デコる奴
俺は静奈と教室へ入る。席は幸運にも隣同士だ。互いに席につく。
「あっ、そういやタブレット返さねぇと。」
「…………私も…。」
静奈と話す用に先生から受け取ったタブレットを見る。新品のようにピカピカなタブレットは、早くもお役御免だ。先生に返さなければ。
隣を見ると彼女も鞄からタブレットを取り出す。
「新米先生は、いつも、いつぐらいにくるの…?」
「うーん。ホームルームのチャイムが鳴った同時ぐらいだな。ホントぴったり来るんだぜ。」
「へぇ。すごい。」
しばらく待っているとチャイムが鳴る。すると同時にやはり担任が教室に入ってきた。今日も寸分の狂いない。時間ぴったりだ。
「おはようござ、!?あ、貴方はもしや…!」
「………は、はい。その、柊静奈、です。………色々と、ご迷惑をおかけしました。」
「ごごごご迷惑だなんて!そんな!まさか、実際に登校してくれるとは!先生嬉しいです!静奈さん!今日から鹿組で共に過ごしましょうね!あぁ!困りごとがあれば先生に教えてください!全身全霊をかけてお助けしますから!」
「先生!落ち着いてください!静奈が引いてますから!」
目を輝かせて静奈の手を掴む先生。よほど嬉しいのだと、察するにあまりないが、それはそれとして圧が強すぎる。肝心の静奈は目を白黒させて固まってしまっている。
「はっ!ご、ごめんなさい。」
「いえ……その、だいじょうぶ、です。………それより、これ、」
静奈は先生の手から逃れて、机の上に置いたタブレットを差し出す。
「ありがとう、ございました。」
「いえ!お役に立てたなら何よりです。でも、少し残念です。」
「?なんでですか。」
「先生、実はタブレットをデコレーションするためにメイマロちゃんのカバーとシールを買ってきたんです…。」
「!見たい、です!」
ウキウキの静奈へ先生はピンク色のタブレットカバーとぷっくりとした立体的なシールを見せる。メイマロちゃんとシロミちゃんがそれぞれデザインされていた。
「!!!先生!これ、いくら払えば譲ってもらえます、か!」
「え?えーっと…。タダであげます!タダであげますからお財布をしまってください!」
「そんなに欲しかったのかよ…。」
見るに、取り出された財布もメイマロ柄であった。というか気付かなかったが、鞄にも大量のストラップやぬいぐるみが付いているではないか。
これはもはやメイマロ好きというかメイマロ狂いというか。
「………………柳くんも、欲しい…?」
「?いや。」
「でも……メイマロちゃんに、熱い視線注いでた…。」
「お前があんまりにもメイマロ持ってるから気になっただけだ。」
「ふぅん。………欲しいなら、言って。……布教用は…持ってるから。」
「いらねぇって!広げるな!しまっとけ!」
机の上にメイマログッズを広げようとしていたので止める。それにしても、スマホケースからストラップまで随分グッズを持ち歩いているようだった。




