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恋の魔法で悪役令嬢になりさがったので、名誉挽回いたします!  作者: 白雲木


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10/21

10.長い1日の終わりに

 ……疲れたー。


 ドサッとメリアは自室のベッドに倒れ込んだ。このまま眠りたい気分だがそうはいかない。サッとシャワーを浴びて、机に向かった。食堂で詰めてもらった夕飯用のサンドウィッチを取り出し手帳を開く。補習やら宿題やらも済ませたいところだが、まずはロリアの部屋での出来事をまとめねば。


 日付を書いて、ざっくりと会話を思い出してメモに書き出していく。最初は王子が花をプレゼントして、妖精の魔法と古代文字の話をして。あとは、私の悪口と……。


 書き出しているうちに、少しぼんやりしていた頭がはっきりしてきた。先ほどの濃密な花の香りから離れられたからかもしれない。不意にロリアの声が頭に響いた。


 「きっかけは何だったの?それくらいはわかるわよね?」

 

 あのとき……。あのとき私は何故花瓶を割ったのだろう?確か、何かに苛ついていた。それは王子の気を引けないことだっただろうか?いや、違う。あのとき感じた苛立ちはロリアの部屋で葛籠の中にいたときと同種のものだった。葛籠の中にいたとき、やらないといけないことが山積みなのに、イセン王子とのイチャイチャを黙って見ていないといけないという不自由さに苛立っていた。それだけじゃない。あのとき、私は少し嫉妬していなかったか。惚気を見せつけられても意味はないと頭ではそう思っていたはずなのに……!あの濃厚な花の香り。あれに思考を掻き乱されていたような、そんな感覚だった。


 メリアが王子に夢中だったときもそうだった。部屋に戻り花の香りを嗅ぐ度に、嫉妬心が強くなるように感じていた。そして、自分の意志とはかけ離れた行動に困惑と苛立ちも確かに感じていた。でもそれは、強すぎる嫉妬心、焼けるような恋心のために見過ごしていたものだった。


 ……私が不自由で腹立たしく思ったもの。それは、私が私らしく振る舞えなくなっていることだった。だから、私は花瓶を割ったのだ。


 あのとき、そう、あのとき!花瓶に手を近づけたとき、たまたま静電気が走った。ピリッとした痛みが、不意に本来のメリアを呼び戻した。そして、再び襲う濃厚な香りに負けぬように、苛立ちをぶち撒けるように、叫びながら花瓶を割ったのだった。


 再び、ロリアのセリフがよみがえる。


 「あなたには魔法がかけられていた。そうじゃなきゃ、あんなに性格が急変することなんて無いでしょう。」


 ロリアの言うところの魔法に使われているのは、恐らくあの花瓶か、もしくは生けられた花なのであろう。さらに、イセン王子から花束を受け取ったロリアの表情を思い出した。受け取った瞬間、わずかに顔をしかめていたロリア。あれは、花の香りにより魔法の影響を強く受けることへの懸念だったのではないか。そして、ロリアに話しかけることなく部屋を出るように言ったのは、魔法の影響でロリアの意図せぬことをメリアに伝えてしまい、せっかく計画したことが水の泡になるのではと危惧したのではないか。


 メイドはメリアに届く花はファンからの物だと言っていた。もしかして、メリアに届く花束もイセン王子からのものだったのだろうか。それとも、イセン王子の意図は全く関係のないところで、魔法のかけられた花が届けられているのだろうか。だとすれば、誰の意志なのだろう。得をするのは誰か?今のところ、イセン王子を除いて、得する人物はいないように思えた。婚約者を必要とするとしてもきっと誰でもいい訳ではないのだろう。王室の威厳を保っていくためにも、名家の女性である必要はありそうだ。


 ……が、何故か疑い切れない。この、なんとなくもやもやする感じはなんだろう。


 メリアの思考はぐるぐる渦巻いていた。


 「それで、魔法の出どころはわかったの?」


 ロリアはこうも言っていた。「完全に魔法を解いた訳でもない」とも。メリアには確かに、何か引っかかるような、でも思い出せない何かを感じていた。それがカミールと話せば解決するのかはわからない。でも、ロリアはカミールも含めて3人で話す必要があると言っていた。


 手帳を見ながらメリアは考える。時間をとるなら休日がいいと思った。だとすれば、リリと毎日パッションへ行くのは少し早めた方がよさそうだ。カミールと接触するなら、授業の兼ね合いで今週最後の授業の日がよさそうだった。


 お茶会と言われたからには、菓子なども買っておいたほうがいいよね?


 さすがに、何もなかったら間ももたなそうだ。メリアは予定の方向性を定めて手帳を閉じる。明日リリに相談しよう。先ほどぐるぐると考えたことも簡単にメモにまとめると、メリアはぱちんと頬を叩いた。


 ……さて、補習やら宿題にも取りかからねば。


 教科書を取り出し、期日の早い宿題から取りかかる。


 ……しばらくは、射撃場に朝練に行くことも叶わないだろうな。


 メリアはもう一度頬を叩いて、宿題に集中した。

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