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フェリシアの章:1

思いっきり好きなジャンルを詰め込んでみようと言う無謀な挑戦の元始まったお話です。

この訪問は意味のあるものにしなくてはならない。

決意を胸にフェリシアは自家用ジェットの柔らかいソファに腰をかけた。

イギリスの名門の娘としてアレスコーニ家の所有する研究所への立ち入りを何としても許可してもらう。

それが彼女に与えられた使命だった。

バイオテクノロジーに関して世界的に注目を受ける大規模な研究を行っているアレスコーニ家。

かたや代々王室御用達の絹織物の会社を経営する―家。

蚕を育てる環境を整えたい一心で大学で研究に励んだ。


それは養女として育ててくれた―家への恩返しに他ならない。

14歳以前の記憶もなく、その若さで既に身篭っていたような娘を引き取り育ててくれたのはクロフォード家の執事をしているセバスチャン夫妻だった。

かの執事は慰問で訪れた主人のお供で来た養護施設で彼女に出会った。

部屋で幼い子供たちの世話をする彼女を見て家政婦長は驚いた。

彼女が余りにも亡くなった令嬢に似ていたから。

自分が仕えている屋敷の令嬢を家政婦長も夫の執事も自分の娘同様可愛がっていたのだ。

この娘が屋敷に来ることで落ち込んでいる主一家の心も和むだろう。

そう考えて、夫妻は娘の里親として引き取りたいと申し出た。

14歳ともなると里親や養子に申し出てくれる大人はグンと少なくなるため、養護施設ではこの話に2つ返事で了承した。

それは、彼女の生んだ息子も共に引き取るという条件付きだった。

まだ14歳の彼女に子供が居るということにセバスチャン夫妻は驚きを隠せなかったが、彼女の身の上を聞くと引き離すことは出来なかった。

屋敷内での使用人雇用はセバスチャンに任されおり、彼女は屋敷で住み込みで働くことになった。

まだ幼い彼女の息子も一緒だった。

成人になったら施設を出て自活をしていかなければならなかった彼女は将来のことに不安があった。

だから、子供と共に働ける場を手に入れたことは何よりも嬉しかった。

記憶のない自分にとってはじめから自分を知っている存在。

その息子の存在は彼女を慰め勇気付けた。


つづく

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