第4章ー1 《星核の鼓動》
第4章ー1 《星核の鼓動》
レアの胸から放たれた赤い光は、
ゆらめく帯のように空へ伸び、星そのものと共鳴していた。
マグニはその様子を静かに見つめながら、
一歩、レアの前へ膝をついた。
「レア……その光は、君の“核”だ。
本当の力が目を覚まし始めている。」
レアは震える指先を見つめる。
さっきまで爆撃で崩れかけた地面が、
自分の心拍と同じリズムで脈動していた。
「私……こんなの、知らない。
私、普通の人間として育ったのに……」
声が震え、涙がこぼれそうになる。
「普通として育ったからこそ、今の君があるんだ。」
マグニが優しく言う。
「怖いだろう。でも——君はひとりじゃない。」
その言葉は、レアの胸に温かく染み込んだ。
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■暴走守護者の苦悶
赤い紋が地面に広がる中、
暴走守護者はそれに反応するように身をよじった。
『……器……主……助ケ……求メ……』
その声は、怒号ではなかった。
苦しむ子どものような、震える声だった。
「……苦しんでる……?」
レアは一歩、暴走守護者へ近づいた。
「レア、危険だ!」
カイが叫ぶ。
だがレアは首を横に振った。
「感じるの……。この星の声だけじゃない。
あの守護者の中に、誰かの悲しみがある。」
レアの歩みに合わせて、暴走守護者の動きが静まり、
溶岩のような光が弱くなっていく。
マグニが目を細めた。
「……レア。君は“星核の器”だけじゃない。
星の守護者を導く存在でもあったのか……」
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■その時、通信が割り込む
『——聞こえているか、レア。
エンデバー社代表、クロスだ。』
空から投影されたホログラムが、
スーツ姿の男の姿を形作る。
その笑みは温かいが、眼は氷のように冷たかった。
「大変危険な状況だ。
私たちは君を“保護”するために来た。」
マグニが即座にレアの前へ出る。
「保護という名の“確保”だろう。」
「誤解だよ。
レアが何者であれ、君自身の意思で私たちに来てほしい。
……その力、制御できていないだろう?」
レアの胸がズキリと痛む。
確かに“制御できていない”。
今も星の声が、波のように押し寄せてくる。
(これ以上覚醒したら……本当に制御できなくなるかもしれない)
その弱みに気づいたクロスは、穏やかに続けた。
「レア。
君がそのまま力を暴走させれば——
星ごと崩壊する可能性がある。」
「……っ!」
「だから私たちは専門の設備で、君を守りたいだけなんだ。」
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■暴走守護者が吠えた
クロスの言葉に反応するように、暴走守護者が咆哮する。
『……渡スナ……器……マモル……マモル……!!』
その声は、完全にレアを“守る対象”として認識していた。
だが同時に、その体は限界に近づき——
マグマのように崩れ落ち始めている。
「このままじゃ……壊れる……!」
レアは駆け寄ろうとするが、マグニが腕を掴んだ。
「レア、触れてはだめだ!
君が完全に覚醒してしまう!」
「でも、放っておけない!」
レアの声には強い葛藤があった。
クロスの提案はある意味“誘惑”だ。
完全に制御できない彼女にとって、逃げ道でもある。
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■レアの決断
レアは深呼吸して、両手を胸に寄せた。
「……私は、誰かに管理されるための存在じゃない。
星が暴走するなら——私が止める。
暴走守護者が苦しむなら——私が救う。」
決意のこもった瞳で、クロスを見返す。
「だから私は……行かない。
自分の力は、自分で向き合う。」
クロスはふっと笑みを消した。
「……そうか。残念だ。」
次の瞬間——
上空から黒い影が一斉に降下する。
企業の精鋭部隊「ブラックヘイム隊」
レア奪取作戦、開始。
⸻
■マグニが立ち上がる
「レア。
選んだ以上、俺も腹を括る。
この星にある全ての炎を使ってでも、君を守る。」
その横で、暴走守護者も立ち上がった。
『マモル……器……守ル……』
壊れながらも、レアのために立つ。
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■三つの力が揃う
•レア(星核の器・覚醒中)
•マグニ(守護者)
•暴走守護者(壊れた守護者)
その三者が並び立った時、
星の地表が赤く光り、空まで震えた。
星の本当の戦いが、今、始まる。




