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恋の魔法で悪役令嬢になりさがったので、名誉挽回いたします!  作者: 白雲木


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27.魔法陣

 

 ロリアは自身に集まっている蝶を見て、ハッとした。



 「これは、花?かしら。」



 「えっ?」



 カミールもまじまじと蝶を観察する。



 「確かに。でも何の花かしら?……待って。王家の紋章は確か、青桐の花よね……。」



 カミールは扉を調べ始めた。古代文字の下に、何かの模様が彫り込まれているのを確認する。



 「……これは枝?それか軸のようね。……もしかして。」



 カミールはもう一度ロリアを見た。蝶はどんどんロリアに集まって来ていて、さすがに鬱陶しいのかロリアは手を振って払っていた。



 「この蝶は、木属性の魔力に反応しているんだわ。ロリア、ここの模様が彫り込まれているところに魔力を流して。」



 カミールに促され、ロリアは扉の模様に手をかざした。魔力を流し込んだ途端、蝶が一斉に扉に集まっていった。蝶が集まると、王家の紋章である青桐の花が浮かび上がる。



 カチャッ。



 次の瞬間、鍵の開く音がして、扉が自動的に開いた。光が溢れ、全員が思わず目を閉じた。ゆっくりと目を開けると、広がったのは美しい花園だった。入り口には蔦性の植物を這わせたアーチ状のモニュメント。その先には噴水とそれを囲うように花壇があった。手入れされた花壇には秋の草花が咲き乱れていた。


 

 「間違いなくここだわ。前回、ここでデートしたの。」



 オルレアは「わぁ!」と歓声を上げている。



 「メリア、わかる?」



 カミールの言葉にメリアは答えた。



 「この先の温室にあるよ。妖精の魔法陣。」



 メリアは噴水の先にある温室を指差した。探知の結果、草花を管理するための魔法と魔法陣の他に、罠の魔法などは仕掛けられていないようだった。メリアを先頭に温室へ進む。温室のドアを開けると、そこには見たことのない鮮やかな草花が咲いていた。前にロリアがもらっていた、ラベンダーに似ている花もあった。ここにある花は魔法に使われる特殊なものなのかもしれない。温室の中央に白い4つの柱があり、さらにその中心には円形の台が設置されている。探知した魔法陣はどうもその台の上にあるようだった。全員で台の上を覗き込む。



 「なんて綺麗なの!!」


 

 珍しく、オルレアとロリアが声を揃えて言った。



 「これが、妖精の魔法陣。私たちがかけられた魔法の魔法陣なのね。」



 カミールもうっとりと眺めている。それは魔法陣というよりは花時計やモザイク画のようにも見えた。円が綺麗に4分かつされていて、それぞれ色の異なる花や宝石が配置されている。円の縁や、区画の境界には白い光が走り、古代文字が浮かんでいた。魔法陣の光は湯気のようにゆらぎながら怪しく光っている。その1区画に、自分の名前があるのをメリアは見た。他の区画にも、それぞれロリア、カミール、オルレアの名前があった。



 ()()()()()()()()・ウィクトーリア


 ()()()()・ヒュギエイア


 ()()()()()・パナケイア


 オルレア・()()()()()()



 「真名を知られているわね。まぁ、王家でもなければ、把握しようがない情報ね。」



 ロリアは魔法陣をじっくり眺めながら言った。王族は学園の生徒の個人情報を自由に閲覧できる。特に、この権限は王子のためにあるようなものだ。自分の婚約者を選ぶ上で、経歴や家柄に問題がある相手をパートナーに選ぶことはできないからだ。


 

 「真名の他に、それぞれ髪の色、目の色の宝石や花を配置しているようね……。でも、これは……。」



 カミールの言葉を継いだのはロリアだった。



 「間違えているわぁ。」



 「目の色を間違えているわね。」とカミールも続く。



 ロリアとカミールの言葉に、メリアは魔法陣を確認する。メリアのアメジスト、ロリアのエメラルド、カミールのガーネット、オルレアのラピスラズリ。特に間違いは無いように思えた。

 

 

 「合ってると思うけど……。」



 「それが違うのよ。こういう魔法で本人を指定する場合、目の色は魔力の色とイコールになるの。メリアはよくわかってると思うけど、私の魔力が高められた時の目の色はガーネットではないでしょう?どちらかと言えばアクアマリンよね。」



 メリアは記憶を治癒してもらったときの、カミールの目の色を思い出した。あの時の色は鮮やかなブルーで、確かに宝石で表すならアクアマリンだ。


 

 「もしかして、この光が揺らいでるのって……。」



 「正しく魔法陣が機能してない証拠だわぁ。」



 

 メリアの言葉にロリアは答えた。メリアはもう一度魔法陣を覗き込んだ。魔法陣の中心には天秤のようなものがあった。それぞれの区画に天秤の皿が浮いていて、水晶が置かれているのだが、その数は明らかに違った。メリアの区画の皿にはてんこ盛りに水晶が置かれている。ロリアとカミールの区画の皿の3倍はありそうだ。オルレアの区画の皿に至ってはたった1つだけだった。



 「メリアも気がついた?恐らく、この水晶の量が魔法の影響度を変えているのよ。あなたを警戒して、強力に支配したかったのが一目瞭然だわ。」


 

 メリアに並んで魔法陣を覗き込みながらカミールは言った。



 「それで、この魔法陣はもう破壊していいのかな?」



 メリアが聞くと、ロリアは邪悪な笑みを浮かべて言った。



 「すぐに壊すのは勿体ないわぁ。せっかくなので今日の主役を待ちましょう。もうすぐ来るはずよ。血相を変えて。」



 「そうしたら、目の前で破壊してさしあげましょう。その方がメリアも壊しがいがあるでしょう?」



 「悪趣味ね、ロリア。」とオルレアは顔をしかめていた。



 「壊しがいを感じるかは別として、イセン様が来るのを待つってことね。もうお披露目会の時間も過ぎたし、走ってここまで来るとしたらそろそろかな。」



 メリアがそう言ったとき、温室へ向かってくる者の足音が聞こえた。



 「待ち人ね。」



 カミールは呟いた。



 温室の扉が開くと魔法陣の前で待つ4人の前に、イセン王子が現れた。肩で激しく息をしているところを見ると、かなり急いで走ったのだろう。



 「き、君たち。こんな所で何をしているの?」


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― 新着の感想 ―
名前が明らかになるシーンは、ワクワクしますね。 気まずいイセン氏、どうなりますかね?
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