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三洲華大学クトゥルフ神話探偵部  作者: 向陽日向
第三章 地上の太陽と原初の魔王
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暗き湖の奥底から

 ハスターが眠るハリ湖畔には、今宵も多くの者が集っている。

 暗黒の水面の深淵から胎動を感じる。


 聖典【黄衣の王】より生み出せし《沈む谷》に魅入られた者たちの魂がその刻に向かって着実に積み重なっているのだ。

 星辰正しき刻は近い。

 もう間もなくだ。


 ハリ湖より復活せし【名状しがたきもの】が地球、ひいては全宇宙の存在を吹き飛ばす大いなる風となるのだ。全宇宙、全時空を掌握したつもりでいる憎き【外なる神】どもの支配から解き放つために。


 目障りな使者ニャルラトテップはクトゥグァの炎に焼かれた。

 鬱陶しいクトゥルフは未だルルイエで寝返りを打つ存在に過ぎん。

 もうハスターを止められる存在は皆無である。


 湖畔に立ち並ぶ集団から祈りが重なる。

 ――ああ、私の魂は大いなる【黄衣の王】のもの――おお……。

 ――ハスター様。名状しがたき神様。私たちを救いたまえ。


 微かな祈りの波紋が暗黒の水面を這っていく。遥か頭上から月の欠片が飛来し、眩いばかりの光を散らばせる。


 そこに、いる。

 水面を突き破って姿を現した禍々しき二本の触手は、急接近した月の欠片を貫きそのまま天へと飛翔する。


 ――おお……おお……おお……。


 もはや感嘆の喘ぎ声しか喉を通らぬ。

 二本の触手は身じろぎするように痙攣し、ついには集団を搦めとり始める。その所業は腹を空かした子供そのものではないか!


「もしもし――私だ」

 懐のスマホが鳴った。クトゥグァからだ。


『只今【夢の国(ドリームランド)】に入りました。引き続き学生どもの足取りを追います』

「復活の刻は近い。三度目はないと思え」


 奴らが蜂蜜酒をつくると話していたことを思い出す。

 ということは、奴らは何らかの理由で時空の束縛を解き放つ必要があるということだ。今一度星間移動でもするつもりなのだろうか。

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