表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/42

食レポする奴

 体育含め、午前中の授業を終えた俺達。待っているのは昼食だ。俺は隣の席のタブレットを持って静奈(せいな)へ話しかける。


 「よし。手を洗いに行こうぜ。」


 タブレット越しに静奈(せいな)の声がした。  


 「………私も行くの…?」

 「おう。飯食う前は、手洗いだろ?」

 「で、でも、私は家にいるから…一緒にタブレット持っていっても意味ないんじゃ…。」

 「細かいことはいいんだよ!ほら、お前も画面越しでいいから手洗おうぜ!」

 「………分かった。」


 根負けした静奈(せいな)は黙って俺に抱えられる。手洗い場に着くと、俺はハンドソープが置いてある台にタブレットを並べる。そして、泡立てて丁寧に指先を洗う。どうやら静奈(せいな)も手を洗っているらしく、タブレットのマイクからノイズ混じりに水の音がした。

 水の滴る手をハンカチで拭き、タブレットを持つ。教室に戻ると、お弁当を広げて手を合わせる。


 「いただきます!」

 「い、いただきます。」


 今日のおかずは肉じゃがにポテトサラダ、それとスイートポテト等々。中々美味しそうである。


 「………………芋、多くない……?」

 「奇遇だな。俺もそう思った。けどまぁ、野菜だからな!いくら食っても健康だろ!」

 「うーん。まぁ、そっか…。」

 「そういうお前は昼飯に何食べてんだ?」

 「私は………チキンラーメン…。」

 「おー、いいな。」

 「でしょ。……しかも、卵つき…。」

 「卵つき!?まじかよ!………俺もチキンラーメン食いたくなってきた…。よし!これ食い終わったら買いに行く!」

 「えぇ!?お弁当食べたら、お腹いっぱいにならない…?」

 「ならねぇ!間食として食う!」

 「……………貴方がいいなら、いいけど…。」


 チキンラーメンのため、お弁当をかき込む。無論、味わいつつ、だ。いくらチキンラーメンを食べたくとも作ってもらった弁当を無碍にはできない。そうこうして、弁当を食べている間も、タブレットからは麺を啜る音が聞こえた。


 「くそっ…。俺もチキンラーメン食いてぇ…。」

 「わ、私も、貴方のお弁当美味しそうだと思うけどね…。」

 「だろ!美味そうってか、美味いぜ!食うか?」

 「画面越しじゃ、食べれないよ…。」

 「そ、そうだな…。じゃあ食レポしてやる!待ってろ!」


 お弁当の美味しさを伝えるため、まずはお気に入りのポテトサラダを箸ですくう。市販のものと同じように見えるかもしれない。しかし、我が家のポテトサラダはひと味違うのだ。なんと言っても、芋が潰しきっていないのだ。ゴロゴロ芋が入っているため、食べ応えは抜群ということになる。


 「うん。美味い!なんか、こう、めちゃくちゃ美味ぇぞ!」

 「………………(やなぎ)くん…食レポの意味知ってる…?」

 「食をレポートすんだろ?もちろん知ってるぞ!」

 「レポートできてないよ全然!」

 「手厳しいな…。ん?てか、俺の名前知ってたんだな。」

 「ま、まぁ。……その、自己紹介、してたし……。………ごめん。馴れ馴れしかった……。その、(やなぎ)さんって呼ぶ…。」

 「いやいや!馴れ馴れしくなんかねぇよ!むしろ固いぐらいだ!なんならやなぴょんって呼んでも良いぞ!」

 「気色悪いから遠慮しとく…。」

 「そんなこと言うなよせいなぴょん!」

 「本当にやめて!?」


 そんなくだらないことを言っている間に、お昼の時間は着々と進んでいた。もしかすると、チキンラーメンを食べる余裕はないのかもしれない。仕方がないので、今日は諦めよう。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ