表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/12

第6話 キャピュレー商会気鋭の新人 前編

 風の日の二日後、わたしはオスヴィンの商会に行くことになった。目的は先日助けてもらったお礼と冬の儀式で使う衣装の中縫いである。


 ちなみに今日のお伴はリリーだ。プライベート扱いだった先日は別として、本来なら騎士を随行するのが辺境伯令嬢にとって必須の体裁だが、リリーはかつて凄腕の騎士として名を馳せた人物である。


 それにミスランティ領内、特に人の多い地域ではどこに行っても領民が見守ってくれるので危険は少ない。

 領都からルイーゼに代わる騎士を呼んでいないこともあり、お付きの侍女のリリーが護衛を兼務する形にしている。


「お待ちしておりました、フィリーネさま。毎度毎度わざわざお越しいただきありがとうございます」

「ごきげんよう。こちらこそ今日はよろしくね。フローラ」


 商会の出入り口前に一時停車した馬車から降りると既に待ち構えていたフローラが早速案内してくれた。

 商会の建物の奥に通されると、そこにはオスヴィンがひざまずいていた。軽く挨拶を済ませると、断ってからリリーが一歩前に出た。


「先日はお二方にお嬢様がお世話になったと聞き及んでおります。この場をお借りしてお礼申し上げます」

「いえいえ、当然のことをしたまでです。我々は助言しただけ。成功させたのはひとえに姫様の人徳のおかげですゆえ」


 一度会話を往復させるとふたりは立ち止る。本来の目的を見失わない様子はまさに大人である。


「それでは早速中縫いを始めましょうか」

「ええ、お願いいたしますフローラ様。オスヴィン様、ご相談がありますゆえどこか開いている部屋はございますか?」


 リリーはオスヴィンを連れて足早に立ち去った。それと入れ替わるようにフローラに呼ばれたお針子さんが入ってくる。


「では始めさせていただきます」


 お針子さんに袖を通してもらうが、なにぶんわたしは衣服のことは門外漢である。

 お針子さんにすべてを委ねて時々着心地の評価をしたり質問に答えたりしながら終わるのを待っていた。


 ちなみに、冬の儀式とは簡単に言えばミスランティの中で最も長く大切な季節とされる冬をつかさどる神にこの冬の安寧と日ごろの感謝を伝える儀式であり、巷では雪祭りと呼ばれていてとても盛り上がる。

 儀式はわたし達ミスランティ辺境伯家の女性を代表して一名と神官によって行われ、わたしは去年から参加している。舞を舞うことになるので結構大変だ。


 儀式用衣装は去年はお母さまが以前使っていた儀式衣装を受け継いだのだが、いろいろあって使えなくなってしまったので今新調しているのだ。

 デザインは伝統の雪をモチーフにした淡い色を基調にして、全体的にはこれまでのデザインを踏襲しつつ、冬の花の刺繍をところどころにあしらうことになっている。

 フローラの腕前は信頼しているのでわたしはただ任せるだけだ。


「終わりました」


 色々と考えているうちに終わってしまっていたらしい。いつの間にか衣装が消えていて見たことのない衣装が一つ置いてあった。


 秋の色である黄色を基調にしている派手過ぎず地味過ぎない穏やかな衣装である。


「フローラ、これはどうしましたの?」

「セドリック様との逢瀬に着ていかれる衣装としてどうかと思い、作ってみたのです。いかがでしょうか?」

「いいわね。ぜひ買わせていただきたいわ!」

「いいえ。これは我がキャピュレー商会からの贈り物です」


 わたしはびっくりして変な声が出そうになった。当然だが明らかに高級なものである。いくらキャピュレー商会が大きいからと言って、流石にただの贈り物にしては大きすぎるのではないだろうか。


 わたしが指摘すると、フローラは首を横に振った。


「キャピュレー商会がここまで大きくなれたのもお嬢様がごひいきにしてくださっているお陰です。ですのでどうかお納めくださいな」

「そう、ならありがたくいただくわ」


 ちょうどリリーが話を終えたようで、男性のオスヴィンを置いて一人で入ってきた。


 そして最終確認者としてリリーがわたしの試着姿を見て、袖や裾の長さの微妙なズレを修正するようにお針子さんに依頼する。 


 幸いそれほど大きなものではないようで、微々たる調整で終わり、そのあとは服自体があまりに古い流行になっていないか、装飾などが不適切でないか、フィリーネに似合っているのかを確認した。


 そして着替えてもう一度冬の儀式用の衣装も同様の確認をする。


「いつもながら思いますが、リリー様は誠に熱心でございますね。特に今日は一層気合いが入っているように思います」

「本当にね。わたしなら任せちゃうのに」

「当然です。お嬢様が恥ずかしい思いをしないようにするのが侍女の務め。そしてお嬢様はもう少し自分の衣服に関心を向けてください」


 集中しているリリーの邪魔にならないようにしたつもりだったが聞こえていたらしく、リリーから手痛いお小言をいただいた。


「さすがはリリー様、素晴らしい忠誠心でございますわね」


 あまり意味が分からなかったが、リリーには通じたらしく耳元が少し赤らんでいた。


気鋭の新人とやらはどこへ? 今日は一日illustratorの使い方に手間取っていて資料作成に一日費やしてしまいました。

明日こそは新人が出てきます。


明日も夜になるかな?早く学校の作業が終わるといいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ