交わる縁
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「こ……こは……?」
ふと意識が浮上したときに目に入ったのは見知らぬ天井、品の良さを感じさせる瀟洒な和風の一室のようだった。
まだ完全には目が覚めてない中ややかすれた声で疑問をこぼすと、襖がからりと開けられて和服を着た女性が姿を現し、
「あらあら、目が覚められ……たわけではないようですが、一応伝えておきますね。」
そう言ってほほ笑んだ思わず魅入るほどの美しい女性は、きらきらと輝くような金色がかった小麦色の髪やキツネの耳をしている。
服装の方もその美しさを引き立てるような流麗な和服を何枚か重ね着していたが、これは十二単というのだろうか。でも十二枚も着ているようではなかったが、そういう美を感じさせていた。
「ここは私が担う現世の理から僅かばかりはみ出された方のためのお宿でして」
落ち着いたその声に眠気が揺り起こされるように瞼が閉じていく。
「近くで人除けに中てられて倒れられていたのを使い魔に運ばせました。今はごゆっくりなさってくださいな」
麝香のような香りを引き連れてその女性は部屋から出ていき、襖が閉じられる音とともに意識は絶たれた。
その妖しい美しさを持つ女性が、そしてこの宿が自分に何をもたらすのか、わずかばかりの期待と不安を抱えながら。
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