ヤンチャな奴
俺にとっての波乱万丈の昼食を終えた午後。授業は淀みなく進み、帰りのホームルームとなる。
「はい。今日はこれで。みなさん、それではさようなら。」
「さようなら!」
「さ、さようなら。」
新米先生の元気な声でまた明日、お別れだ。そうして先生が教室を出る前に、聞きたいことがあった。
「先生。静奈も来たし、次、学校に誘うクラスメイトのこと教えてくれませんか?」
「そうですね…。ええと、それが…。」
「?歯切れ悪い、ですね……。もしかして……すっごい不良とか……ですか。」
静奈の疑問に、先生はイエスともノーとも判断つかない歯切れの悪い顔をする。右の口角は上がり、左の口角は下がっていた。随分器用なものだ。
「不良?では、ないと思います。ただ少しヤンチャというかなんというか。」
「ヤンチャ…。まぁ、会ってみます。って言っても、家とか教えても大丈夫か分からないですけど………。」
個人生徒の情報を迂闊にばら撒くのはよろしくないだろう。そのあたりの線引きはよく知らないが。
「いえ。先生のお手伝いをしてもらっている、という体ですから。大丈夫だと思います。……ただ…その子はあまり家にいないんです。」
「家に……いない……。路地裏とかに…たむろ、してるんですか……?」
「ヤンチャだからって、治安悪そうなとこにいるとは限らねぇだろ…。」
「そうですね。…時間帯によっては路地裏よりも治安の悪いところ…ですかね。」
「ズバリどこなんです?」
「……………………ゲームセンターです…。」
***
先生の言葉を受けた俺達は、早速ゲームセンターへ向かう。摩訶町のゲームセンターは幸いひとつしかない。学校から出て繁華街とは少し遠い、国道沿いを歩く。
「にしても、静奈。良かったのか。ついてきて。」
「……?うん。………だめだった?」
「いやまさか。ただ、クラスメイトを学校に連れてくるって言い出したのは俺だからよ。お前が無理についてきてねぇかと思って。」
そもそも静奈は先生の手伝いをすると言っていなかったのだ。俺は自身の意思で登校拒否中の生徒を訪れようとしているが、だからといって他者に無理強いはしたくない。
「…………その……先生と柳くんには…迷惑、かけたから……何か手伝おうと、思って。」
「そうか。……まぁ、お前に迷惑かけられた覚えはねぇけどな!でも行くっつうならしゃあねぇ。丁度ひとりじゃ心細ぇと思ってたとこだしな。うん。しゃあねぇ。」
「…………やっぱり……行くのやめようかな……。」
「冗談だ冗談だ!めちゃくちゃ助かる!だから一緒に行こうぜ!?な!」
「…………………仕方ないね。」
仲間をゲットし、目標のゲームセンターは目の前だった。




