振り上げる。



 ガラスが砕ける音が響いたのは、その時だった。



 思ったよりも、黒霧冥という女の子は気性の激しい子らしい。

 僕の「お願いだからそういう怖いことはやめようよ」という懇願を一蹴して、冥さんは窓に突っ込んだ。ガラスが盛大に割れる。

 破片を撒き散らし、彼女は僕を抱いたまま地面に降り立った。

 目を開けると、そこには糸のようなもので拘束されたコッコさんと、普段からは考えられないほど冷たい目をした舞さんが対峙していた。

「後は、お願いします」

 まるで壊れ物を扱う時のように慎重に僕を地面に降ろし、冥さんは頭を下げた。

 僕は口許を緩める。不敵に笑って、言った。

「任せろ」

 頭は冷え切っている。体は火照っているけど、大丈夫。

 僕は、ゆっくりと冷たい目をした彼女に向き直った。

「黒霧舞。君は職務を放り出してこんな所でなにをしている?」

「見て分かりませんか? 私は山口さんが邪魔だから殺そうとしてるんですよ」

 ツイ、と舞さんが指を振り上げると、コッコさんを縛る糸が彼女の身体に食い込んだ。コッコさんは顔色一つ変えないが、恐らくはかなり痛いはずだ。

「坊ちゃんこそ、なにしに来たんですか? 私は屋敷を辞めると言ったはずです」

「悪いけど、辞表の提出がされていない。最初に渡した規約の『屋敷を辞める際の手続きと辞表の提出』に基づいて書かれた書面がないと、辞職は認められない」

「詭弁ですね」

「経済活動ってのはそういうもんだ。人間はそれに乗っかって生きている」

 僕は目を細める。それからゆっくりと口許を緩めた。

「まぁ、僕としては君がいつ辞めようとも関与するつもりはない。職業選択の自由は保障されているしね。ただ、辞める時の礼節くらいは弁えてもらえるかな?」

「……本当に、貴方は甘いですね。人が人を殺そうって時に、そんなことを平気で口にできるんですから」

「ふぅん? 君が、コッコさんをねぇ?」

 言いながら、僕は全ての体力を使い、近くにいた冥さんをゆっくりと抱き寄せた。

 冥さんの顔が真っ赤に染まるが、僕は人差し指を彼女の唇に当てる。なるべく不自然にならないように、冥さんには黙っててもらいたかった。

 その意味を察したのか、冥さんか顔を真っ赤にしながらも僕に体を預けてくる。


 舞さんの髪の毛が総毛立った。


 顔が引きつって、表情が強張って、指先が怒りに震えている。 

「な……なにをしてるんですか?」

「そうだね。分かった、君は辞めろ。その代わりこの子は僕がもらう」

「っ!?」

 滅茶苦茶驚いたように目を見開いて、舞さんは絶句する。

 そんな彼女に向かって、僕は最高に嫌な笑いを浮かべて言い放った。

「さーて、明日から砂糖菓子のように甘い生活が始まりそうで、すっごくわくわくするよ。ねぇ、冥さん、どんなことがして欲しい?」

「ふ、不潔ですっ! い、一体アンタなに考えてるんですかっ!?」

「なにって……主にいやらしいこととか」

「最悪じゃないですかぁっ!!」

 これまでにない悲痛な叫び声を上げて、舞さんは僕を睨みつけた。

「やっぱり坊ちゃんみたいな女たらしに冥ちゃんを預けるのはやめですっ! わりとお金持ってるし甲斐性もありそうだから冥ちゃんを幸せにして欲しいって思ってましたけど、女たらしでマイナス100点ですっ! またいつもみたいに甘い言葉とさりげない態度で身も心も溶かし尽くして自分以外に見えなくさせるつもりでしょ!?」

「いや、そんな食虫植物みたいなことをした覚えはないんだけど……」

「食虫植物のほうがまだましですっ! この女の敵ッ!!」

 ……そんな目で見られてたのか。ちょっとショックだ。

 まぁ、今はショックを受けている場合じゃない。そろそろ心の準備をしておかないと、心の方が恐怖でもちません。


 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチンッ。


 張り詰めた糸がなにかに断ち切られる音が響く。

 そう、一瞬でも気を逸らすことができればそれで十分だった。舞さんが『敵』の存在を忘れてしまうくらいに、僕に注目してくれればそれで十分。

 ついでに、彼女を怒らせることができれば、僕の勝ちだったのだ。

「坊ちゃん、中学二年生の頃に身体に叩き込んであげたはずですよねぇ?」

 ああ、寒い。病気だけどそれ以外の理由で背中が冷たい。っていうか視線が痛い。

「不純異性交遊は、超いけませんって」

 戒めから解き放たれたコッコさんは、どす黒いオーラを放ちながら幽鬼のように立ち上がる。

 その目は、どんよりと真っ赤な光を放っていた。

「これはアレですねぇ、限りなく拷問に近いお仕置きをしないと坊ちゃんは分かってくれないんじゃないかと、私は推察いたします。……とりあえず、口の中に画鋲を目一杯詰め込んで、フルパワーで殴りましょう」

「………………」

 あっはっは、こりゃ参った。コッコさん予想以上に怒ってるぞ。

 殺気っていうか次元すら歪めようとする鬼気に僕はもうおしっことか漏らさんばかり。あれ、なんか自然に涙が溢れてきちゃったぞ? あとなんで画鋲の舌触りとか記憶に残ってるんだろう? そんなはずはない。違うんだ。

 なにかとんでもないトラウマが甦りそうになったのであわてて記憶を封印する。

 コッコさんは恐怖に脅えてどうしようもなくなっている僕のことを見てほんの少しだけ満足して、ゆっくりと舞さんの方に振り返った。

「まぁ、メインディッシュは後にしておきましょう。まずは……元凶になった貴女から叩き潰すとしましょうかぁ!!」

「へぇっ!?」

 舞さんは目を見開いて、僕の方を見る。

 ええ、そうですとも。簡単な理屈ですとも。怒ってバーサーカーになったコッコさんを止められる人間はここにはいません。ついでに言えば、こういう状態になったコッコさんは原因を全部叩き潰すまで止まりません。

「さぁ、それじゃあ覚悟を決めて、大人しく死んでくださいね?」

「ひゃあああああああああああああああっ!?」

 恐怖のあまり脱兎のごとく逃げ出す舞さんを、漆黒のオーラを纏ったコッコさんが追跡する。

 二人の背中があっという間に見えなくなってから僕はゆっくりと溜息を吐いた。

「あー………しんど」

 足から力が抜ける。限界に達して緊張の糸がぷっつりと切れる。一日に何回気絶しかけてんだとか自分でも思うケド、なんかもう、ホントに疲れた。

 頼むから、風邪の時くらいゆっくりさせて欲しい。

「お疲れですか?」

 綺麗な声が耳を打つ。その声を聞いてほんの少しだけ目を覚ます。

 夢うつつの中で、僕はこくりと頷いた。

「それではお休みなさい、ご主人様」

 なんとなく心地のいい響きの言葉を聞きながら、僕は意識を手放した。

  

 

 あの後、僕は入院することになった。原因は風邪をこじらせた上に毒を飲んで無理をしたことによる身体の衰弱というなかなかに重症っぽい症状であり、医者からは「こんなになるまで、アンタなにやってたんですか?」とか言われる始末。

 ……こんな込み入った上にクソ下らない事情なんて、当然言えないわけで。

 病院のベッドに横になりながら、僕は暇つぶしに独り言を言ってみたりする。

「色々と、僕なりに考えてみた。なんでこんなことになったのか? どうして君はこんな馬鹿な事をしようとしたのか? ……結論はまぁ、『やれやれ』だったけど」

「迷探偵坊ちゃんのカレーなる事件簿、始まり始まり〜」

 なんかさりげなくどころか直接的に馬鹿にされた気がするけど、気にせず続ける。

「まず事実をおさらいしよう。……冥さんが出奔したのは彼女の家、『空蔵』では有名な出来事だったけど、その理由は秘密にされていた。なぜなら『道具』は意志を持ってはいけないものだからだ。道具として扱われていたものが意志を持って一人で歩き出した。上手く機能しない道具は必要ない。本当なら冥さんは始末されるはずだった。……けれど、そうはならなかった」

「見よ、この誇大妄想。犯人的中率0パーセントを誇るこの素晴らしき推理!」

 ちょっとむかついたけど、この程度で怒るほど僕は子供じゃない。外野からの言葉は無視して続ける。

「……君と冥さんは家を出奔し、お人好しの僕に『偶然』出会った。知っての通り、僕は雨に打たれている女の子を見て見捨てられるほど非人間じゃない。結局は君たちを助けて屋敷で雇うことになった。安全な寝床と安定した生活。おおよそ考え得る最良の選択。君は計算づくであることをまるで悟らせずにそれを獲得した。誰にも迷惑をかけることなく、君は君たちが理想とする全てを手に入れたんだ。実際見事な手際だったと思う。……そう、全部君の思惑通りってわけだ」

「自分勝手な解釈による確定的な決めつけと、あとは妄想ですね」

 ……怒ってないぞ。僕は全然怒ってないぞ。強いて上げるなら、ちょっとイラッときただけ。怒ってはいないヨ?

「けれど、君にとって予想外だったのは、君曰く『女の敵』である僕に冥さんが惚れてしまったことだ。自分の感情すら正確に把握できていない彼女のために、君は僕の周囲にいる邪魔な存在を消すことにした。ありていに言えば、ろくに仕事もしてないくせにやたら僕に贔屓されているコッコさんを、僕の前から消そうとした」

「うわ、自意識過剰にも程度ってもんがあるんでしょう。普通告白されてもいないのに『惚れた』とか言いますか? ド変態さんですか、貴方」

 彼女が言っていることは今回ばかりは全くの正論なんだけど、なんだろう……この胸の奥で渦巻くどす黒いものは。

 荒く息を吐いて、僕は口許を引きつらせながら続ける。

「事情も知らず血気盛んでシスコンな冥さんの弟に情報を流し、僕の命を餌に冥さんを倉庫に呼び出す。同時にコッコさんが作った庭をちょこっと傷つけてコッコさんの怒りを煽り、わざと追跡できる痕跡を残して倉庫におびき出す。……コッコさんを始末するか、あるいは行方不明にするか、僕の屋敷から去ってもらうように言うつもりだったのか、それは僕には分からないけどね」

「っていうか前々から言おうと思ってたんですけど、坊ちゃんってなんか無条件でエロいんですよね。歩くセクハラ大魔人って感じです」

 

 ぶちっと、僕の中でなにかが切れた。


 なんか背後関係とか陰謀とか、そのへんが至極どーでもよくなってくる。

 ゆっくりと僕は顔を上げて、全身包帯まみれで手やら足やらを吊ってミイラのようになったつり目の彼女を見つめた。

「………舞さん」

「なんですか? エロ坊ちゃん」

「つまり全部てめぇのシスコンっぷりが引き起こしたことだろうがァァァァァァ!!」

 点滴を吊るす棒を、叫びと共に舞さんの脱臼した肩に叩きつける。

 ちなみに脱臼というのは骨折に匹敵するくらい痛い。下手すると骨折よりも痛いかもしれない。さすがの舞さんもかなり顔をしかめて叫び声を上げた。

「ひぐぁっ!? け、怪我人になんつーコトするんですかっ!!」

「やかましいわ、このシスコンッ! 今回のことは全部君が計画・立案・実行まで全部やったことじゃねーかっ! 普段ならいざ知らず、人が風邪の時狙いやがって!」

「風邪は坊ちゃんの不摂生が原因でしょうがっ!」

「率先して海に叩き込んだのは間違いなく君だと僕の記憶にはあるけどッ!?」

「普段から恨まれるようなことばっかりしてるからですっ! 大体、坊ちゃんはあのニートばっかり贔屓しすぎなんですよ! 冥ちゃんが庭をいじりたそうな目をしてても全然気づいてなかったし、坊ちゃんとニートのおばさんが遊んでいる時に冥ちゃんが寂しそうな顔をしてたりするのに、坊ちゃんは全然気がつかないんですもんっ!」

「いくら僕でも『ちょっと眉しかめただけ』とか『ちょっと目を伏せている』とかそういう微妙な動作で感情が読み取れるわけねーだろっ!」

「ふっ、あのプリティ冥ちゃんの行動が読めないなんて、坊ちゃんって本当に、全然・全く・さっぱり・大したことないんですねー! 今回だって最初から最後までニートのおばさん頼りでしたしねぇ。っていうか、いざという時の戦術や戦略がまるで分かってませんよ? それでも経営者ですか?」

「はっ、そのニートさんに戦術や戦略を全部ぶっ壊されてコテンパンにやられたのはどこのどちら様でしょうねぇ?」

「んっふっふっふっふ……」

「あっはっはっはっは……」

 不毛なにらみ合いが続く。中空でバチバチと紫電が散っているかのよう。周囲をちらりと見ると、同室の方々はあまりの不穏な空気にナースコールを連打していたりする。

 舞さんがにやりと笑う。僕も口許を緩めた。

 二回戦、開始。

「いい加減にしてください、二人とも」

 と、思ったその時。静かで凛とした声が響いた。

 振り向くと、病室に入り口に垂れ目の美少女が立っていた。

 ほんのりと薄い化粧に、大人しい柄のスカート、ハイネックのシャツ、カーディガン、そして右手には果物が乗った典型的なお見舞いの品をぶら下げて、左手には小さな花束を持っている。

 ものすごく可愛くバージョンアップした、冥さんがそこにいた。

「まったく、口げんかをするなら他でやってください。ここは病院なんですから」

「あ、冥ちゃん。もしかして、おねーちゃんが心配でお見舞いに来てくれたのかな? うーん、やっぱり冥ちゃんって優しいねー。おねーちゃん感激っ!」

「舞ちゃん、うるさい」

「はぐぁっ!?」

 かなり酷い言葉で打ち据えられて、舞さんはベッドに突っ伏して沈黙した。

 や、さっきまで口喧嘩してたけど……ものすごくかわいそうだ。

 冥さんは実の姉の頭をスイカを扱うように掴んで、思い切り頭を下げさせた。

「坊ちゃん。この度は姉がとんだ不始末をしてしまい、大変申し訳ありませんでした。……本当に、すみません」

「あの……冥ちゃん? いくら私でもこのポーズはすげぇきついんだけど」

 包帯であっちこっち固定されているのに無理矢理頭を下げさせられて、舞さんは悲鳴にならない絶叫を上げていた。それはまるでヨガのポーズのようで、見ているだけで痛すぎる。

「坊ちゃん。許していただけますでしょうか?」

「あ……うん。分かった。許すから、とりあえずその手を離してあげて」

 僕がそう言うと、冥さんはようやく舞さんの頭から手を離した。よほど痛かったのか、舞さんは顔を真っ赤にして肩を震わせていた。

 ……なんだか泣いているような気がしたので、僕はなにも見なかったことにした。

「あー……ところで冥さん、今日は一体どのようなご用件で?」

「お見舞いです」

 花束を花瓶に入れながら、冥さんは可愛らしくにっこりと笑った。

「ちなみに美里チーフは美咲ちゃんの授業参観、章吾さんは新人教育、京子さんはいつも通りに食堂で忙しく働いて、山口さんはまだ疲れて寝てるっぽいです。昨日は舞ちゃんを追い詰めるまでかれこれ六時間は走り回ったって言ってましたけど」

「………………」

 自分の生活リズムを他人に崩されるのが死ぬほど嫌い(自分で崩すぶんにはオッケー)なコッコさんが、舞さんをぶちのめすためにそこまで走り回ったっていう事実が、コッコさんがいかに怒っていたかを物語っている。半分くらいは僕のせいみたいな気がするけど、気にしないでおこう。……後でご機嫌を取っておかないと殺されそうだけど。

 と、僕が後々のフォローに頭を悩ませていると、冥さんは心配そうに僕の顔を覗き込んできた。

「坊ちゃん、顔色が優れないようですけど、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫です。丈夫なのが唯一の取り得ですから」

「嘘はよくないですよ?」

 冥さんは可愛らしい笑顔を浮かべながら、僕のおでこをちょん、と突く。

「まだ微熱もあるし、咳だって人前だからって我慢してるじゃないですか。ちゃんと栄養を摂って、しっかり睡眠を取らないと治りませんよ?」

「大丈夫だよ、これくらいなら。もう退院してもいいくら……」

 …………あれ?

「ちょっと待って。なんか体が全然動かないんだけどっ!?」

「大丈夫です。首から下の筋肉を麻痺させる経絡秘孔を突いただけですから」

 さりげなく恐ろしいことを言いながら、冥さんはシャリシャリと器用に包丁を使いこなしてリンゴを剥いていく。

「それに、ちゃんと言いましたよ? もう遠慮はやめるって」

 冥さんは全然可愛らしくない、いつも通りのなにか企んでそうな不敵な笑顔を浮かべる。……泣きそうで泣けない顔よりは断然、僕好みの表情だったけど。

「ま、今日のところはこれくらいで勘弁してあげます。坊ちゃんの体の調子もいまいちみたいですしね」

 冥さんは笑いながら、動けない僕の膝の上に腰かけて、フォークに刺したリンゴを左手を添えて差し出した。

「どうぞ、リンゴは体にいいんですよ?」

「………………」

 えっと、なんですか? この夢みたいな状況。っていうか、悪夢?

 ちらりと舞さんの方を見ると、まるで汚物でも見るかのような絶対零度の視線をこちらに向けており、他の入院患者を見ても『可愛らしいカップルだね♪』みたいな思考の持ち主はおらず、ただただ嫉妬と殺意だけが押し寄せてくる。

 冥さんが帰った後、僕は生きていられるのだろーか?

「はい、坊ちゃん。あ〜ん♪」

「………………あーん」

 可愛らしくも邪悪な笑顔に勧められるままに、僕はリンゴをかじる。

 リンゴは甘かったけれど、冥さんのようにちょっぴり酸っぱかった。



 欲しいものはとても近くにあって、それはごくごく当たり前で平凡だった。

 幸せになりたかった。笑顔で平和で緩やかで楽しくて、そんな日々を夢見ていた。

 手は血に汚れている。たくさんのいのちを、流されるままに殺してきた自分は、本当は死んだ方がいい人間なのかもしれない。

 けれど、私は死ねない。死にたくない。もっともっとここにいたい。

 それはきっと私の欲望。……『幸せになりたい』と、私は思っている。

 だから格好をつけよう。私が死ぬその時まで、格好をつけて美女みたいに生きていこう。私が好きな男の子は、必死で生きる人が誰よりも好きだから。

 幸せになるために、頑張ってみよう。

 でも、それじゃあなんとなく面白くない。

 私は、ほんの少しわがままを言って、彼を困らせてやることにした。

「坊ちゃん」

「………………はい」

 顔を真っ赤に染めてリンゴを食べる彼を見つめて、私は言った。


「ちゅーしていいですか?」


 彼はリンゴを喉に詰まらせて思い切り咳き込んで、次の瞬間には舞ちゃんに松葉杖で殴られた。

 大乱闘になった。



 第十二話『彼女の想いと彼女の願い』END

 第十三話『闇のゲームと精神崩壊コンボ』に続く。



 注1:今回は本文がくそ長いので、おまけ的要素はお休みさせていただきます。

 注2:クソ長いのにここまで読んでくれてありがとうございました。

 注3:携帯でここまで読んでくれた人には本当に感謝です。

 注4:次回は完全なコメディ。デス・ゲームの開幕です。

 注5:君たちの精神と人間関係をズタズタに破壊しつくしてやる(決め台詞)

 注6:それでは、次回をお楽しみに。

と、いうわけで次回は完全コメディ仕様となります。お楽しみに(^^)

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