表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
借金まみれの錬金術師、趣味で作ったポーションがダンジョンで飛ぶように売れる~探索者の間で【伝説のエリクサー】として話題に~  作者: わんた


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/91

販売価格って難しいよね

 テントに入るとパンツ一枚で肩にタオルを掛けている男がいた。照明を反射させて刺青の入っているスキンヘッドが光っている。背中や腕、足にも刺青があるんだよね。見た目が恐ろしいんだけど、ミスリル鉱脈エリアの責任者であって凄腕の探索者でもあるらしい。


 名前はフォックス。明らかに偽名なんだけど、ギルドに登録できちゃってるから不思議だ。絶対に裏があるよね。怪しさ満点の男だ。


「こんにちは~。ミスリル銀の採掘に来ました」

「ん? 個人はできねーぞ」


 フォックスはちらりと、クロちゃんを見た。黒死蜘蛛だと分かったみたいで顔が引きつっている。抑止力として役立ってくれているようだ。

 

「これがあるから大丈夫です」


 本日二度目となる知晴さんの許可書を見せた。


 フォックスさんはアゴに手を当ててじっくりと見ている。しばらくして視線を上げて俺を見た。


「お前が例の裕真か。発見者特典で許可書をもらったのか?」

「そんなもんですね」


 おねだりしたらもらえてラッキーなんて思っていたけど、そういうことなのかな。


 だったらラルクノアもちょうだいと言っておけばよかった。ばーちゃんとじーちゃんにプレゼントしたかったんだよね。今度、知晴さんにお願いしておこうかな。


「許可書を確認した。施設内は自由に使って良い」

「何があるの?」

「クソ高い売店と鉱脈の中に温泉がある。男女には分かれてねえが、この場には男しかいないから覗き見しても意味ないぞ」


 めんどくさそうに言いながら、フォックスは服を着始めた。


 なるほど。温泉に入っていたからパンツ一枚だったんだ。変態じゃなくてよかった。


「ミスリル銀鉱脈に温泉なんて出るもんなの?」

「俺が知っている事例だと地上の金鉱山で出た例があるぞ。地下にあるマグマがどうとか言ってたな。もしかしたらここは火山のうえにあるかもな。もしくは真下にマグマがあるとか。気になるなら自分自身で調べな」


 ダンジョン内は、戦うときは魔力を持った人間が武器に流し込んで攻撃しなければ、モンスターは傷つけられないんだ。そのため飛び道具は全く意味をなさない。地上の常識が通用しないんだけど、温泉みたいに共通するものもあるのか。


 温泉には興味があるけどユミは連れて行けないなぁ。裸なんて絶対に見せられない。


 汗を流す作業は俺がして、ユミはキャンプで休んでてもらおう。


 責任者のフォックスからも許可が出たので、周囲の状況を確認するためにテントから出て歩く。


 話に聞いていたとおり男だらけだ。上半身裸が多くて顔や肌に土が付いている人が多い。地面にはツルハシや魔石で動くドリルが置かれていて、彼らが鉱員だというのがわかった。


「ミスリル鉱石が山のように出てくるから、今月も特別ボーナスをもらっちまったぜ!」

「次の休みに下山して夜遊びだ!」


 景気のいい話をしている。ミスリル銀はさほど苦労せずに発掘できそうだ。


 売店の方を覗いてみると食料や水が売っていた。後は体力ポーションか。相場よりも高い。ダンジョン価格なんだろうけど、俺たちがやっている行商よりも高いぞ。ぼったくりじゃないか。


 それでも鉱員たちは気にしてないようで、俺が観察している間にも商品は売れていく。


「需要と供給がマッチしている。俺も値段を上げるべき?」


 と一瞬だけ真剣に考えたら頭が痛くなってきた。お金の計算なんてどうでもいいか。ユミに情報を伝えれば的確に判断してくれる。


 俺は質の良い商品を錬成することだけに注力すればいいのだ。


 売店を出てユミの所へ戻ると立派なテントが張られていた。ダンゴムシに似たような形をしていて、半円状で縦に長い。


 外には組み立て式の椅子が二脚置かれていて、片方にユミが座っていた。背が足りないようで足をブラブラとさせている。ミスラムは護衛モードにしているらしく、いくつものトゲを出していて近寄ったら危ない雰囲気を感じ取れた。


 帰還を知らせるためにクロちゃんが走り出してユミの近くで足をたたんで座る。


「マスター、戻ってきたんですね。どうでしたか?」

「物価が高かった。ここで商売すれば儲かるんじゃないかな」

「ギルドの邪魔をすると睨まれてしまいます」


 稼ぎ場所を見付けたと思ったんだけど、ユミの言う通りだな。


 行商で稼げてはいるんだし余計なことをするのは止めておこう。


「マスターが気づくほど値段が高かったんですね。金額教えてもらえますか?」


 体力回復ポーションや水、食料の値段を伝えると、ユミは考え込んだ。相場の計算でもしているのかな。


 用意されていた椅子に座って待つ。


「地上での販売価格も上がっていそうですね。錬金術ギルドは上級のポーション販売を中止すると共に商品全体の値上げを断行したのでしょう。私たちも追随する? 利益は十分に出ているのに不要ですね。知晴さんが管理している場所なら安全ですし、差別化戦略として現状維持にしておきましょう」


 おお、なんかそれっぽいことを言っている。


 やはり経営はユミに任せるのが正解だ。10歳の少女に頼るのもどうかと思うけど、人工精霊なんだからノーカウントで。


「行商は今までどおりに進める感じで問題ないかな?」

「はい。マスターは気にせず、普段通りに錬成をしてくれれば大丈夫です。私たちには常連もいますからね」


 仲の良い藤井とかいるしね。誠パーティにも定期的に上級回復ポーションを売っているし、即座に赤字転落はないか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【電子書籍版】
jmfa8c6ql2lp6ezuhp5g38qn2vsy_m4q_18g_1z4_1o5xu.jpg
AmazonKindleにて電子書籍版1巻が好評販売中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ