第3章-7 《星の血脈》
地割れの向こうで、炎の中からゆっくりと姿を現した影。
マグニに酷似した輪郭、だがその体表はマグマのようにひび割れ、
その目は灼熱の暴風のような狂気に満ちていた。
「……同族?」
レアが呟くと、マグニは短く首を振る。
「違う。
あれは“かつての守護者”の成れの果てだ。
星の怒りを受けすぎた……壊れた存在。」
暴走守護者はレアの方を向いた。
その視線には、明確な“意図”があった。
「狙われてる……?」
レアの背筋が冷たくなる。
「レア、下がれ!」
カイがレアを庇うように前へ出た。
しかし暴走守護者は、一歩を踏み出しただけで地面を割り、
瞬時にレアの目の前へ跳躍する。
——その瞬間。
マグニが割り込んだ。
火山弾のような拳を腕で受け止め、
溶岩のような火花が四方に散った。
「……レアには指一本触れさせない!」
マグニの声は初めて、怒りで震えていた。
⸻
■レアの胸の奥で、何かが“軋む”
激突の衝撃で、レアの身体は後ろへ吹き飛ばされる。
だが地面に倒れる寸前、レアは自分の鼓動が
人間の速度ではないことに気づいた。
——ドンッ、ドンッ、ドンッ!!!
星の中心のような重い鼓動。
視界が赤い光に満ち、耳鳴りが星の声に変わる。
『——目覚めるな、レア。まだ早い……!』
(誰……? この声、マグニじゃない……)
混乱するレアの耳に、さらに別の声が重なった。
『帰レ……“星ノ器”……』
それは、暴走守護者の声だった。
レアは震える唇で呟く。
「……私……“器”?
それって……人間じゃ……ない……?」
その瞬間、暴走守護者がマグニの腕を弾き飛ばし、
灼熱の拳をレアへ向けて突き出した。
⸻
■レア、片翼の覚醒
レアは反射的に両手を胸の前に掲げた。
すると——
レアの体から、赤い紋が光となって走り出す。
地面に円形の紋章が浮かび上がり、
暴走守護者の拳が目の前で止まった。
まるで「星そのもの」がレアを守ったかのように。
暴走守護者が吠え、マグニが目を見開く。
「……やはり……!
レア、君は——」
言葉の続きを言おうとした瞬間、空から影が降りてきた。
⸻
■企業、介入
空気を裂きながら降下してくる無数の黒い機影。
エンデバー社のドローン群だ。
「接近警報! 対象2体のエネルギー反応が危険域へ!」
スピーカーから機械音声が響き、
ドローンがレアとマグニ、暴走守護者を同時にロックオンする。
「え、待って……私、狙われてる!?」
「レアから離れろ!」
カイの声が震えていた。
次の瞬間——
ドォォォン!!
第一射が地面を抉り、爆炎が三人を飲み込んだ。
⸻
■炎の中で、マグニの決意
視界が白く飛んだ中で、
レアは自分が誰かに抱えられていると気づく。
マグニだった。
その瞳は燃えるように怒りに染まり、
背に負った巨大な影がゆらゆらと揺れていた。
「……レア。
もう隠しておけない。
君の正体を、話す時が来た。」




