ゲーセンにいる奴
登校拒否の生徒と会うため、俺と静奈はゲームセンターへ来ていた。
建物はパープルのドーム状であり、大きさはかなりある。付属の駐車場も気持ちの良いくらい広々としていた。しかし、肝心の車は少ない。というか、建物も所々錆びれていて客自体があまり入っていないのだと思わせた。
早速手動の透明ガラスで出来た扉を開ける。中に入った途端に喧騒が体を包む。
「取り敢えず、店内一周して探してみっか。」
「……うん。………そうだね。」
目的の生徒はゲームセンターにいるといっても、店内は無駄に広い。具体的にどのコーナーにいるかなんてのは知らないので、虱潰しに探すことにした。
まずはUFOキャッチャーのコーナー。軽快な音割れした音楽が台から鳴っている。
「…………!メイマロちゃん!」
「おい待て!俺達、何しに来たか忘れたのか?」
メイマロのブランケットが置いてある台に吸い込まれそうな静奈の首根っこを掴む。
「………私達は……メイマロちゃんを…探しに、来た。」
「ちげぇよ!メイマロじゃなくてのぞみっていうクラスメイトな!?」
担任から聞いた名前を出す。これで当初の目的を思い出してくれればいいのだが。と思ったのも束の間。静奈はすぐさま口を結んで反論する。
「…………………メイマロちゃんは可愛いけど………のぞみちゃんは可愛いか分からない……。つまり、ここはメイマロちゃんを優先すべき……。」
「あのなぁ…。メイマロは逃げねぇけどのぞみは逃げちまうかもしれねぇだろ?早く見つけねぇと。」
「………メイマロちゃんは、閉じ込められてて…逃げられないんだ…。早く、助けてあげないと………。」
「なんでそうなんだよ!?ほら、いいからのぞみを探すぞ!」
掴んだ襟をそのままに、結局、彼女を引っ張っていくことにした。静奈はその間も未練がましくメイマロへ手を伸ばしていた。
***
そんなこんなで店内を歩き回る。メダルゲームコーナーやプリクラコーナー、音楽ゲームコーナーエトセトラ。
いくら回れども、肝心の生徒はいなかった。というか、人自体が少ない。店内は俺と静奈の声、そして機械のポップな稼働音だけが響く。
「次で最後か。」
どうか見つかるようにと祈りつつ、頼みの綱の格闘ゲームコーナーへと足を踏み入れる。中々入り組んでいて、椅子と筐体がL字型にずらりと並んでいた。
「………………のぞみちゃんは……女の子、なんだよね…。こんなところに、いるの?」
「どうだろうなぁ。でも、格闘ゲー好きなのかもしれねぇ。ほら、ギャップ萌え的な?」
「………ギャップ萌え……ね……あっ、」
「?どうした、ん、あっ、」
静奈に向けていた顔を正面へ向ける。すると、彼女が何に気付いたのか俺も理解する。
「あ?何見てんだあんたら。」
金髪の気の強そうな少女が、椅子に座って財布を取り出していたのだ。




