表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/42

アイス奢る奴

 不和(ふわ)が学校に来なかったので、俺は彼女に会いに行くことにした。といっても、不和(ふわ)がどこにいるのかは分からないが。

 さてどうしたものか。取り敢えず彼女と出会った場所に戻ろう。


***

 俺が不和(ふわ)と出会ったのは病院から出た信号のところである。人や車通りが少なく、閑散としている場所だ。早速向かう。


 ピヨピヨと信号機が切り替わる音がした。


 そこに、昨日と同じように後ろ向きに歩く少女不和(ふわ)がいた。また声をかける。


 「お、おい。だから、後ろ向きに歩くのは危ねえって。」

 「でも今まで事故に遭ったことないよ?」

 「そういう問題じゃねえって昨日も言っただろ!?」

 「昨日?そうだったかなぁ。」


 不和(ふわ)はとぼけるようにゆったりとした調子だ。まさか本当に覚えていないのか。だとすれば学校に来れなかったのも理解できる。


 「もしかして学校に行くっつったことも覚えてなかったのか?」

 「ううん、まさか。覚えてるよ。」

 「え!?なら、なんで来なかったんだ?」

 「うーん。そういう気分じゃなかったから、かなぁ。」

 「き、気分じゃない、かぁ…。」


 記憶に障害があるだとかではなさそうなので、安心した。が、それはそれとして気分でないから登校しないというのも難しい。

 どうにかしてノらせれば学校に来てくれるということなのだろう。頭を捻って、アイディアを浮かばせる。


 「ど、どうすりゃ学校に行きたくなる?」

 「そうだねぇ。アイスを食べたら行きたくなるかなぁ。」

 「アイスか!分かった!よし!食いに行くぞ!」


 不和(ふわ)の手を引き、近くの公園を目指す。確か、付近の公園にジェラートのキッチンカーが来ていたはず。そこならば彼女も満足してくれるだろう。  

 信号を渡りきり、住宅街に入る。その一角。小さな池がある公園へと辿り着いた。丁度、ピンク色の旗が立っているキッチンカーがある。


 「すいません。ジェラート、ください。………不和(ふわ)。なに食うんだ?」

 「バニラかなぁ。もしかておごり?」

 「あ、あぁ。任せろ。」

 「そっかぁ。なら、抹茶と、バニラと、チョコと…。」

 「お、おう…。…………持ってくれよ。俺の財布……。」


 思わぬ出費につい、財布を握りしめる。


 「はい!お待たせしました!」

 「あ、ありがとうございます…。」


 店員に礼を言ってジェラートを受け取る。そして不和(ふわ)に渡そうと見渡したが、肝心の彼女はいない。周囲を見てみても、いない。一体どこに行ってしまったのか。というか、マイペースすぎないか。


 「ふ、不和(ふわ)ぁー!どこいったんだー!?アイス溶けちまうぞ!?」

 「ん。美味しいね。これ。」

 「!?い、いつの間にいたんだよ!?」

 

 気がつけば不和(ふわ)が俺の持っていたジェラートを持って、小さな口で食べていた。悪びれもなく次々とジェラートを平らげる。


 「ふぅ。美味しかった。じゃあね。」

 「え!?あ、おい!不和(ふわ)!明日、学校でな!おーい!」


 ひらひらと手を振って、のらりくらりと去っていく。全くマイペースなものだ。

 しかし、これで明日学校へ来てくれるだろう。きっと、そうだ。明日に期待を込めて俺は帰宅するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ