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授業を受ける奴

 「えー、おはようございます。みなさん!」


 新米(にいまい)先生の声が教室にこだまする。入学2日目。今日も今日とて朝のホームルームの時間だ。


 「おはようございます!みなさん!」

 「お、おはようございます。」

 「うんうん。良い挨拶ありがとうございます留唯(るい)くん。」

 「挨拶しないと進まない感じなんですね…。」


 昨日と同じ一対一のホームルーム。先生の視線や声はまっすぐ俺に届く。教室を見渡す限り、どうやら今日もクラスメイトは登校拒否中らしい。誰ひとりとして来てはいなかった。入学して間もないというのに、いったいどういうことなんだ。


 「………さて、今日から各授業オリエンテーションを交えつつ行っていきますから、一緒に頑張りましょうね!」

 「そう言えば、先生は何の教科を担当しているんですか?」

 「良い質問ですね!答えは全てです!」

 「全て!?」

 「はい!理系文系技能系全てこのクラスの授業は先生が担当します!」


 薄い胸を張って先生は自慢げに言う。


 「………そういうのって、小学校までじゃないんですか…。」

 「うーん、そうですよね…。でもほら!ここは摩訶(まか)高校ですから!」

 「な、なるほど…?そういうもんなんですね?」

 「はい。そういうもんなんです。」


 入学2日にして、ここの高校のノリも掴めてきたような気がする。どうやらここはあり得ないだろうというハードルを優に越えてくる場所らしい。ということは、絶対的権力を持つ生徒会なんかも登場するのかだろうか。摩訶(まか)高ならあるような気がする。


 「………てことは、きょう一日先生とマンツーマンなんですね…。」

 「はい!そうですよ!居眠りなんかさせませんからね!覚悟してください!楽しい授業にしてみせます!」

 「は、はい。」


 妙にやる気な先生。俺もなんだかやる気になってきた。考えてみれば家庭教師でもないのに一対一の授業というのはレアだ。この際、東大でも目指すぐらいのインテリを目標にしてしまおうかな。そうしよう。心のなかで眼鏡をかけて人差し指で押し上げる。うん。インテリっぽいぞ。


 「ホームルームはこの辺りで終わりにします。1限目は数学なので用意をして待っていてくださいね。」


 先生はそう言って教室を出ていった。俺はひとり寂しく机の上へ教材を置いて待つ。近くに話しかける人もいないのでパラパラと教科書をめくる。学校でこうして授業を受けるのは久々だ。とても新鮮な気分である。

 いつの間にかページをめくることに夢中になっているとチャイムの音が聞こえた。と同時に先生が再び教室に入ってくる。測っていたのか知らないがらぴったりに足を踏み入れてきた。


 「さて!数学の授業を始めますよ!自己紹介は済んでいるので、早速中学の復習からしましょう!えーと、15分ほど時間を取りますね。」


 思いの外先生の授業はマトモであった。中学までの実力で解ける問題が載ったプリントを渡され、解く。さらさら、とまではいかないものの順調だ。


 「15分たったので解答に移ります。質問があればその都度聞いて下さいね。」


 新任であるはずだが流石は教師。授業は淀みなく、淡々と進んでいくのだった。

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