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生徒会長になりたいイキり陰キャの究極形態!  作者: 好きな言葉は酔生夢死、家から3歩出ることで毎日の運動タスクを消化し、健康的課題の高血圧については24時間断食することで対策を完了させている、200歳まで生きることが超確定した、常識はずれのバケモン。
一部
13/17

13 へぇ――良い度胸じゃん


 職員室前の流れ確認が終わり、俺はクラスへと戻る。


 教室の皆は昼飯を食っていた。


 俺も自分の弁当を取り出すが、あまりにも食欲が湧かない。それどころか吐きそうだ。



「え? 村陸大丈夫?」


「……いやなに、これからの俺の覇業を思うと武者震いがさ。まったく強者は辛いね。篠田(弱者)にも気を遣わないといけないんだから」


 そう。ここで弱気な態度を見せてはいけない。このクラスが俺の一番の投票源だから。

 


 ここで、高校の生徒会選挙の特性について軽く説明する。


 まず、選挙の時に誰に投票するかという問題だが、大多数の人は知らない人へ投票することになる。だから、選挙時の公約や実績で判断するわけだ。だが、それ以外にも判断材料がある。


 それが、クラスメイトが立候補していた場合。


 簡単な話、自分のクラスメイトが選挙に出ていたら投票したくなる。つまり、このクラスの人たちこそが俺の一番の投票源なわけだ(堀田さんが立候補したときにビビってたのはそういう理由)。


 そんな人たちの目に、俺の弱気な姿を見せたらどうなるか。


 俺なら絶対に投票したくない。


 だから、ここは嘘でもブラフでも自信に溢れた態度を取るしかない。いや取り続けることが重要なのだ。







 5限目



 英語の授業中、俺は先生の言ったことなどそっちのけで、ひたすら小声で原稿を読んでは復唱していた。


 そして、なぜか徘徊する先生が近くにきたら、咄嗟に教科書で隠して――というムーヴを繰り返し直前まで備える。


 近くの席に座る女子から変人を見る目を向けられるが、別に今さらだ。


 


(俺は、生徒会長になると宣言した日からずっと、変な目で見られてるからな!!)




 そんなわけで授業が終わり、皆が体育館へと移動する準備に入る。俺は最後の最後まで身だしなみを確認する。


「ねえ、マサル。寝癖とかついてない? 服のしわとか、ボタンの掛け違いとか」


「ないない。村陸、頑張ってね」



 そして、体育館へと到着する。


 ここで、クラスの皆とはお別れだ。


 皆は演説を聞くためにクラスの列へと行き、俺は体育館横の――立候補者が集まるところへと行く。


 見れば、皆が集結していた。堀田さんや篠田さんも既にいる。


 ちゃんと原稿を読んだり、身だしなみを確認したりと良い緊張感だ。



(さて、俺も最後まで原稿を読み込ん――)



「ちゃんと原稿持ってきてるんだね?」


 しかし、そこで隣から声がかけられた。


 目を向ける。


 そこには忘れるはずのない顔、俺のライバル篠田 千波がいた。


 だが、実に引っ掛かる言い方だ。




「……()()()()()()? そっちは持ってきてないの?」






「うん。だって必要ないし」


 

 屈託のない笑顔をこちらに向けてくる。


(あっ……へぇー)


「お互い頑張ろうね」


 なにか緊張してる感も気負ってる感じもなく、ただ、普通にエールを送ってくる。

 一応言っておくが、昼休み中の流れ確認の段階で俺の顔は知ってる筈である。


 それを知ってて、この態度。そして、演説直前に自分から話し掛けつつ、原稿は持ってきてないアピール。






 ――良い度胸だな。






 この時、俺は一つ決めた。


 この女をただ普通に負かすのは実につまらないと。


 俺が勝つのは当然だが、俺の神経を逆撫でしたことは後悔させてやろうと。



「ははっ、すごい自信だね。めっちゃ余裕じゃん」


 だから、あえて俺は笑顔を向けることにした。




(おめでとう、篠田 千波。今からお前は、ライバルから敵にジョブチェンジだ)




「――では、これより生徒会選挙を始めます。立候補者の方はステージ上に上がって下さい」


 例の3年生の司会が選挙を始める。それにあわせて、俺を先頭に計7人がステージの上へと歩き、用意してある椅子へと歩みを進める。


 そして、全員が着席を完了した。


「これより、後期生徒会選挙、立候補者演説を始めます。まず、生徒会長立候補者、村山 陸さん。お願いします」






「――はい!!!」






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