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第2章−5 《目覚める核、崩れる均衡》

扉の奥で輝いていた“光の胎動”は、

鼓動するたびに空間そのものを震わせていた。


形はまだ曖昧。

大きさは人の胸ほど。

だが、その存在感は巨大な星の心臓そのものだった。


ラヴィは一歩、また一歩と近づく。


——こわい。

——まぶしい。

——あなたハ ダレ?


声が二重に聞こえる。

マグニの声と、幼い“核”の声が重なっているようだった。


ラヴィは震える声で答えた。


「私は……ラヴィ。

 あなたのお母さんは……外で待ってるよ」


——……オカアサン?


その瞬間、光がふわりと揺れ、

ラヴィの胸元に向かって寄ってくる。


まるで甘える子供のように。


だが——


背後で重い金属音が響いた。


「総員、再集結しろ!

 エネルギー体を確保する!」


ソラリス隊員たちが、破片の中から立ち上がっていた。


アークが叫ぶ。


「待て! 今触れたら——!」


「——暴走反応が起きて全員死ぬ!!」

ラヴィが続けた。


だが、隊長格の男は聞こうとしない。


「このエネルギー体を手に入れれば、

 企業は新しい恒星炉を作れる!

 利益規模は惑星一つ分に匹敵する!」


ラヴィは怒りのあまり歯を食いしばった。


「ただの赤ん坊だよ!

 利用なんてさせない!」


隊長の眼がぎらつく。


「なら貴様は排除対象だ。

 “異物”に共鳴する危険因子として」


その言葉が落ちた瞬間、

“核”が強烈な衝撃を放った。


ドンッ!!


空気が爆ぜ、壁の紋様が一斉に光る。


——イヤ!

——コワイ!

——オカアサン、ヨンデ!!


ラヴィは胸が裂けるような痛みを覚えた。


「マグニ……! 子どもが呼んでる!」


遺跡全体が揺れ、溶岩の脈が唸り出す。


遠くの地表でも、マグニが苦しんでいるのがわかった。


アークがラヴィを庇いながら言う。


「ラヴィ! ここで何かを決めないと、お前も核も——

 そしてこの星も……壊れるぞ!」


ラヴィの脳裏で、マグニの声が震えながら響く。


——ワタシハ……イマ イケナイ。

——ソトデ……ヒビガヒロガッテ……

——ウゴケナイ……


——タスケテ。

——ワタシノ コドモヲ……

——アナタガ、マモッテ。


ラヴィは、ゆっくりと立ち上がった。


そして目の前の幼い核へ、一歩踏み出す。


「……大丈夫。

 私が守る。

 あなたも、お母さんも」


光が揺れ、幼い声が微かに笑った。


——ラヴィ。


その瞬間。


ソラリス強襲部隊の銃口が一斉にこちらへ向いた。


「対象を撃て!!」


アークが叫ぶ。


「伏せろ、ラヴィ!!」


だが、撃つより早く——


大地そのものが裂けた。


地底の奥から、巨大な赤い光柱が噴き上がったのだ。


「うわっ……!」


「な、なんだこれは……!」


ラヴィは悟った。


これはマグニの叫びではない。


“二つの核が暴走寸前で共鳴した”

危険信号そのものだった。


このままでは——


星テルマが、内部から爆発する。


ラヴィは叫んだ。


「アーク! 核を安定させる方法はある!?」


アーク「……一つだけ。“共鳴者”のお前が――」


ラヴィ「触れるんだね? わかった!」


アーク「違う!!

    触れたら“お前が”持っていかれる!!」


ラヴィは振り返った。


炎のような光の中で、小さな核が震えている。


——コワイヨ。

——ラヴィ、タスケテ。


ラヴィは迷わず駆けだした。


アークが絶叫する。


「ラヴィッッ!!」


ラヴィの手が、光の子へと伸びる。


そして——


星の運命が決まる“接触”が起きた。


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