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恋の魔法で悪役令嬢になりさがったので、名誉挽回いたします!  作者: 白雲木


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19/21

19.緊急会議

 メリアは大急ぎで寮に走り、自分の部屋にイセン王子からもらった盆栽を置きに行った。置いたらすぐ、また走って教養授業へ向かう。何も考えずに置いてきたが、日当たりとか考えた方が良かったのだろうか?もともと、草花を育てる趣味の無いメリアにはわからなかった。今日の最初の授業は教養だ。イセン王子に直接聞くのは腹立たしいというか、気が引ける。聞くならロリアがいい。彼女も王子と同じ木属性だ。何かアドバイスをもらえるかもしれない。 

 


 講義室に入ってすぐ視線を感じる。ロリアだ!「今日話したいことが……」と手を振ろうとして思い留まる。ロリアが射抜くよな冷たい視線を送っている。「私、何かやらかしたな……。」と瞬時に察知する。多分、授業のあとにロリアから声がかかることだろう。メリアはそっとロリアから視線を外し、すごすごとリリのもとへ向った。



 午前の教養授業が終わり、生徒たちが教室を移動し始めたときだった。思い切り誰かにぶつかられる。ロリアだ。謝りもさずに去っていく。「もー、何よー!」とリリは怒っていたが、メリアは何も言わずに、今ほどロリアから渡された紙切れを握った。「誰にも気取られぬよう、慎重になさい。」ということだろう。怒るリリに「きっと急いでたんだよ。」と言ってなだめ、「ランチの前にトイレに行くね。」と伝えた。トイレに行って、そっとメモを開く。



ーー今日の16時。毎日パッションへ。



 授業が終わって、毎日パッションへ向かった。この前リリと来たときとは違い、少し緊張してドアを開ける。今日はジュマさんのお出迎えはなく、先に来ていたロリアを見つけた。



 「もうすぐカミールもくるわぁ。先にドリンクでも頼んでなさい。」 



 メニューに目を通し、レモンティーを注文していると、カミールがにこやかに店内に入ってきた。メリアの注文を見て、「同じものを。」と店員に告げる。店員が去ると、ロリアが睨みつけるようにメリアを見た。



 「今朝は何をしていたのかしら?何か重そうな袋を持って走っていたようだけれど。……まさか、イセン様から何か受け取ったわけではないわよね?」



 「……受け取りました。」


 

 だって、受け取らないのは無礼だと言ったじゃないとメリアは思ったのだが、口に出すことはなかった。



 「あぁ、もぅ、なんてことを……!!」



 ロリアは露骨に落胆する。



 「それで、何だったの?」



 「盆栽って言ってた。樹齢100年くらいの価値のあるものだって。カエデって言ってたかな?これから紅葉が綺麗だって、小さな鉢に植えられてて……。」



 「東の国の芸術品ね。聞いたことがあるわ。恐らく、オルレアの影響でしょうね。彼女のお父様のルーツが東の国だから。」

 


 フフッと笑ってカミールは言った。



 「そんなことはどうでもいいわ!メリアの変化をイセン様が不審に思ったってことでしょ?まだ魔法にかかっているような演技でもしてくれれば……。」



 「それは難しかったはずよ。メリアだって急に魔法の一部がとけて混乱していたでしょうし。それに、イセン様だって何としてもメリアに盆栽を受け取らせたはずよ。」



 カミールのフォローをメリアは心底ありがたく思った。ロリアも「それはそうね。」と言って、メリアにも「悪かったわ。」とポツリと言った。



 「ねぇ。今回渡されたのは木なんだけど、やっぱり持ってたらまた何かの魔法にかかるのかな?」



 メリアは不安になって聞いた。せっかく課題を手伝ってもらったり、親友とも仲直りしたのに、また悪役令嬢に逆戻りではたまったものじゃない。



 「……恐らくそれはないわぁ。イセン様はメリアの変化に気がついて、メリアを探ろうとしているんでしょうね。」



 「木で情報収集するってこと?」



 メリアには意味がわからなかった。木の葉が手紙のように飛んで、イセン王子の元へ届く様子が浮かんだ。



 「あなたそんなに察しが悪くて、王室護衛隊なんて目指せるの?」



 ロリアは呆れて言った。そして今度は声のトーンを下げて言った。



 「木霊(こだま)よ。イセン様は木霊を使役できるの。」



 そう言われてメリアは今朝の出来事を思い出す。



 朝練のあとに、不自然に揺れた柳の枝。探知魔法をかけるジオラスの姿。



 「多分、精霊の類かな?木だから木霊か?」



 ジオラスのセリフが蘇り、ざわりと背筋が寒くなった。行動を見張られていると思うと気味が悪かった。



 「……っ!!今朝の朝練のときに、いたかも。木霊!その直後にイセン様が来たの。」



 メリアは今朝の出来事を話した。ロリアは「あぁ。」と言った。やはりとでもいいたげな表情だ。



 「イセン様はメリアへの魔法の効果がどれだけ残っているのか、再び魔法をかけることが可能か探りたいようね。あなたの部屋にイセン様が来たことはあったかしら?」

 


 「ないよ!!」



 メリアは食い気味にロリアに答えた。



 「だとしたら、メイド達を通じて部屋の様子を聞いた可能性はあるわね。寮のメイド達は生徒が授業中に、掃除に入ったりするし、メリアの部屋に花を届けていたメイドに確認した可能性が高いわ。」



 「つまりは、メリアの部屋にまだ花が飾られているか、無ければ木霊が潜める木があるかを聞き出していたはず、ということよ。」



 ロリアの説明に、カミールが付け足した。

 


 「届けていたはずの花が無いのであれば、魔法が完全に解けてしまったのか、状況を確認したいでしょうしね。木が無いのであれば、イセン様の方でプレゼントしてしまえば準備完了というところよ。」



 「部屋になんて持ち帰らなければよかった……。」



 メリアは今朝の自分の行動を悔いていた。普段だったら断るものを、今日は受け取ってしまったのだから。



 「そう落ち込まないで。イセン様の出方が分かっているのだから対処法はあるはずよ。」

 


 カミールはそう言ってメリアにウィンクすると、「私とロリアが把握している、イセン様の魔法について教えるわ。」と言った。

 

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― 新着の感想 ―
カミール&ロリア頼もしいですね。
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