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第4章-2 崩壊するデルタ地区

デルタ地区へ向かう途中、

地面の揺れは刻一刻と強まっていた。

ただの地震ではない。

もっと“意志”をもった脈動だった。


「走れ! 崩れるぞ!」


レオンが叫ぶと同時に、

遠くで溶岩が滝のように吹き上がる。赤い光が空を裂いた。


ユノの胸に、再び声が響く。


——やめて……

——あの場所を、壊される……


「マグニ、もうすぐ行くから……!」


ユノは息を詰めながら走る。

セラは手元端末で状況を確認し、顔を青ざめさせた。


「ダメ……これ、自然現象じゃない。

 星核の“自衛反応”が起きてる!

 このままじゃデルタ地区だけじゃなく、

 周囲一帯の地殻が崩落する!」


レオン「本社は!? 中止命令だ!」


セラ「送った……送ったけど返答が——」


そのとき通信機が雑音を吐き、CEOグラムの声が割り込む。


《採掘は続行する。

 その“反応”はただの活動期の揺り戻しだ。

 こちらで計算済みだ。》


レオンが苛立ちで歯を食いしばる。


「計算済みって……! 現場を見て言ってるのか!?」


ユノは振り返って怒鳴った。


「違う! これはマグニが……“庇ってる”んだよ!

 あなたたちに攻撃してるんじゃない……

 星核の中心を守ろうとして、力が暴走してるの!」


セラ「守る……? 星が、自分を?」


ユノ「そう。私たちは“誤解”してるの。

   これは敵意じゃなくて——叫びなんだ!」


だが本社は聞かない。

グラムは冷徹だった。


《危険があるなら制御装置を停止すればいい。

 計画の範囲内だ。掘り進めろ。》


その瞬間——


背後から、音が世界を裂いた。


ズウンッッ!!!


デルタ地区中央施設の巨大な採掘ドリルが、

赤光の渦に包まれて傾いたのだ。


「うそ……崩れる!」


施設の鋼鉄が溶け、ゆっくりと赤い深淵に沈んでいく。

星の怒りでも破壊でもない。

“本能的な拒絶”だった。


さらに強烈な声がユノの意識を貫いた。


——こわい……

——痛い……

——たすけて、ユノ……


胸が締めつけられるほどの震えだった。


ユノは叫ぶ。


「レオン、セラさん!

 制御装置のコアへ行かないと……!

 あそこに傷が入ると、星核そのものが壊れる!」


レオン「導いてくれ、ユノ!」


セラ「あなたが聞こえる声が……今は唯一の手がかり!」


3人は揺れ続ける大地の中を走り、

崩壊の只中にあるデルタ地区の最深部へ向かう。


溶岩の光の中で、ユノは声を聞いた。


——ユノ……

——“名前”を呼んで……


ユノ「……マグニ!」


その瞬間、周囲の光がわずかに静まった。


マグニは、ユノの声で“正気”をつなぎ止めていた。


——まだ……つながっている……?


ユノ「つながってるよ。

   だから、信じて。私が行くから」


マグニの声が震え、

まるで泣き声のように熱が揺れる。


——こわい……壊される……

——でも、きみが呼ぶなら……

——きみだけは、信じる……


ユノは唇を強く噛んだ。


この星は怒ってなんかいない。

ただ——孤独で、怖がっているだけだった。


そしてその孤独を理解できるのは、

ユノしかいない。


三者の誤解は、いよいよ本気で衝突を始める。

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