第4章ー4《守護者、解放》
マグニの背から溢れた“赤い光の羽”は、
炎でもエネルギーでもなく——
星そのものの意志と共鳴する守護者の象徴だった。
その異質な輝きに、重力装甲兵たちのシステムが一斉に警告を鳴らす。
『警告:存在階層が不明。解析不能。』
「……いい反応だ。」
マグニは一歩、静かに踏み込んだ。
その一歩だけで——
重力が逆転した。
兵士たちの足元の大地が沈み、
空気が裂け、装甲兵の身体が宙へ吸い上げられる。
「な……っ!?
重力が……逆方向に……!」
兵士の悲鳴が上がるより早く、
マグニは回り込むように動いた。
■守護者技《焔転》発動
「——落ちろ。」
マグニの腕が振り抜かれた瞬間、
重力装甲兵の周囲の空間が“赤く焼けた”。
重力ではない。
熱でもない。
星の核の圧力そのものだ。
複数の兵士が、地面に叩きつけられ、
装甲が押し潰されて火花を散らす。
(……すごい……
これが……マグニの、本当の力……)
レアは息を呑んだ。
マグニが今まで見せていた力は、
“守護者として封じられた力の、ほんの一部”だったと悟る。
■一方、暴走守護者に変化が
『……ア……レア……』
レアのそばにいる暴走守護者が、
より強く青色の光を放ち始めていた。
赤から青へ——
暴走から“本来の姿”へ戻ろうとしている。
「名前……言いかけてたよね。
“アル……”って。」
レアはそっとその胸の装甲へ手を伸ばした。
すると——
暴走守護者の体がびくりと震え、声を絞り出す。
『……アル……テ……』
「“アルテ”……?
あなたの名前……?」
青の紋が一気に全身へ広がった。
だが、それと同時に体の別部位で赤い暴走光が膨れあがった。
『……マダ……足リナイ……
名ヲ……呼ンデ……主……』
「名前を……全部呼ばなきゃ……!」
レアは胸に手を当てる。
(星核が……導こうとしてる……
アルテ……アル……何かが……足りない……)
■敵の切り札が動く
『レア。
君をこれ以上、放置するわけにはいかない。』
クロスの声が再び響いた。
空に浮かんでいた輸送艇の一つが、
装甲を展開し、巨大な影を降下させる。
その影は他の兵装とは違う“異形”だった。
「な……にあれ……!」
カイが震える声で呟く。
レアも直感で理解した。
(あれは……普通の兵器じゃない……
星核エネルギーを直接取り込んだ……人造守護者……!)
クロスが冷ややかに告げる。
『紹介しよう。
エンデバー社製・星核模倣兵。
レア、君を“保護”するためだけに造った兵器だ。』
白と黒の装甲をまとい、中心に星のような光を宿す兵器。
その光は——
レアの星核と“干渉”し始めていた。
「っ……頭が……!」
レアが苦しみ、膝をつく。
「レア!!」
マグニが駆け寄ろうとするが——
プロトルミナスから放たれた光刃が、
彼の進行を阻んだ。
■守護者対“模倣守護者”
「人造の分際で……」
マグニの声が怒りに沈む。
「レアに触れるな。」
プロトルミナスは無機質な声で応じる。
『目的:対象レアの確保。
障害:守護者マグニ——排除。』
刹那、二つの光がぶつかった。
守護者と模倣守護者——
星の力を巡る真正面の激突。
大地が裂け、空が唸り、星の鼓動が狂う。
■レアとアルテの覚醒前兆
その衝撃で、レアと暴走守護者——いやアルテ——の体が揺れた。
『……レア……
呼ンデ……最後ノ……名……』
レアの胸が強く光る。
「知りたい……知りたいよ……
あなたの本当の名前……!」
星核が脈動し、レアの視界に
“古代の文字”が一瞬だけ映った。
(……アルテ……
アルテ……イン……?
アルテ……リア……?)
星の声が、彼女の心に囁く。
『呼べ。器よ。
その名を呼んだ時——
本来の守護者が目覚める。』
レアは震える唇でつぶやいた。
「アルテ……」
そして——
「アルテリア……!」
暴走守護者の体が、青白い光に包まれた。
『……主……呼ンダ……!』
赤い暴走の炎が、一気に“浄化”されていく。
完全覚醒。
暴走守護者は本来の名——
守護者として蘇る。




